京大首席が実践する興味ない分野の勉強法
プレジデントオンライン / 2019年2月6日 9時15分
※本稿は、粂原 圭太郎『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」』(KADOKAWA)の5章「『読書』を日常で役立てる 応用実践法」の一部を再編集したものです。
■興味のない本を読む方法
私は、基本的に興味のない本は読まないようにしていますが、仕事や学習をする上で必要性が生じたら読まざるを得ません。そんなときの方法をお教えしましょう。
まずは、興味を持つ努力をするということは大前提なのですが、それでもなかなか興味が持てないときは、「まえがき(はじめに)」をよく読みます。いつもよりもしっかりと読むのです。「まえがき」で魅力を感じなければ、読者は類書に手をのばすでしょう。
だから「まえがき」は、この本を読ませようとして、「なぜこの本は書かれたのか」「この本は、どんな本なのか」「第1章から最終章までにどんなことが書かれているのか」など、一番読者をひきつけるようなことを書いているはずです。そう思って読んでみると、多少なりともモチベーションが高まるのではないでしょうか。
それでもダメならば、次に著者について調べてみることです。
「こんな人が書いているんだ」「こんな面白い体験をしている著者なんだ」「他にもこんな活動をしているんだ」などと、興味が湧いたらしめたもの。著者に興味を持つことができれば、本の内容も吸収しやすくなります。
以前ベストセラーになった『大富豪アニキの教え』(兄貴〈丸尾孝俊〉/ダイヤモンド社)の著者のプロフィールは、「大阪生まれ。3歳で母親が家を出る。中学校卒業後、看板屋に丁稚奉公。 その後、吉本興業事業部に入社。独立。トラック運転手からセミナー会社経営などを経て28歳で単身バリ島へ渡る。手持ち資金18万円、的屋業からはじめた商売は関連会社31社(従業員5千数百名)のグループ会社に成長。バリを中心にアジアに不動産資産数百ヘクタール、数十件の自宅を所有」(バリ島のアニキ公式サイトより)となっています。本のタイトルやカバーではなく、このプロフィールで読んでみたいと思いませんか。
■「強制的」に「自動で読む」仕組みを作る
しかし、ここまでやってもまったく興味が持てず、なおかつ絶対に読まなければならない本であれば、僕は、各章ごとに本を分断します。
そしてそれぞれの章を、トイレやお風呂、ベッドなどに置き、その場に行けば、ちょっとでもその文章を読まなければならないと決めるのです。例えば、お風呂入っているときは1章を読む。トイレでは2章、布団に入ったら3章、これらを読み終えたら、今度は、新たな章と入れ替えます。強制的に読まざるを得ない状況をつくることがポイントです。
■それでも一番いいのは「興味を持つこと」
これでもダメであれば、最後の手段。自分で一度、声に出して音読し、それを録音します。それを移動時間などに流しておくのです。その本の朗読バージョンが出ているなら、それを購入して聞きます。
![](https://president.jp/mwimgs/b/e/-/img_be96046f2fd228d7236460a656f75b8174902.jpg)
最終的には、自動的に情報が入る仕組みをつくる、半分でも自動化できるようにするといいでしょう。
しかしやはり、情報を吸収する上で一番いいのは、なんとかしてその分野にも興味を持つことです。好きになる努力をするというのが一番大切な手段だと思います。
■0から勉強するときの本の選び方
新しいプロジェクトに参加させられて、これまでやったことのない業務に飛び込むことは、ビジネスパーソンにとって珍しいことではありません。そんなとき、どうやって新たな分野を学習したらいいのでしょうか。
まずは、入門的な本を1冊選んでください。漫画でも構いません。自分の中に情報として入りやすいものを選ぶことが大切です。
そして、その本を気軽に読んでください。一生懸命、一語一句逃さずに読もうなどと思わないことです。読了したら、次は王道系というか、そのジャンルのベースとなる本をセレクトします。
ここでは著者独自の主張が強いものは避けましょう。まだ下地ができていない状況なので、いきなり個性の強いものを読むと、はじめから偏向的な考えになってしまうかもしれません。この点は要注意です。
3冊目は、またベーシックな本を選びますが、2冊目とはちょっと違ったパターンのものがいいでしょう。いくら基礎を固めるための本だとしても、多少なりとも各出版社によって違いがあります。
実務書で見るとわかりやすいのですが、面接の受け方、会社経理のやり方、プレゼンテーションの方法など、基本は大して変わりません。しかし細部を見ると、やはり違いが見えます。このような細かな違いを比較しながら読んでいくことで、記憶の定着につながります。また平面的だった情報が、立体化されて見えるでしょう。
■4~5冊目の選び方で深掘りの度合いが変わる
4冊、5冊目は、その分野をどこまで深掘りしたいかで分かれますが、基本的には有識者が書く発展系の書籍がいいと思います。気に入った著者がいれば、その本でもいいでしょう。さらには、もしその有識者とお話ができる機会があるなら、必ずその人の本を読んでおくことです。この辺の本に関しては、疑問を持ちながらじっくり読み進めていくことをお勧めします。この4~5冊目をどうセレクトするかで、深掘りの度合いが変わってきます。
例えば、私の知り合いがガンになってしまったとしましょう。
その時、ガンについての知識を入れるモチベーションは、非常に高くなると思います。ガンについて学ぼうと思ったとき、「ガンとはそもそもなんだろう」という入門書から入り、「こうすれば治る」という本、次にその情報を補填するような大学の先生が書いた本を3冊くらい読むでしょう。さらに、もしそのガンが身内や親友であれば、医学書まで読むと思います。
■「必要だ」と強く思っているほど吸収力が上がる
どんな分野でもこのような方法で4~5冊読めば、専門家の話になんとかついていけるくらいにはなります。
先述したように、自分にとってその情報の重要性が増せば増すほど、本からの吸収力は上がるでしょう。
塾で生徒を指導する上で、「どうしたら勉強のやる気が出ますか?」という質問や相談が一番多いので、やる気を出させる心理学の本だったり、脳科学の本だったり、人間はどういう基準で行動選択しているのかという行動経済学の本だったりと、やる気の分野に関してはかなり深掘りをしています。
これは私にとって重要な仕事なので、時間を惜しむことなく勉強することができています。ここまでくると、心理学の先生とも話ができ、より深い知識を入れることができるのです。
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教育家
1991年、群馬県生まれ。京都大学大学院法学研究科卒業。大学在学中に「勉強革命.com」を運営し、やる気が出る勉強法を受験生に伝授。現在はオンライン学習指導塾「粂原学園」で、小学生から高校生まで全国各地の受験生を指導している。
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(教育家 粂原 圭太郎 写真=iStock.com)
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