2020年卒学生の就活は4月26日で終わる
プレジデントオンライン / 2019年1月17日 15時15分
■2020年はGW前が採用活動の勝負
2020年卒業予定学生に対する採用活動が各社で活発になってきた。原則、企業の20年卒の採用活動(広報)の開始は19年3月だが、現在、企業はインターンシップという形で学生と接点をつくっている。業界や仕事、自社の魅力を学生に伝え、就職先の選択肢に入れるよう取り組んでいる。
年々、企業の採用活動が早まり、インターンの実施企業数は増加している。その背景には、採用環境の売り手市場がある。学生が有利な採用環境のため、学生側の活動量が減少しており、そのため学生に自社を知ってもらい、説明会や選考を受けてもらわなければ、そもそも採用まで至らない。
企業の選考のスタートは19年6月だが、多くの企業では広報同様に期日以前から行うだろう。そんな中で注目すべきことの1つが、ゴールデンウイーク(GW)が10連休になることだ。
就職活動が長期間中断されることで、それまでの企業に対する学生の記憶や印象が薄れてしまうため、多数の企業では長期休暇を挟むような採用活動を避ける傾向にある。会社としては選考を通じ、企業への志望度や理解度を高めてきた取り組みが水の泡となってしまうことを避けたい。
そのため、20年卒の採用活動は次の2パターンのうち、どちらかになる可能性が高い。GW前の4月26日までに選考活動を終わらせるパターンと、5月7日以降から説明会を開催し、選考していくパターンだ。
売り手市場で、採用活動が早期化している現状を考えると、4月26日までに採用活動を終わらせるスケジュールが増えることが予想される。そうなると、20年5月の時点での大学4年生の内々定率は、19年5月の42.7%よりもさらに高まるだろう。各社とも、いい人材ほど早く内々定を出したがるからこそ、20年は4月が採用活動の山場となると考えられる。
さて、企業のインターンに参加する学生が増えている一方で、最近は、参加する理由や目的を理解していないがゆえに、インターンからの学びや得る情報が少ない学生が多数見られる。
「みんなインターンに行くから私も行く」と多くの学生は話す。もちろんインターンに参加することは、それだけでも意味があるが、「インターンで何を知ることができれば参加してよかったとなるのか」「何の目的で参加するのか」が抜け落ちてしまっている。それでは何社インターンに行こうが、学びが少ないままになってしまう。
学生にとって就職活動は、単に就職先を見つける場ではなく、自分の強みや特徴を考えるなかで、キャリアについて初めて考える機会と言ってもいい。
世に発信される情報は指数関数的に伸び、様々な情報が得られやすくなったが、反対に、必要・不要、有効・無効の分別がつきにくくもなってきた。
本来であれば、学生自身が社会や企業で働くうえで、必要な捉え方や考え方を知る必要がある。しかし、学生は、知名度のある会社やイメージのいい業界、楽しそうな仕事、福利厚生、地元だからといった観点で企業を選びがちだ。言い換えればそれ以外に選ぶ理由を持っていないのだ。そうすると、売り手市場の現状では、企業が学生のレベルに合わせてしまうケースが多い。だが、採用活動を成功させるためには、企業が学生に社会で生き抜くための考え方を伝えていくことが大事だ。
とくに厳しい採用活動が続く中小企業にとって大切なことは、学生から「大企業より中小企業を選ぶべき理由は何か」と質問されたときに、ちゃんとした回答を用意できるかだ。その回答に学生が納得して、初めて中小企業は就職先の選択肢に入ることができる。
企業規模以外にも社会、キャリア、人生といったことの捉え方や考え方を企業として、ちょっと先に社会人になった先輩として、出会った学生に伝えていく。頭ごなしに理解させるのではなく、学生自身が納得することが大切だ。最悪なのは、企業が伝えることを整理していない状態で採用活動をすること。採用が難しいといわれる今日、企業は学生と「自社に入社する理由」を考えることが採用成功の近道だ。
(採用アナリスト 谷出 正直 写真=時事通信フォト)
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