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28歳住宅メーカー社長が初めて買った家

プレジデントオンライン / 2019年2月11日 11時15分

オープンハウス取締役常務執行役員 福岡良介氏

大手不動産会社の役員は、これまでどんなところに住んできて、将来どうするつもりなのか。業界のトップランナー3人に聞いた。第3回はオープンハウスの福岡良介・取締役常務執行役員――。(全3回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月3日号)の掲載記事を再編集したものです。

日当りのよさを重視した目黒の自社物件
DATA●東京都目黒区●3階建て、3LDK●購入から10年居住

■いい土地いい物件は「空気」でわかる

不動産をお求めになるお客様が重視されるポイントはさまざまですが、私は、土地や物件を見る際、その場所に流れる「空気」を重視してきました。

大学を出てすぐから不動産会社に身をおいていますので、数えきれないほどの物件を見てきました。そのおかげで、最近ではクルマを降りた瞬間に感じられる「空気」でその場所の環境がわかるようになりました。

中学生までは東京・江戸川区の都営団地に住んでいました。父と母と私の3人で、40平米あるかないかの部屋でした。工場も多く、あまり環境のいい場所ではなかったのですが、近くに商店街があり、下町らしい活気にあふれていて人情に厚く、暮らしやすい場所でした。近くに川があり、よく釣りをしたりしましたが、大雨や台風のときは自然の猛威を肌で感じられる場所でもありました。

その後家族で引っ越し、高校時代は千葉県の新浦安駅に近い公団、大学のときは海浜幕張駅が最寄りの賃貸マンションから通学しました。どちらも2LDKの物件で、両親と一緒に暮らしていました。

■仕事最優先で決めた三軒茶屋のアパート

住む場所に何を求めるかは人それぞれ。私の場合は、子どもの頃に下町で育ったこともあり都心に住んでみたいという憧れがずっとありました。

はじめての一人暮らしは会社に入ってから。オープンハウスは当時、社員数50人、売上高が10億円に達するかどうかの小さな会社でした。この16年で現在はグループ全体で約2300人、売上高3800億円(2018年9月期予想)に達しています。

私は新卒採用の第一期です。就職活動ではことさらにベンチャー志向だったわけではなく、伝統的な大手企業からもいくつか内定をもらいました。ところが、グループ代表の荒井正昭と出会って「一緒に日本一の不動産会社を目指さないか」と熱く語られ、荒井の人間性とその志に惹かれ入社したのです。

写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

最初の一人暮らしは世田谷区三軒茶屋のアパートでした。勤務する事務所が世田谷区の三宿にあり、通勤は自転車で10分ほど。当時の住まい選びは、環境やスペックには関心がなく、働くうえで便利な場所というのが唯一の条件でした。現在では考えられませんが、入社から数年は早い時間に帰宅した記憶がほとんどありません。これから成長を目指すベンチャー企業ですし、採用面接でも「うちは猛烈だよ」と聞いていたので、それが当然だと考えていました。

最初の仕事は戸建ての販売営業で、他社が建てた物件を仲介して売っていました。しかし、入社1年目の12月、会社が土地の仕入れ・分譲を行う事業を積極的に進めることになり、私もグループ会社に異動になりました。

■1日50件に営業をかけた駆け出し時代

はじめは用地の仕入れ営業を担当。担当エリアは品川区、目黒区、世田谷区、大田区などのいわゆる城南地区と、港区、渋谷区などの一部都心エリアでした。

まだ新人ですし、個人的には用地の仕入れについて何も知りません。会社の知名度も業界ではまだ低く、すべてが手探り状態でした。とりあえず用地情報が集まってくる不動産会社に飛び込み営業をかけ、「建売用地になる土地が出たらぜひ紹介してください」と頼んで回りました。多い日は50社ぐらいに顔を出しました。

半年後には月10棟ほど建てられる用地が手に入るようになり、年間100棟を販売できる見込みが立ち、2年目には10人を預かるチームリーダーになりました。事業のほうも掛け算のように大きくなっていったのです。この戸建事業が現在では当社の事業の中心になっています。

私が始めた営業スタイルは、現在では組織的に展開しています。さすがに1日50社は難しいですが、各担当は20社から30社を訪問しています。

■リーダーとしての「覚悟」を決めた一軒家購入

最初の三軒茶屋に3年間住んだ後、桜新町にある賃貸のワンルームマンションに移りました。そこに住む間に結婚して、目黒区に一軒家を購入しました。当社が新築分譲した家です。入社6年目の28歳の頃でした。

当時はリーマンショックが起こる少し前。すでにサブプライムローン問題が深刻化し出した頃で、景気の雲行きが怪しかったので、家を買うのに絶好のタイミングではなかったでしょう。

しかし私は、すでにオープンハウス・ディベロップメントの代表でしたから、リーダーとして自分を鼓舞し、覚悟を決めるためにも思い切って買ったのです。潤沢な貯えがあったわけではなく、購入資金のほとんどはローンでした。

初めての持ち家の立地は、東横線の学芸大学駅から徒歩5分と近く、商店街が充実していて生活しやすい場所でした。渋谷のオフィスまでクルマで20分ほどと通勤の便もいい。またそれまであまり住んだことのない高台で、日当たりのよさも購入のポイントでした。

家は3階建て。1階がクルマ1台分の車庫とバスルーム、12畳の部屋、2階はワンフロアすべてがLDKです。3階には7畳くらいの部屋が2部屋あり、寝室に使っていました。

土地が80平米、建物の面積が全体で120平米ほど。土地は少し狭いけど、空間的な広がりを持たせ、立地がよいわりには価格も抑えた、当社の商品コンセプトに沿った物件です。間取りは妻と2人では広いと感じましたが、その後に子どもも生まれ、ちょうどいい広さになりました。17年5月に世田谷区の少し広い家に引っ越しましたが、会社の成長と、家族の成長をともに過ごした思い出深い住居です。

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福岡良介(ふくおか・りょうすけ)
オープンハウス取締役常務執行役員
1978年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、2002年オープンハウス入社。06年オープンハウス・ディベロップメント代表取締役に就任。18年より現職を兼務。
 

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(オープンハウス取締役常務執行役員 福岡 良介 撮影=的野弘路 写真=iStock.com)

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