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年収2000万で貯金30万バツ2男の浪費癖

プレジデントオンライン / 2019年1月23日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/GeorgeRudy)

年収2000万円なのに貯金が30万円。48歳のゲームプロデューサーの男性は、高年収にもかかわらず貯金がほぼない。原因はド派手な浪費癖と、離婚した妻子たちへの養育費。バツ2で、子供が6人。さらに7人目の子供ができたところで、ファイナンシャルプランナーのところに駆け込んできた。浪費男へのアドバイスとは――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山氏のもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

■老若男女からモテる“人たらし”

最初にお会いした時48歳だった中山雄馬さん(仮名)は、ちょうど翌月にお子さんが生まれるタイミングでした。その子は彼にとって7人目の子どもで、母親である奥さんは3人目。つまり中山さんはバツ2で、1人目と2人目の奥さんとの間に3人ずつお子さんがいました。

子沢山なのもうなずけるほど公私にわたってエネルギッシュな中山さんは、老若男女からモテる“人たらし”といった雰囲気。仕事もできる方で、オンラインゲームのプロデューサーとして人気作を手掛けていました。アプリのダウンロード数やユーザーの課金状況に応じてインセンティブがあるそうで、年収は約2000万円。高給取りのトッププロデューサーです。

業界では名を知られたヒット請負人、家に帰れば良き父・良き夫であった中山さんですが、私のもとに来てくれた50歳目前の当時、貯金は30万円しかなく、資産と呼べるものも一切ありませんでした。人並み以上に働きバリバリ稼いでいた彼が、なぜ金銭的には瀕死状態だったのか。また、どのようにして貯金30万円から起死回生をはかっていったのかをお伝えしていきたいと思います。

■銀座のクラブで一晩100万は当たり前

話を聞く中で見えてきた中山さんの金銭的失敗のひとつは、その刹那的な生き方にありました。

イケメンで社交的、仕事もできて人気者の中山さんは、どことなくバブルの残り香がするイケイケな方でしたが、お金に関してもドーン! バーン! と、ド派手な使い方をしていました。

銀座のクラブで一晩100万円を使うのは当たり前。週末になれば六本木のクラブを貸し切ってパーティを開き、ビンゴの景品としてブランド品をじゃんじゃん放出(※すべて自腹)。身につけるものはハイブランドで固め、車も時計も一流品。食事は朝以外ほとんど外食で、一人でご飯を食べたくないからと、食事の席には必ず部下や知人が同席し、中山さんがお会計を持つのが毎日ということでした。

■見栄っ張りタイプの浪費家は女性にもいる

「その瞬間が楽しければオールOK!」と、日常生活のあらゆるシーンにお金をかけていたので、中山さんのお金でおいしい思いをしたい有象無象の輩も群がっていたかもしれません。とはいえ本人は豪快でおおらかな方なので、それすら気にしていなかったと思いますが……。

こういった見栄っ張りタイプの浪費癖を持つ人は、女性にも少なくありません。旅行で泊まるのは最高級ホテル、毎週エステに通い、ペットの洋服はブランド品というようにあらゆるものにお金をかけ、とにかく最上級であることを求める。当たり前ですが、こういったお金の使い方をする人は、毎月100万稼いでいようとも、貯金はほぼできません。「羽振りがよさそうだな」と思えるリッチな見た目でも、中身は驚くほどお粗末、という相談者は案外多いんです。

■1000万円を貯められる人には「信念」がある

反対に2、30代のうちから1000万円以上貯めることのできているお客様に共通しているのは、支出にメリハリがあること。あるお客様は手取り20万円の中で投資もして、好きなライブにもお金を惜しまない。そのかわり普段は外食せず自炊が基本で、移動も自転車を使って節約しています。

つまり貯蓄上手な人は、お金の使い方に確固たる信念があるんです。中山さんのように寂しさを紛らわせるために毎日人に奢って外食したり、好きでもないブランドの洋服を見栄のために買ったりするような“ポリシーなき浪費”が、金銭的失敗を招くのです。

さらに彼の場合、女性にモテることも問題を悪化させてしまった要因のひとつだと思いました。学生時代からこれまで一度もパートナーがいなかった時期がないという中山さんですが、それは言い換えれば、自分を見つめ直す時間がなかったということ。

「彼女が欲しいけどできない」「異性とうまく話ができない」といった悩みや葛藤があるからこそ、人は立ち止まって反省できるもの。でも中山さんのようにナチュラルボーンでモテてしまうと、なかなか自分自身と向き合うことがない。しかも仕事もできてしまうので、これまで立ち止まって内省する時間がなかったことも、刹那的な使い方をしてお金で失敗している原因のひとつだと思えました。

