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低すぎても危ない!健診数値の正しい見方

プレジデントオンライン / 2019年2月17日 6時15分

イラスト=窪田エリー

特に異常がなかったからといって、健診結果をそのままにしている人も多いのでは? 実はそこには私たちの微妙な体の変化が蓄積されています。健康管理に役立つ健診の受け方、健診結果の見方のコツを解説します。

■健診で自分のカラダと向き合う意識をもとう!

女性は、初潮、妊娠・出産、更年期……とさまざまなライフステージがあり、それに準じて体は少しずつ変化しています。なかでも更年期は、体のモード変化の最大イベント。「まだまだ先の話だから大丈夫」と安堵(あんど)する声も聞こえてきそうですが、実はその変化は30代から始まっているのです。

そう、30~40代は、家庭では家事や子育てに追われたり、職場では新しいプロジェクトへの参加や、責任のあるポジションを任されたりするなど、自分では気づかないうちにハードワークになりがちなとき。今は頑張れる状態でも、これからも上手に自分の体と付き合い、人生をアップグレードしていくには、今現在の健康に無関心ではいられません。健康診断は、日頃の健康管理のトータルバランスを見るもの。未来に向けた健康づくりのためにも、もっと活用してみましょう。

■「健康診断」と「人間ドック」はどう違う?

現在、厚生労働省では「健康日本21(第二次)」という国民健康づくり運動を通して、病気の予防や健康づくりの習慣化と保健指導に力を入れています。それを受け、健康診断の受診や健康増進プログラムの参加などに応じてインセンティブが付与される、ヘルスケアポイント制度を導入する自治体や民間企業も増加。最近では健康診断の結果で保険料が変動する保険も出てくるなど、官民による啓発が活発化しています。

でも、そもそも健康診断はなぜ毎年受ける必要があるのか、疑問に思いませんか? 会社員が受診する定期健康診断は、労働安全衛生法によって1年以内ごとに1回実施することが事業主に義務づけられています。これは従業員の健康状態の把握や生活習慣病の予防のために、最低ラインの健康チェックとして定められたもので、実際には企業や加入する健康保険組合によって検査項目の充実度はまちまちです。ちなみに、市区町村で行う国民健康保険の健診も、同レベル以上の検査が受けられるようになっています。

違いがわかりにくい人間ドックは、主に生活習慣病の洗い出しや、がんなどの病気の早期発見を目的にしたもの。基本項目が決められていて、さらにオプション検査を充実させることも可能です。受けるタイミングに決まりはなく、保険適用外のため自由診療扱いになります。ただし、健康保険組合などの補助制度、各自治体の補助金など、助成が受けられる場合も多いので、受診する場合は費用の自己負担分を事前に調べておくとよいでしょう。

■【1】健康診断前に知っておこう

働く女性の健康に対する意識は高くても、いざ健診を受けるとなると、わからないことも少なくないはず。今更聞けない疑問を一挙に解決してみましょう。

Q:人間ドックは、たくさんある検査項目から何を選べばよい?

病気の発症に関係が深い素因には、性別、年齢、遺伝の3つがあります。この素因をベースに自分に必要な検査項目を探すとよいでしょう。例えば、がん検診には年齢的な要素を加味するのがおすすめ。がんは20~40代までは、男性に比べて女性に多く、これは子宮頸(けい)がんと乳がんが若い世代にも生じるがんだからです。50歳以降は一般にがんにかかるリスクが高くなるので、女性では大腸がん、肺がん、胃がん、子宮体がん、卵巣がんの早期発見に気を配りましょう。

また、病気の家族歴は重要な情報です。家族の中に大腸がんの人がいる場合は、40代のうちに大腸の内視鏡検査を受けておきましょう。乳がん家系の人あるいは乳腺の密度が高い人は、マンモグラフィーと乳房超音波検査を併せて行うと安心です。がん以外の疾患も、近親者(特に母親)の病歴や体質の傾向を参考に検査項目を選択すると、うまくスクリーニングができます。

このほか、胃の検査でバリウム検査(エックス線検査)と内視鏡検査(胃カメラ)のどちらかを選べるなら、早期がんの発見率が高い内視鏡検査がおすすめ。ピロリ菌の検査も1度は受けておきましょう。

Q:受信日が迫ってきたら、生活習慣を改めるべき?

