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"スマホ不通"に備えて準備したい自衛策4

プレジデントオンライン / 2019年1月25日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/nortonrsx)

昨年12月、ソフトバンクで約4時間半にわたって通信障害が発生し、電話が通じなくなった。原因は通信設備の不具合で、ほかのキャリアでも起こる可能性は十分ある。「スマホ不通」に備えておくには、どうすればいいのか。4つの自衛策を紹介しよう――。

■年末の街を襲った大規模通信障害

「スマホがつながらない」――街が年末ムードに染まりつつあった2018年12月6日、ソフトバンクのモバイルネットワークに通信障害が発生した。障害は13時39分頃から18時頃まで約4時間半にわたり、全国でソフトバンク回線が使えない事態となった。

影響を受けたサービスは、ソフトバンクとY!mobileの携帯電話サービス、それとソフトバンクが提供する固定電話サービス「おうちのでんわ」、また、Wi‐Fiルーター「SoftBank Air」だ。さらに、ソフトバンク回線を利用しているLINEモバイル、mineo、日本通信などの格安SIM事業者にも影響が及んだ。

ソフトバンクによると、通信障害の影響を受けたのは約3060万回線で、その原因はMME(Mobility Management Entity)という設備のデジタル証明書が更新されていなかったことによるという。この設備はグローバル企業のネットワークベンダー、エリクソン社の製品であり、障害は国内だけでなく、世界で同時多発的に発生したことも明らかになった。

■初めて公衆電話をかける学生も

ネットワークが遮断された状態では、通信障害が起きたことすら把握できない。当初はスマホの故障かとキャリアショップに駆け込む人も多く、ショップの前は人であふれた。平日の午後だったため、職場や学校などのWi‐Fiを利用して難を逃れた人もいたが、当時のSNSを検索すると、「バ先(バイト先)に電話できない」といった高校生や、「待ち合わせに困った」といったツイートが散見される。その他、地図が見られない、電車の乗り換えが調べられない、Wi‐Fiがどこにあるのかもわからない、など、当日を振り返る投稿もあった。

若い世代には公衆電話を使ったことがない人たちも多い。障害が起きている時間、駅などの公衆電話には行列ができたが、初めて公衆電話をかける学生もいたと聞く。わが家の中学生も公衆電話のかけ方は知らず、テレホンカードを見たこともない。物心ついたときからネットがそばにある世代にとっては、かなり不安な出来事だったのではないだろうか。

■「電子チケット」の落とし穴

また、業務に支障が出た人や企業も多かっただろう。宅配サービスの佐川急便は、ドライバーの携帯電話や専用端末がソフトバンク回線だったため、集荷の依頼や再配達情報がドライバーへ届かなくなった。

格安航空会社ジェットスター・ジャパンも影響を受けた。ソフトバンク回線の携帯端末を使って搭乗券を確認していたため、通信障害の間は照合を手作業で行った。これにより、一部の空港で遅延が発生した。また、全日本空輸(ANA)、伊藤園、PayPayでも業務に支障が出たという。

東京ディズニーリゾートでは、電子チケットをスマホのアプリで表示できない人がいたため、本人確認によって入場する措置を取った。同じく電子チケット関連では、当日開催されたロックバンド「GLAY」や「SEKAI NO OWARI」のコンサートにも影響し、電子チケットをネットがつながる場所でスクリーンショットを撮るよう公式アカウントが呼びかけるなど、各所が対応に追われた。

■通信障害に見舞われたときの自衛策は

これほど大規模な通信障害はおそらく過去に例がなく、総務省は再発防止などの徹底を求めて行政指導を行う方針だという。こうした事態がまた起きることは考えたくないが、もし通信障害に巻き込まれたらどうしたらいいか、備えておくことは大切だろう。そこで、個人でできる対策を考えてみた。

・連絡先を複数確保しておく

LINEやFacebookなどSNSは一切やらないというユーザーもいる。そういう人は、キャリアの電話番号とSMSしか連絡手段がないので、通信障害が起きると連絡がつかなくなってしまう。対策はある。アカウントを作らなくても、やりとりできるアプリがあるのだ。