■養育費に婚姻費用……離婚は金銭的に大きなロス

豪快な浪費癖に加え、中山さんには毎月、離婚した妻子の養育費50万円の支払いも重くのしかかっていました。といっても彼自身はお金に無頓着なので、「払えてるんだから別によくね?」といった感じ。貯金もなく、ちまちました資産形成にも興味がなかった中山さんですが、そんな彼が私のもとに訪れた理由……それは、3番目の奥さんでした。

これまで「買って買って」と彼におねだりばかりしていた専業主婦の前妻2人とは異なり、現夫人は小学校の先生として働く倹約家。「家計……なにそれ?」状態だった今までとは打って変わって、「一緒に子供のために頑張ろう」と励まされたことから一念発起。生まれてはじめてお金のことに向き合う覚悟を決めたということでした。人生パートナー次第といいますか、賢妻の力によって彼が変わった瞬間でした。

ちなみに中山さんほど稼ぎのある男性の場合、離婚は金銭的な痛手になることが多いです。子供がいれば離婚後は養育費の支払いが発生しますし、相手が専業主婦だと年収差が大きくなるため、養育費もそれなりの査定が出てしまいます。

また、離婚が成立する前には「婚姻費用」を支払わなければいけないケースもあり、高所得者が何度も結婚・離婚を繰り返すことは、金銭的には大きなロスと言えるのです(でもやっぱり中山さんは気にしていなかったですが)。

■お金の管理を共有している夫婦は仲がいい

新たな伴侶のおかげでお金への意識改革が起こりつつあった中山さん。こういった方に私がまずアドバイスするのは、先取り貯金をすることです。いくら堅実な奥さんがそばにいるからといって、もともとの派手好きな性格はすぐには変えられません。だったら会社の財形や社内預金といった制度をフル活用し、給与から天引きしてできる貯金をまずは実行してもらいます。毎月どれくらいのお金を使っているのか認識がない、とにかくあるだけ使ってしまうという方は手元のお金を最小限にし、残りは貯金に回してもらうようにします。

これによって毎月20万円ずつ貯金できている中山さんは、最近「つみたてNISA」もはじめたそうです。コツコツ貯金をするのが大嫌いと言っていた人とは思えないほどの変化ですよね。これまでのように散財できないストレスもこぼしていましたが、それよりもやはり、いいパートナーと出会えたことの方が大きかったようです。

お客様の中でも夫婦仲の良いカップルは、お金の管理がきちんとできていることが多い気がします。夫と妻が別々にお金を管理してしまうと、「あなたが貯めていると思った」と、互いをアテにしていた結果まったく貯金が進まなかったり、お財布状況がわからないがゆえにちょっとしたことで不信感を持ってしまいがち。だからパートナーとはお金の情報を互いに共有し、管理していく「貯蓄の見える化」をおすすめしています。

■「彼氏にお金の話ができない」若い女性が多い

でも最近私のところに来る若い女の子は、彼氏にお金の話を聞けないって子が8割なんです。結婚を考えていないのならいいですが、将来を共にしたいと思う相手なら、お金の話をしないほうがよっぽどリスキー。お金の使い道を知ることは、ライフプランを共有することにも繋がります。お休みは映画館に行って美味しいご飯を食べることにお金を使いたい人と、渓流釣りにお金を使いたい人とでは、趣向が異なりますからね。

「なににどれだけお金を使ってる?」と聞いたとき、パッと食費や光熱費が言える人は、きちんと家計を管理している人。「お金に賢い」と言ってもいいかもしれないですね。ここまで踏み込んだ質問がしにくい場合は、「宝くじが当たったらなにに使う?」でもいい。貯金、旅行、不動産……いろいろ答えはあると思いますが、それだけでも相手のお金に対するスタンスが見えてくると思います。

お金の使い方でズレが生じると不仲の原因にもなるので、ぜひ大切な相手とこそ、共有されることをおすすめしたいですね。

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高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)
Money&You取締役。CFP®。慶應義塾大学卒業。2005年に(株)エフピーウーマンの創業に携わり10年間取締役を務めた後、現職へ。主に女性向けに、全国で講演、執筆・監修、書籍、マネー相談を行っている。著書に『やってみたらこんなにおトク税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『35歳までにはぜったい知っておきたいお金のきほん』(アスペクト)など多数。

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(Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士 高山 一恵 聞き手・構成=小泉なつみ 写真=iStock.com)

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