中性脂肪の数値は3週間の食事制限をすると、ほぼ正常値に戻ります。肝機能の数値も、アルコール性の場合なら3週間くらい飲酒を控えれば下がることがほとんどです。なかには1週間ほどで変化が表れる人もいますが、一時的によい状態をつくることにどれだけの意義があるでしょうか。もちろん、その状態を健診後も続けられるならおすすめしますが、健診の目的は、普段の自分の健康状態を知ることにあります。健康は一日にしてならずですよ。

Q:常用薬がある場合は、検診前にも飲んでいいの?

必ず飲んでほしいのは血圧の薬。糖尿病の薬は服用せずに持参するようにします。抗凝固薬や抗血小板薬といった血液をサラサラにする薬については、主治医と相談のうえで中止するかどうかの判断が必要です。病理組織検査(生検)をする場合に出血が止まらなくなる可能性がある一方で、夏場など脱水によって脳梗塞を発症する人もいるからです。施設によっては同様の効果があるサプリメント(EPA配合など)の中断を求められることもあります。

Q:検診前日の食事や水分制限が守れなかった場合はどうなるの?

中止になる場合もあるので、必ず検査前に伝えましょう。胃カメラやバリウム検査は空腹でなければできないだけでなく、胃腸が動くことで中の空気も動きだし、腹部超音波検査もしにくくなります。胆のうも空腹時でないと膨らまないため、胆石などの確認ができません。血液検査では中性脂肪や血糖値に影響が出ます。では、水ならよいかといえばそうではなく、やはり腹部超音波画像が見えづらくなる弊害があります。常用薬を飲む場合も100ccぐらいの水で服用しましょう。

■【2】検査結果の見方を知ろう

健康診断で知りたいのは要経過観察や要再検査の判定結果だけ? 数値の見方や検査項目と臓器・器官の関係性を知って、もっとデータを有効に活用してみましょう。

Q:基準範囲内でなければ、異常と考えるべき?

基準範囲とは、健康と思われる人で測定した検査値のうち、極端な数値を除いた「95%信頼区間」のデータ。健康な人でも5%は基準範囲から外れることがあります。基準範囲内でないからといって、必ずしも異常なわけではなく、むしろ個人の変動幅が重要です。ただし、「要経過観察」などの場合は、体調に変化が起きたらすぐに医療機関を受診することも必要。翌年も健康診断を受け、経時的に変化をみていきましょう。

Q:前回より数値が上がっていたけれど、「A判定」なら心配ない?

A判定だから必ずしも安心ということではありません。検査項目の中には年齢とともに数値が上がりやすいものも。例えば、肝機能の指標の1つであるγ-GTP(γ-GT)は、女性ホルモンと深く関係していて、飲酒習慣のない人でも閉経近くから上がり始めることがあります。場合によっては30代で上昇する人がいるほどです。「異常なし」であっても、その変動をみることで全体の傾向や今後のリスクを知る手がかりになります。

Q:急激に上がりやすい数値ってあるの?

暴飲暴食などによって圧倒的にすぐに上がりやすいのは中性脂肪です。また、コレステロールは年齢とともに上昇しやすい数値の代表格で、女性ホルモンと関係しています。おおよそ45歳ぐらいからほとんどの人が上がり始めるので要注意です。コレステロール値が高い家系の人は、特にLDL(悪玉)コレステロールの値に注目してください。このほか、遺伝的な要素の影響で上昇しやすい数値に、血圧、腎機能をみるクレアチニン、肝機能などに関係するアルカリフォスファターゼ(ALP)などがあります。血圧では拡張期血圧(下の血圧)に影響が現れやすくなります。

Q:基準範囲は医療機関によって微妙に違う?

基準範囲については、厚労省の検診判定値のほか、日本人間ドック学会の認定施設では学会の判定区分を、施設によっては独自の基準を設けているところがあります。微妙に基準範囲が違っているのは本当です。さらに、検査に使われる検査キットの試薬メーカーによって数値の出方も若干異なります。つまり、数値はざっくり見ればOKということ。検診結果は健康の成績表ではなく、自分の体の傾向をみるものと理解しておきましょう。

Q:検査値は低いほどよいということ?

