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"イチゴの次は和牛"平気で日本産盗む隣国

プレジデントオンライン / 2019年2月1日 15時15分

写真=iStock.com/chrisho

■和牛の受精卵を、中国当局が発見

2018年の平昌五輪において、カーリング女子日本代表が試合の休憩中に食べた韓国のイチゴを「おいしい」と発言したことが反響を呼びました。このイチゴはもともと日本が品種改良を重ねてきたイチゴの苗木を韓国へ不当に流出して開発された品種でした。日本の農家が長年かけて開発したおいしいイチゴが、韓国に盗まれた過去を多くの人が知ることとなりました。

その後、農林水産省は海外での無断栽培差し止め請求の費用援助など、国内開発のフルーツが海外で流出することを防ぐ対策を強化しました。農林水産政策課は、「国が普及と啓蒙に力を入れたことで、無断栽培の防止が進む」との見解を述べました。

しかし、そんな対策強化の表明後、18年12月に、日本産の和牛が輸入を禁止しているはずの中国で、大量に流通しているという事実が発覚しました。

和牛の輸入を禁止しているはずの中国で、なぜ日本の和牛が出回ったのか。日本がカンボジアへ輸出した和牛が「裏ルート」で、中国の高級店などに持ち込まれているというのです。同年7月頃には輸出が禁止されている和牛の受精卵が日本のX線検査を通過して持ち出され、あわや流出寸前だったことが明らかになっていました。幸い、受精卵を仕込んだストローが国内を通過、中国当局が発見し未遂に終わりました。最悪のケースは免れましたが、それでも農水省の対策には不安が残ります。

農水省の発表によると、17年は日本の牛肉の海外輸出額は192億円にのぼります。ここへきて、中国の「表ルート」が開通すると、その額が大きく飛躍することは確実視されています。

しかし、中国側は食品輸出解禁を日本への外交カードにしたい狙いがあり、現時点では表ルートの扉は固く閉ざされたままとなっています。もしも件の受精卵持ち出しが成功していた場合は、国際的な国内の和牛ブランド力の失墜と販売機会ロスになります。海外でも人気の日本の和牛の不正持ち出しは何が何でも防止しなければいけません。

和牛だけでなく、やっぱりイチゴでも残念な出来事が起きました。19年1月、前・北海道議会議員の小野寺秀氏が自身のツイッターで「北海道のイオン店で韓国産のイチゴが堂々と店頭に並べられていた」といった内容を写真付きで投稿し、拡散されました。

イオンは「法的な問題はないが、国民感情の空気を読んでいない」(撮影=プレジデント編集部)

日本中を騒がせたカーリング娘の「韓国イチゴおいしい」騒動から1年足らず、さらに和牛流出未遂など国民が自国の食品を次々と奪われる騒動で緊張感が漂う中での出来事でした。表向きは「韓国オリジナルブランドイチゴ」となっていますから、法的な問題はないとはいえ、「国民感情の空気を読まない陳列」になりました。

問題は韓国が日本に安価なイチゴの逆輸出を開始したことだけではありません。オーストラリア政府は19年にも、日本産イチゴの輸入禁止を解禁する見通しです。これにより、日本のイチゴ輸出の機会を得られると期待が高まりますが、そこには韓国の影が暗躍します。韓国は日本より足早に動いており、先行してイチゴの輸出をする可能性があります。もともと日本から盗んだイチゴなのでその品質は極めて高く、価格優位性を持つ韓国イチゴは日本にとって驚異といえるでしょう。日本貿易振興機構(JETRO)の発表によると、香港市場でイチゴ1パック(200~220グラム)当たり日本産「さがほのか」が115香港ドルであるのに、韓国産「梅香(メヒャン)」が49.9~59.9香港ドルと、韓国産は日本産の半分ほどです。現時点では高級路線戦略が功を奏し、香港市場で優位に立つ日本産イチゴですが、この先は価格面で戦況を変えられてしまう懸念が残ります。

イチゴ日韓戦の舞台はオーストラリアに移ります。日本政府には価格面での劣勢面を補う施策を講じるとともに、これ以上国内から食品を持ち出されない法整備の拡充へ乗り出すことを強く望みます。日本の高品質の食品は常に持ち出される可能性があることを念頭に置き、将来国益をもたらす数々の食品の保護に対する具体的な施策の制定に尽力いただきたいと思います。

(フルーツビジネスジャーナリスト 黒坂 岳央 写真=iStock.com 撮影=プレジデント編集部)

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