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家庭不和の解決策は"妻は社長、夫は子供"

プレジデントオンライン / 2019年1月29日 11時15分

写真=iStock.com/monzenmachi

わが国の離婚件数は毎年21万件。なぜ男女はすれ違うのか。心理カウンセラーの五百田達成さんは「男と女のコミュニケーションは決定的に違う」という。「プレジデント」(2019年2月18日号)の特集「人を動かす言葉大全」より、記事の一部をお届けします――。

■わがまま妻、ぐうたら亭主への話し方

愛し合って結婚したものの、生活を共にするにつれ浮かび上がる相手の欠点、価値観の違い。あー、イライラする、腹が立つ、とササクレだっていませんか?

「男と女のコミュニケーションは決定的に違う」と男女の心理に詳しいカウンセラーの五百田達成さん。

「たとえて言うなら、ロシア人になぜ日本語をしゃべらないのだと言っているのと一緒。向こうには向こうの言葉があります。それを踏まえて日本人も『スパシーバ』、ロシア人も『アリガトウ』と、互いに歩み寄ることが大切なのですが、同じ人間なのだから通じるはずと思い込んで、それぞれ勝手にしゃべり、全然通じないと怒っているのが男女のコミュニケーション」

一緒に生活していれば、当然、不満は生まれる。それをどのように相手に伝えればよいのか。どう話せばケンカにならずに、改善を促せるのか。

「妻を動かす話し方と夫を動かす話し方は根本から異なります。これを間違うと火に油をそそぐことになりかねません」(五百田さん、以下同)

たとえば、夫や妻の「片付け」や「お金」のルーズさへの不満。だらしない男もいれば、だらしない女もいる。

片付けが下手な妻にはどう伝えればよいのか。五百田さんは、夫は妻を社長だと思って接すべきで、そのほうが家庭はうまくいくと言う。

「基本は夫が自分でやる姿勢を見せること。間違っても『これ、片付けて』などと上から目線で言ってはいけません。『これ、しまってもいい?』と妻の許可を得ながら自分で片付ける。片付いているという状態の感覚は人によって違います。夫が散らかっていると感じても、妻は片付いていると思っているかもしれませんから、黙って片付けるのはよしたほうがいい。『このへんスッキリしたら、きっと気持ちいいよね』と、妻の感情に訴えるのが基本です」

感情に訴えるのでも「ここ散らかっていて気分が悪いよね」など相手を否定する言い方は逆効果なので要注意。

逆に妻が、夫に整理整頓してほしい場合は、具体的なタスクとして明示すべきだと五百田さん。

「男は共感力に乏しいので『このへんスッキリしたら、きっと気持ちいいよね』と感情に訴えても意味はありません。『そう?』で終わってしまいます。むしろ『こういう理由なので、いつまでにこれをこうしてほしい』と論理的に伝える。納得すれば、不承不承でも夫は動きます」

夫の金遣いを改善したい場合も同じだ。

「いつまでに家を購入したい。それまでに頭金はいくら必要。現状はこう。だから月々の出費はここまで。私も抑えるので、あなたも協力してください、と。そういう機会を持てば、『(嫌だけど)わかった』となるでしょう」

しぶしぶ承知、嫌々やってやるという夫の態度にムカッとする妻。

「夫が快く納得することはありません。文句も言うでしょう。でも、心がこもっていないと怒ってはいけません。要は夫の行動が変わればいいのですから。女性は気持ちが変わらなければ行動は変わりませんが、男性は行動を変えることで気持ちは後からついてくることが多いのです」

妻の浪費を変えたいときも、「無駄遣いだ」と頭ごなしに否定するのではなく、1度、妻の感情に寄り添うことが大事だ。

「女性がセールで買い物に熱狂するのは、実際に安くて得をしたかとは関係ありません。セールという高揚感を買っているのです。ママ友との豪華なランチも、雰囲気、時間そのものを楽しんでいる。