検査値は低くても大丈夫なものが多いのですが、低いほどよいかというと、そうではありません。痛風に関係がある尿酸値は、低すぎると腎臓結石や尿管結石の原因に。また、栄養状態の目安となるアルブミンが低値を示す場合は、栄養不足だけでなく、ネフローゼ症候群、肝硬変、膠原(こうげん)病などが疑われます。このアルブミン値、実は高齢になって低いとさらに深刻です。低栄養が原因で筋肉量が落ち、身体機能が低下して要介護状態につながりやすくなります。

イラスト=窪田エリー

■【3】検査項目をセルフケアに生かそう

検査項目は自己管理にどう生かせばいい? チェックしておきたい結果と注意点、毎日の食事や運動習慣などで改善できることを紹介します。

Q:「BMI」の数値は、健康にどう関わるの?

BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる肥満度の指標。基準値は男女ともに22.0で、25.0以上が肥満、18.5未満が低体重(やせ)を示します。肥満は、糖尿病や脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病との関連が強く、BMIはメタボ予防には欠かせない重要なデータ。ただし、BMIは身長に対して適切な体重かどうかを評価したものなので、脂肪過多なのか、筋肉量が多いのかの判断はできません。

イラスト=窪田エリー
Q:「BMI」と「体脂肪率」、高いとどんな心配があるの?

体脂肪率は、体重のうち皮下脂肪や内臓脂肪が占める割合。BMIとともに高いのは筋肉量が少ない肥満を意味します。つまり、内臓脂肪型肥満の可能性大。内臓脂肪の蓄積は死亡リスクを高め、特に心疾患での死亡はBMI30.0以上で顕著に。加えて女性はBMI25.0未満の隠れ肥満にも注意が必要です。若い頃やせていた人がその後太ると生活習慣病の引き金になるので、体重管理は20歳時の+7kg以内を心がけましょう。

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▼改善するには?
肥満の改善や予防には食習慣と運動習慣の見直しが重要。食事量だけでなく、欠食や食事時間にも注意しましょう。不必要な過度のダイエットも健康への影響大です

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Q:「上の血圧が高い」と「下の血圧が高い」とでは、どちらが怖い?

血圧は心臓が送り出す血液が血管にかける圧力のこと。上の血圧は心臓が収縮して圧力が最もかかったとき、下の血圧は心臓が拡張して圧力が最小になったときの数値です。血圧は、上の血圧に目がいきがちですが、どちらが高くても基準範囲を超えれば高血圧。やはり治療が必要です。

Q:「血圧が低い」のは問題なの?

低血圧の多くは遺伝です。若い女性の中には上の血圧が90mmHgという人もたくさんいますが、特につらい症状がなければ治療は不要。ちなみに、病院で測る血圧と家庭で測る血圧では判定基準が違うって知っていますか? 深呼吸1つでも値が10程度下がる血圧は、それだけストレスや環境に左右されやすいということ。そのため、健診では2回測定した平均値を使います。

イラスト=窪田エリー

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▼改善するには?
高血圧の人は、減塩と減量が大切。塩分量の目標は1日6g未満、だしや薬味を利かせて対応を。朝バナナなどでカリウム摂取も効果的です。妊娠高血圧症候群だった人は更年期に血圧が上がる確率が高いので気にかけておきましょう。

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Q:「総コレステロール」「HDL(善玉)」「LDL(悪玉)」は、何を示しているの?

LDLは悪玉(コレステロール)と呼ばれ、血管壁にたまると動脈硬化を進行させます。善玉(コレステロール)のHDLは、その掃除役。総コレステロールはLDLやHDL、さらにそれ以外のコレステロールの類いも含めたものです。脂質異常症の診断では、LDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪を指標とします。

Q:3つの値はどうコントロールするのが適切なの?

LDLコレステロールを下げて、HDLコレステロールを上げることが大切。LDLコレステロールは高いほど心筋梗塞のリスクを高めます。乳製品や肉の脂身、鶏卵・魚卵などの取りすぎには要注意です。HDLコレステロールの改善には運動や禁煙が効果的。ただし、いずれも遺伝性の要素が大きく、生活改善に努めても難しい場合があります。総コレステロールは低値でも問題ないですが、肝硬変や甲状腺の病気の可能性も。

Q:今話題の「non-HDLコレステロール」とは?

悪玉コレステロールの代表格といえばLDLコレステロール。でも最近は、動脈硬化を促進する物質として、それ以外のコレステロールの存在が注目されています。そのリスクを総合的に評価する指標が、non-HDLコレステロール。善玉以外のコレステロールの総称で、数値は総コレステロール値-HDLコレステロール値の計算式で求めます。2018年度から40~74歳が対象の特定健康診査に導入された、検査項目です。

Q:お酒を控えれば「中性脂肪」は下がる?

