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63歳年収1400万円外資系エリートの悩み

プレジデントオンライン / 2019年2月23日 11時15分

写真=iStock.com/PeopleImages

現役時代の職業によって、定年後の経済力、生き方はどう変わるのだろうか。職業別に「リアルな老後」を紹介しよう。4人目は「外資系金融エリート」の米田栄太郎さん(仮名)の場合――。(全5回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年11月12日号)の掲載記事を再編集したものです。

■企業年金ないので、70歳まで働ける仕事探しが課題

大卒後の就活では将来のビジョンもなく、ただ安定だけを求めて首都圏の市役所に就職した。だが、役所の雰囲気になじめず、新聞広告を見て応募し、採用されたのは外資系カード会社。「債権回収部門の募集でしたが、市役所時代に税金滞納者の回収業務に携わっていたことが採用の理由」と言う。

入社後の服装は自由。年功序列はなく、若くても自己の裁量で大きな仕事を任せる外資の水にはまった。嫌いではなかった英語力を磨き、5年後に債権回収部門のアシスタントマネジャー、29歳で採用権限を持つコールセンターのマネジャーに就いた。「人の採用と育成という全然違う仕事でしたが、人がいかに業績を左右するかを認識し、人をマネージする仕事に興味を持ちました」。この仕事をきっかけに人の能力をビジネスの成長につなげる人事マネジメントが米田栄太郎さんの天職になった。会社を替わるごとにスキルを磨きキャリアアップを目指した。

30代で外資系小売業の人事・総務のシニアマネジャー、半導体メーカー日本法人の人事責任者、40代で別の半導体企業のアジア太平洋の責任者を経験。その後も外資の製薬、銀行、IT、広告など60歳までに10社以上を渡り歩いた。給与もアップし、30代後半で1350万円。40歳で2000万円、銀行の人事責任者を務めた45歳のときはボーナスを含めて2400万円だった。

その間にマンションを購入し、一戸建ての家に買い替えたが「お金に執着するほうではなく、将来の老後を心配してもしょうがないと思っていました。転職するたびに退職金はもらいましたが、ローンの返済や子供の教育費など支出も多かったので、貯金はそれほどありません。外資は企業年金もないので今も働いています」と苦笑する。

それでも職業人生に悔いはない。「学生時代の友人は日本企業に就職して終身雇用で定年を迎えた人もいますが、会社が倒産した人もいる。私は己のスキルを頼りに自分の価値観に合う会社を選び、やりたい仕事をやってきましたし、おもしろかった」と語る。

60歳を過ぎた今も契約社員として外資系企業で働いている。年収は特別報酬も含め1400万円。しかし「60歳を過ぎると正社員で雇ってくれる外資はほとんどありません。最大の悩みは70歳まで働ける仕事を見つけること。年収300万円でもいいのですが、なかなかそういう仕事がありません」と語る。

(ジャーナリスト 溝上 憲文 写真=iStock.com)

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