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本物の億万長者が絶対することしないこと

プレジデントオンライン / 2019年1月22日 15時15分

雑誌「プレジデント」(2018年10月15日号)では特集「ビジネス本総選挙」にて、仕事に役立つ100冊を選出した。このうち5つのジャンルごとに「トップ10冊」を紹介しよう。第3回は「マネー・投資部門」について――。

■この本は、良書と断言できます

正直、多数決で決まるマネー本書籍トップ10のランキングでは、そのときのブームなどに流される半面、ビジネスパーソンが本当に読んだほうがいい書籍が入っていないのではないかと考えて、あまり期待をしていなかったのですが、たくさんの良書が揃っていてびっくりです。

1位 金持ちと貧乏の暮らし方の違いとは
『改訂版 金持ち父さん貧乏父さん』
ロバート キヨサキ 筑摩書房
2位 サルでもわかるマネー論解説!
『知らないと損する池上彰のお金の学校』
池上 彰 朝日新書
3位 月3000円投資でお金持ちになれる?
『はじめての人のための3000円投資生活』
横山光昭 アスコム

特に5位にランクインした『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』は、良書とはっきり断言できます。一般的に、マネー本はノウハウやマニュアルを列挙した無味乾燥な本になりがちです。

しかし、この本は違う。本書は最初から最後まで「四季報愛」に溢れています(笑)。四季報に掲載されている情報は「会社の家計簿」のようなもの。個人の家計簿を見ると、その家庭の暮らしぶりや、どんなことに価値を見出しているかがよくわかるものです。同じように、四季報から会社の現在の状態やこれからどんな発展を目指しているのかといったところが読み取れます。

四季報を傍らに置いて読めば、タイトルのごとくテンバガー(株価が10倍になる銘柄)の見つけ方はもちろん、これから就職活動を始める学生などが「本当に入りたい会社」を探すのにも役立つでしょう。個人的には、四季報のレビューをまとめて、記者のクセなどをコミカルに解説した「番外編」が、まさに四季報マニア!といったノリで楽しめました。

ランキング入りした本は大きく2つのジャンルに分かれています。ひとつ目は定番の「お金を貯める、増やす、節約するための指南書」タイプ。もう1つは「お金を通じて人生や価値観を考える」タイプのものです。

まずは指南書。『知らないと損する 池上彰のお金の学校』は、これからお金の知識を学びたい、という人にうってつけです。お金のプロは専門的な上から目線で物事を話しがちですが、池上さんは一般の人がどんなことを疑問に思っているかをよく理解されています。難しい言葉を簡単に噛み砕いて説明してくれます。何から始めていいのかわからないという人はまずこの一冊から読んでみましょう。

投資に興味のある初心者には『はじめての人のための3000円投資生活』が投資入門の一冊によいでしょう。

著者の横山光昭さんは家計コンサルタントをなさっているので、一般の人が投資をするにあたって何がネックになるのかを知りつくしています。難しいことは1度置いておいて、まずは3000円から気軽に投資を始めてみましょう、という「きっかけ」を提起している本です。

■「毒舌な池上彰」と「異色のマネー本」

4位の『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』の著者の山崎元さんは、執筆を担当した大橋弘祐さんが「毒舌な池上彰」と知人に紹介されたような方。本書でも「銀行に立ち寄ってはいけない」「医療保険に入る必要はない」などと、明言しています。ズバズバとした語り口も相まって、シンプルでとてもわかりやすい内容で、ビギナー入門の一冊にピッタリです。

6位の『宝くじで1億円当たった人の末路』はマネー本としては異色ですが楽しく読めます。タイトルをはじめとした「自分探しを続けるバックパッカーの末路」や「キラキラネームをつけられた子供の末路」などの23項目をまとめたオムニバスです。「末路」というように、最後にはどうなってしまうのか、それぞれの専門家が断言する話を聞くというインタビュー形式なのですが、この専門家のチョイスが秀逸で、読み物としても大変面白い。他人の人生を覗き見しているような感覚で新しい価値観を得ることができます。

ここから紹介するのは、2つに分けたジャンルのもうひとつ。「お金を通じて人生や価値観を考える」本です。お金はあくまで日本銀行券というモノでしかない、大切なのはお金をどう稼いで、どう使うか。本当の意味で幸せになるにはどうしたらいいのか。こういった内容のものは、人気の本の中でも特に増えているように感じます。