中性脂肪はアルコール摂取量に比例して増加します。これは、アルコールの分解時に肝臓で合成される中性脂肪が増えるため。お酒とともにカロリー過多な食事も同様で、控えれば中性脂肪は下がります。なお、中性脂肪は低くても異常ではないですが、低栄養の可能性も。ダイエット中なら注意が必要です。

イラスト=窪田エリー

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▼改善するには?
脂質異常症の因子は遺伝や食生活。体によいといっても植物性のオメガ3脂肪酸(ナッツやアマニオイルなど)の取りすぎには注意! 動物性脂肪分はもとより炭水化物や果糖の取りすぎも大敵です。逆に動物性脂肪を一切とらない食生活もコレステロール値を上げることがあります。

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Q:「白血球数」と「CRP」が高いと、どんな心配があるの?

白血球は細菌やウイルス、炎症などから体を守る免疫機能です。一方のCRPは体内に炎症が起こると急激に増加する物質。つまり、この2つの数値が高いのは感染症や、体のどこかに炎症が起きているということ。がん、自己免疫疾患、心筋梗塞、外傷でも上昇します。炎症が起きると白血球はすぐに反応しますが、CRPの上昇には2~3日のタイムラグがあります。

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▼改善するには?
白血球数は個人差が大きい数値です。日頃の自分のおおよその値を知っておくことも大事。喫煙は慢性的な炎症を起こすので白血球の数値が高くなります。ぜひ禁煙を。

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Q:貧血はなぜ起こるの?

貧血に関係しているのは赤血球や、赤血球の中で酸素の運搬役を担っているヘモグロビン。ヘマトクリットは血液全体に占める赤血球の割合を示す数値です。貧血が起こる原因の多くは、ヘモグロビンが足りない鉄欠乏性貧血。ヘモグロビンの材料である鉄の不足や慢性的な出血で起こります。このほか胃切除後のビタミンB12の吸収障害や造血機能の低下で生じる場合も。

イラスト=窪田エリー
Q:貧血は特につらくなければ、放っておいても大丈夫?

貧血とは酸欠状態のこと。いわば日常的に高地トレーニングを行っているのと同じようなものなのです。心臓に負担をかけるので、自覚症状がないからといって軽視してはいけません。なんとかヘモグロビン値11以上は保ちたいところです。女性は閉経まで月経のたびに血液を失い、そのつど貧血状態になります。過多月経の原因となる子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜増殖症などの場合はそれが顕著に。30~40代に多い病気なので注意しましょう。

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▼改善するには?
鉄剤などの処方薬やサプリメントで改善を図りましょう。ただし、治療を中断するとまた貧血に。改善後も一気に中止せず、毎日飲むことに抵抗があるなら医師に相談を。

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Q:「血糖値」と「HbA1c」の違いは?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のこと。検査を行った時点でのピンポイントの数値です。一方のHbA1cは、過去1~2カ月の平均血糖。ともに糖尿病の診断と血糖コントロールの状態がわかる指標で、空腹時血糖値126mg/デシリットル以上かつHbA1c6.5%以上なら糖尿病と診断されます。血糖値は高い状態が続くと血管を損傷し、心筋梗塞や脳梗塞、神経障害、網膜症、腎症、足病変など、全身にさまざまな合併症を引き起こします。進行すると、失明や人工透析が必要になる大きな原因に。

Q:空腹時と食後に測定する「血糖値」には違いがあるの?

通常、血糖値は食事の直後から一時的に上がり、膵臓から分泌されるインスリンの働きによって、食後2時間でほぼ空腹時の数値まで戻ります。その機能が低下し、いつまでも血糖値が高い状態が続くのが糖尿病。食後血糖値が高めであればインスリンがうまく働いていないということがわかります。空腹時血糖値110mg/デシリットル未満、食後血糖値140mg/デシリットル未満なら正常です。また最近は、食後に血糖値が急上昇した後、急下降する「血糖値スパイク」が、血管の損傷を早める原因として注目されています。この場合、空腹時血糖値やHbA1cは正常なことも多く、健康診断ではなかなか見つからないこともあります。

Q:尿糖が出ていなければ、糖尿病の心配はない?

