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親が住む家の隣が空き家だと面倒なワケ

プレジデントオンライン / 2019年3月1日 9時15分

写真=iStock.com/y-studio

■5年経つと所在をつかめない

全国的に空き家が増えているが、親が暮らす家の隣が空き家になっていたら要注意。治安悪化につながるだけでなく、将来の相続に影響を及ぼす可能性があるからだ。

親が亡くなり、実家を相続することになったとしよう。困るのは、相続を機に実家を処分するときだ。

不動産取引には、登記簿に載った面積に合わせて価格を決める「公簿売買」と、実際に測量した面積に合わせて価格を決める「実測売買」がある。登記簿上の面積と実測の面積は一致しないことがあるため現在は実測売買が主流だが、実測時は隣地所有者の立ち会いのもと、隣地との境界線を確認する必要がある。このとき隣家が空き家なら、所有者探しから始めなければいけない。これが案外、面倒なのだ。

土地家屋調査士の佐々木義徳氏は、所有者が不明な場合の手順を次のように説明する。

「隣地の登記簿には所有者が記載されています。しかし、実際に所有者がそこに住んでおらず、現住所もわからない場合は、役所に職務上請求を行い、所有者の住所を調査します。住人の転居後、住民票は移転先を記載したうえで除住民票として保管されますが、除住民票の保存期間は5年。つまり、5年より以前に引っ越した隣人の次の住所は追えないのです」

隣地所有者の居場所が不明なときは、「近所の人に、年賀状などをやりとりしていないか、刑事のように聞き込みをする」(佐々木氏)という。

それでも見つからなければ、「筆界特定」の申請をする方法がある。筆界特定は、法務局が外部専門家の意見を参考にして筆界を特定する制度。隣地所有者の居場所がわからなくても申請は可能だ。ただ、この制度にも盲点が……。

「近年、制度の利用件数が増え、申請から特定まで1年近くかかるようになりました。いざ相続で土地を処分したくても、筆界が特定されるまで売却できずに困っているという声をよく聞きます」

こうした事態を避けるには、隣地に所有者が住んでいるうちに境界確認をすべきだろう。

■親が昔に買ったマイホームは要注意

親がマイホームを手に入れたのが古い時期だった人は、とくに要注意だ。現在、土地の分筆登記には地積測量図の添付が必要だ。地積測量図が正確なら、隣地所有者の立ち会いによる境界確認がなくても、公簿売買できる可能性がある。ただ、分筆された時期が古い時代であるほど、地積測量図の信頼性が落ちてしまう。

「平成6年に、地積測量図の記載事項が変更になりました。それ以前のものは、必要な情報が欠けているおそれがあります。また、昭和30年代以前に分筆登記された土地は、そもそも地積測量図がないことも多い。さらに、昭和40年代以降に分筆され、地積測量図が登記所に保管されている土地でも、残地求積の場合は、面積のずれや辺長・境界標の記載がないものもあります。

親がこれらに当てはまる土地に住んでいるなら、放置は危険。いまのうちに対処したい。

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=土地家屋調査士 佐々木義徳 図版作成=大橋昭一 写真=iStock.com)

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