1位の『金持ち父さん 貧乏父さん』は、いわずと知れた世界的ベストセラーです。初版の刊行から世界の状況が大きく変化したこともあり、より最新の状況に適した内容に改訂されました。お金とは何なのか、働くとはどういうことなのかを、著者を育てた2人の父さんを通じて学ぶという内容は、まさに「お金と人生本」人気の火付け役と言えるでしょう。しかし、私が気になるのは、本文のいろいろなところで顔を出す「アメリカ的感覚」です。イマイチ、ピンとこない人もいることでしょう。そこでオススメしたいのが『投資家が「お金」よりも大切にしていること』です。一番お金に敏感なはずの投資家が、本当に大切にしていることは何なのか。日本人的考え方を交えて解説されており、深く共感できます。

ご自身もファンドマネジャーとして莫大な数の会社を見てきた藤野英人さんは、社会のためになるようなことをしている会社は生き残る、その逆もしかりということを肌で体感したと言います。綺麗ごとや精神論だけではない、お金に対する哲学を学ぶことができる一冊です。

4位 銀行・保険・投資先…解決策が満載
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』
山崎 元、大橋弘祐 文響社

5位 株価が10倍になる株の探し方教えます
『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』
渡部清二 東洋経済新報社


6位 離婚、宝くじ当せん…未知の人生の末路は
『宝くじで1億円当たった人の末路』
鈴木信行 日経BP社


7位 儲け方でなく付き合い方を学べ
『投資家が「お金」よりも大切にしていること』
藤野英人 星海社新書


8位 グレーな株の理論を徹底解説!
『臆病者のための株入門』
橘 玲 文春新書


9位 意外に身近な億万長者の素顔
『となりの億万長者[新版]』
トマス・J・スタンリー 早川書房


10位 仮想通貨アレルギーでも読んだら納得
『これからを稼ごう』
堀江貴文著、大石哲之監修 徳間書店

■『ナニワ金融道』には言うことなし!

「お金と人生本」という括りの中で私が強く印象に残ったのが『となりの億万長者[新版]』です。億万長者と聞くと、高級車に乗って美味しい物を毎日食べている、といったステレオタイプな想像をしがちですが、そのイメージを覆してくれる本です。むしろお金持ちこそ普通の生活をしていて、逆に生活レベルを上げないことでお金持ちになっている。ということを、多くの取材と細かく具体的な数字を挙げたデータをもとに解説してくれます。この本は、決して億万長者になりたい人が読むものではありません。大きな財を成す人たちがお金に対してどういうスタンスなのかを知る本です。本物の億万長者がどういう生活をしているのか本書を通じて知ると「人の幸せとは何だろうか」と改めて考えさせられ、価値観が変わることでしょう。

最後に、ランクインはしていないものの、私が読者にオススメしたい3冊の本です。

1冊目は『予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン・アリエリー・著)で、行動経済学ブームに火をつけたベストセラーです。人間の行動は、完全に合理的ではない、ということは経験則でわかっていても、日頃、FPとしてお客さまからの相談を受けていて、「なんでそんなムダ遣いをしてしまうの?」と不思議に思っていたことが「そうだったのかー!」と腑に落ちた一冊でした。結構、繰り返し読んでいて、読むたびに(自分を含めた)人間がとってしまう不合理な行動について再認識(そして反省……)しています。

次のおすすめは、『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』(磯田道史・著)です。

FPとして、家計簿というのは、その人の価値観や生きざま、考え、行動パターンなどが色濃く出るものだと考えています。家計簿を見ることで、その時代の人々のモノの考え方がうかがえるとともに、「ああ、時代が変わっても人間が大事にしているものは変わらないのだなあ」と考えさせられました。とくに、時代小説好きな方は必読です。

最後は、『ナニワ金融道』(青木雄二・著)です。本書について、何も言うことはありません。下手なマネー本を読むより、お金に関する生きた知恵が得られますよ!

▼黒田氏が太鼓判! この本が私の人生を変えました
1.『予想通りに不合理』
ダン・アリエリー ハヤカワ・ノンフィクション文庫
2.『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』
磯田道史 新潮新書
3.『ナニワ金融道』
青木雄二 講談社
(1)FPでも疑問に思う人間の行動の不合理を解説。(2)武士と現代人の家計簿の違いと共通点に驚いた。(3)3お金の生きた知恵が学べます!

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黒田尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年に独立系FPに転身。著書に『がんとお金の本』『50代からのお金のはなし』など多数。
 

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子 構成=宮上徳重 撮影=市来朋久 写真=若杉憲司)

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