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"20世紀最大の海運王"に確実に会う方法

プレジデントオンライン / 2019年2月15日 9時15分

翻訳家・通訳者・ジャーナリスト タカ大丸氏

優秀なビジネスパーソンは「話し上手」といわれる。だが実際には「トーク力には自信がない」と答える人が多い。なぜイメージと矛盾するのか。7人のプロに話を聞いた。第3回はジャーナリストの「突破する力」――。(全7回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

■留学生活で得たのは語学力だけではない

翻訳家として自ら発掘した海外書籍を出版社に売り込み、手がけた本は累計25万部を超える。ジャーナリストとして世界中の数々の大物に深く入り込む。そんなタカ大丸氏の話し方の極意とは。

父から受けた並外れたDV、そして貧困生活。そこから脱出するために私が選んだのは米国留学だった。外国語をマスターし、それで稼げる人間になろうと思ったのだ。

留学生活で得たものは、語学力だけではない。人に対する圧倒的な敬意と思いやりだ。

2000年に入学したニューヨーク州立大学ポツダム校でのこと。ルームメートのドイツ人カップルが何やら話し込んでいた。さりげなく耳を傾けていると、話の内容が理解できた。

また別の日、メキシコ人の女子学生2人が近くで話していた。その話の内容も掴めた。本来、彼らはドイツ語かスペイン語で話すはずで、聞き取れるわけがない。おかしいな、なんで自分はわかるんだ、天才なのかなと(笑)。

でも、後ではっと気付いたのは、使われているのが英語だったということ。彼らは彼ら以外にひとりでも人がいるときは、いつでも会話の輪に入れるように英語を使っていたのだ。強い衝撃を受けた。

私は翻訳と通訳の仕事以外にもジャーナリストとして取材することも多い。そこでも相手に対する敬意と思いやりはとても大切だと思う。誰でも自分に対して強い興味を持ち、前もってしっかりと調べて取材する人には心を開いてくれる。開口一番に聞くべきは、相手が話したいこと。それから、「はい、いいえ」の択一で答えられる質問ではなく、「どう思うか?」などのオープンクエスチョンにすることだ。これなら2時間でも3時間でも話してくれるだろう。

大物で簡単には会えない人の場合はどうか。皆さんは20世紀最大の海運王と言われたギリシャの実業家、アリストテレス・オナシスに会いたいと思った若いビジネスマンが何をしたか、わかるだろうか。オナシスが滞在するペントハウスのエレベーターに一日中乗っていたのだ。その日の遅く、出会うことができた。

だから、本当に会いたいなら、その人のことをとことん考えるといい。

以前、作家で僧侶の今東光さんの担当編集者だった島地勝彦さんにお会いしたいと思ったことがある。その頃、島地さん担当の連載記事の中で、今度、今さんの三十三回忌なんだよね、と。ということは島地さんの性格から考えて、絶対その日は今さんのお墓に来るに違いないと考えた。上野の寛永寺で2時間待っていたところ、お会いすることができた。

また、今はすっかり親しくさせていただいている、Jリーグで監督を歴任したランコ・ポポヴィッチさんに取材したいと思ったときのこと。彼のチームのコーチを介して、メールを送った。そのとき使ったのはスペイン語だ。彼はセルビア出身だが、スペインでの選手生活も経験している。絶対にスペイン語はわかるだろうし、英語よりもリラックスして読んでもらえると思ったのだ。今でもやりとりは全部スペイン語だ。

私の必殺トーク術:「はい」「いいえ」で終わる質問はしない

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タカ 大丸
翻訳家・通訳者・ジャーナリスト
1979年生まれ。2000年米国ニューヨーク州立大学ポツダム校入学。イスラエルのテル・アヴィヴ大学にも交換留学。英語とスペイン語の多言語話者。

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(翻訳家・通訳者・ジャーナリスト タカ 大丸 構成=岡村繁雄 撮影=奥谷 仁)

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