腎臓が処理できる血糖の限界を超えると、糖は尿中に排出されます。尿糖が出る(陽性になる)のは、血糖値がおおよそ170~180mg/デシリットルを超えたとき。そのため、糖尿病の疑いのある人でも陰性になることがあります。一方、尿糖が出ても血糖値が正常な人は、腎性糖尿といって大抵心配ありません。

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▼改善するには?
糖尿病も遺伝や生活習慣が大きく影響する数値。運動不足、肥満、過度のストレスが強く関係しているので、食生活を正し、日常の活動量を増やすことが大切です。

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Q:それぞれの数値が高いと、どんな病気の恐れがあるの?

高血圧、高コレステロール値、高血糖は動脈硬化の危険因子です。動脈硬化は血管の病変。高血圧や耐糖能異常(糖尿病)は血管壁を傷つけ、そこにコレステロールがたまり血管を詰まらせます。年齢とともに血管に弾力性がなくなるのも大きな原因。若くてもコレステロール値が高ければ心筋梗塞の可能性もアップします。症状がないからといって高数値の血圧を放置することは、30代でも脳出血のリスクとなります。

イラスト=窪田エリー

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▼改善するには?
血管をしなやかに保っていた女性ホルモンの量が低下すると、血管の劣化もどんどん進行。また、肥満や喫煙はさまざまなリスクをもたらす強力因子。受動喫煙にも注意を。

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Q:肝機能検査の数値は、それぞれ何を表すの?

ASTとALTは肝臓の細胞が壊れたときに上昇する酵素で、肝機能の障害や炎症をみる中心的な数値。ASTは心臓や筋肉にも存在するため、通常はALTと組み合わせて評価します。γ-GTPは肝臓や胆道の異常にいち早く反応する酵素。このほか、肝機能をみる酵素の多くはほかの臓器にも含まれ、ALPは甲状腺機能異常、LDHは心臓や血液疾患でも上昇します。ALPは女性に高い人も多く、更年期に上がることも。

Q:「γ-GTP」が上がるのは、お酒の飲みすぎということ?

γ-GTP値がアルコールと関係があるのは本当。ただし、数値が上がりにくい人がいる半面、飲酒習慣のない人が高くなるケースも。脂肪肝や薬の影響でも上昇し、女性が上がりやすい数値でもあります。「健康日本21」では、節度ある適切なアルコール量は1日20g、1週間で140g以下としています。

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▼改善するには?
近頃は脂肪肝から肝がんへ進行するケースが増加傾向に。脂肪肝を単なる暴飲暴食のツケと侮るなかれ! 内臓脂肪が多めと指摘された人は腹部超音波検査も併せて実施を。

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Q:「尿タンパク」が確認されたら、腎臓病の恐れあり?

尿タンパクには、発熱、過激な運動、ストレスなどで起こる一過性のものと、腎臓に異常が生じて起こるものがあります。後者の場合、尿タンパクを長い期間放っておくと、自覚症状が出た頃には腎臓病がかなり進行していることも。+2以上の場合は要注意です。腎臓は血液のろ過や、必要な物質を再吸収する働きをする臓器。腎臓の機能低下は、高血圧症や脳卒中、心臓病などの血管系疾患の原因にもなります。

Q:「クレアチニン」で何を見ているの?

クレアチニンは腎臓にある糸球体のろ過機能をみる検査項目。ただし、数値が上昇するのは腎機能が50%くらい低下してから。早期や軽度の腎機能の低下は評価できません。A判定でも、できればクレアチニン値からeGFR(腎機能の推定値)を計算して、現在あるいは将来的に腎臓病に注意したほうがよいか判断することも大切です。クレアチニンは筋肉量に比例するため、基準範囲には男女差があります。

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▼改善するには?
機能は遺伝しやすく、改善には体重管理と減塩が重要。肥満は血圧を上げるホルモンを増やし、細胞が代謝したゴミも増やします。尿として排せつする腎臓の負担に。

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常喜眞理(じょうき・まり)
医学博士/常喜医院院長
慈恵医大新橋健診センター・非常勤診療医長を兼務する健康診断(人間ドック)のエキスパート。大手企業の産業医としても活動中。著書に『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)。

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(医学博士/常喜医院院長 常喜 眞理 構成=横山久美子 イラスト=窪田エリー)

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