大手キャリア3社が提供している「+メッセージ」というアプリがある。これは電話番号をベースにつながるサービスで、LINEなどと同じようにインターネット経由でメッセージの送受信ができる。Wi‐Fiなどでネットにつながれば、電話回線がつながらなくてもやりとりができる。

LINEなどと違うのは、アカウントの作成が不要で、アプリをダウンロードするだけですぐに始められる点だ。知らない人とSNSでつながりたくないというユーザーにもおすすめできる。ただし、やりとりをしたい相手がアプリをダウンロードしている必要がある。通信障害に備えて、あらかじめ準備しておくといいだろう。

接続先で鍵マークが付いていないWi‐Fiでの重要なやりとりは避けよう(画像=鈴木朋子)

・フリーWi‐Fiの場所をチェックしておく

通信回線が遮断されても、Wi‐Fiに接続できればインターネットを利用するサービスは使うことができる。LINEの無料通話などのIP電話は使えるし、メールや経路探索も利用できる。通勤経路や近所にフリーWi‐Fiを使える場所がないか、普段からチェックしておくとよい。例えば、東京メトロなどの交通サービス、自治体、コンビニ、カフェなどにフリーWi‐Fiは用意されている。利用するには、メールアドレスやSNSでのアカウント登録が必要な場合もあるので、あらかじめ取得しておいてもいいだろう。

また、Wi‐Fiによっては暗号化されていない場合もあり、通信内容が盗み見られる可能性がある。重要なやりとりには、暗号化されているWi‐Fiを使うようにしたい。暗号化されているかどうかは、Wi‐Fiのネットワーク名に鍵マークが付いているかで判別できる。

 

・キャリアのWi‐Fiを利用する

au、NTTドコモ、ソフトバンクはそれぞれ、キャリアのユーザー向けに無料でWi‐Fiを提供している。今回の障害でも、ソフトバンクのWi‐Fiサービスが利用できた場所もあるそうだ。キャリアWi‐Fiはほとんどのスポットで通信品質がよいが、混雑している時間や場所では遅くなる。とはいえ、セキュリティ面で安心なのでオススメだ。

・ネットワーク回線を2つ以上持つ

あるキャリアに通信障害が起きても、他の回線があれば何とかなる。お金が掛かると不安な人もいるだろうが、格安SIMを最低価格のプランで契約すれば月に数百円の出費で済む。例えばnuroモバイルは月額300円からのプランを用意している。電話をよく利用する人なら、通話付きSIMにすればOKだ。

ただし、メイン回線とサブ回線は異なるネットワークを使うものを選んでおきたい。今回のケースでいうと、メイン回線がソフトバンクなら、サブ回線がY!mobileではどちらの回線にも障害が及んでいるため意味がない。例えば、メイン回線がソフトバンクなら、サブ回線はauのネットワークを使う格安SIM会社と契約を選んでおくと安心だ。

利用するスマホは、今まで使っていた古いスマホでもいいし、中古スマホショップなどでお手頃な価格の端末を購入してもよい。格安SIM会社でもスマホとセットのプランを出しているので、手軽に用意したい人はそれでもいいだろう。

■自衛策で通信障害への備えを

今回の通信障害を「4時間半も!」と感じたか、「たった4時間半」と感じたかは、その人の利用頻度や目的によって異なるだろう。ただ、いつでもモバイルネットワークが使えるようになった今、当たり前につながることができないだけで不安感にさいなまれるのも確かだ。上記の自衛策を取り、万が一に備えていただきたい。

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鈴木 朋子(すずき・ともこ)
ITライター/スマホ安全アドバイザー
メーカー系システムインテグレーターのSEを経て、フリーのITライターに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代が生み出すデジタルカルチャーを追い続けている。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など多数。http://tomoko.chu.jp/

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(ITライター/スマホ安全アドバイザー 鈴木 朋子 写真=iStock.com)

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