まず『楽しかったようだね』と共感を見せ、金額や頻度を抑えてもらう方向へと導くのはそれからです。もう少し言えば、妻の浪費は満たされない気持ちの表れ。満たしてあげれば収まるかもしれません」

耳が痛い夫も多いだろう。

「○さんの家も、△さんの家もそうだから、うちも」と、よその家庭と比べる妻。夫は「うちはうちだ」と言い、ぶつかることに。

「女性は自分に近いフィールドを大切にするのに対し、男性はそこにはまるで無頓着で、日本や世界を語りたがるものです」と五百田さん。

夫は妻の視野の狭さを見下しがちだが、妻は社長であることを思い出そう。妻が本当に求めているのは会話のラリーだと五百田さんは指摘する。

「とにかく『○さんは何と言っているの?』『△さんの家は?』とカウンセラー的に妻の話を聞くことです。会議ではないのだから、結論は必要ない。妻は夫と会話していることに安心するのです。興味がなくても、寄り添い聞くという姿勢が大事です」

妻の感情が爆発したら?

「これは受け入れて沈静化を待つしかない。『まあまあ、冷静に』となだめても『なんであなたはいつも上から目線で』と火に油を注ぐことになります。求められているのは共感。演技でもかまわないから妻の感情に付き合い一緒に怒る。怒るふりをする。感情を誇張して付き合うのも1つの技です。激怒する夫を見て冷静になるかもしれません」

女性同士の果てしないおしゃべりは男性には不思議だが、彼女たちはおしゃべりすることで「私たちは仲良し」という信号を交換しているのだ。夫も社長の長話に付き合えさえすればいいのだ。

女性に比べ、男性は幼稚。男もそれはわかっているから「あなた親でしょ? 子どもね!」と叱られても、「しめた、子ども認定を受けた。ラッキー!」と思うだけのこと。

「多くのお母さんが、夫を手が掛かる大きな息子と言いますが、その通りで、男はずっと子どもでいたいのです。夫に自立を求めてもまず無理」

夫に自分と同じ母性性を求めてはいけないと五百田さんは言う。

「女性は、人はみんな自分と同じように考えると思いがちですが、それは大きな勘違い。だから、自分は家庭を第一に考えるのに、夫が家庭をおろそかにして仕事や個人的な趣味にお金や時間を使うことが理解できなくてイライラする。夫の扱いは子どもと同じように小さな作業を与え、『あ、できた。すごいね』と褒めて育てるのが基本です」

夫が家事や子育てに協力的でないのも、興味がないから。だからタスク化する。ゲーム化して競争させ、頑張っていることを褒める。そうしたほうが夫は動きやすいのだ。

○結論

無用な衝突を避けるためにも、夫は妻を社長と敬い、表面的でも共感するふりをする。妻は夫を手のかかる子どもとみなし、褒めて育てる。肝心なのは歩み寄りの姿勢。相手をねじ伏せて変えようとしても溝は深まるばかりだ。

「夫の心がけとしては、会話のラリーを遮断しないこと。生返事でもいいから『うんうん』と聞いているほうがまだまし。『ちょっと聞いてるの?』『あ、ゴメン聞いていなかった』『もう本当にあなたったら!』というケンカのほうが、『うるさい』と怒鳴って黙るよりも100倍いいでしょう」

そもそも妻を社長だと思えば、「うるさい」とは怒鳴れないはずだ。

▼わからないからこそ惹かれ合う男と女の思考の違い
男は察しないvs女は説明しない
男は理屈で動くvs女は感情で動く
結果を重視する男vs過程を重視する女
男は褒めてほしいvs女はわかってほしい
ケンカをすると男は黙るvs女は泣く
男は縦社会で生きるvs女は横社会で生きる
世界から認められたい男vs世間から認められたい女
『察しない男 説明しない女』(五百田達成著)より抜枠

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五百田達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。

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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成 構成=遠藤 成 写真=iStock.com)

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