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オタク+ヤンキー+トランプが最強の理由

プレジデントオンライン / 2019年3月1日 15時15分

トランプ大統領は注意散漫だが、政府のスタッフや世間の視野を広げてもいる。(EPA=時事=写真)

■オタク、ヤンキー、トランプがチームを強くする

最近、さまざまな企業で「多様性」が重視されている。「ダイバーシティ」という横文字の言葉が使われることも多い。

グローバル化や、法令遵守の精神なども関係していると思うが、ここまで多様性が重視されるようになってきた背景には、やはりインターネットや人工知能といった技術の発展があるのではないか。

仕事の本質はチームワークである。かつては、均質性こそがパフォーマンスの鍵と考えられていたが、文明が発展するにつれて、それが変わってきた。

会社も、多様な人材を集めて、その「集合知」でパフォーマンスを高めていく時代。その際にはできるだけ多様性があったほうがいい。人工知能やインターネットなどの技術がそれを可能にしている。

ところで、「多様性」といってもその内実は何か。個性は欠点と長所が表裏一体になったものであり、その全体を見極めなければならない。ユニークな個性を認識し、それを活かす能力を磨くことがこれからの時代は必要になる。脳の個性はさまざまあるが、その中でも「オタク」と「ヤンキー」は重要である。

「オタク」は、1つのことに集中する能力がある。例えばコンピュータのプログラムに没入して、常人ではできないようなことを成し遂げる。これがオタクの長所である。

しかしながら、オタクはコミュニケーションが苦手でもある。自分の作っているものを客観的な視点からアピールするのも不得意。営業や経営企画には向いていない。

それに対して、「ヤンキー」は生きものとして元気で、覇気がある。プログラムの仕様など、細かいことにはあまり関心がない。ただ、業績を上げて、たくさんお金を稼いでいい生活をしたいという欲望には忠実である。

ヤンキーにプログラム開発をさせるのは最悪だろう。一方、営業や経営企画のチームのメンバーになったら、きっといい仕事をするだろう。

オタクやヤンキーだけではない。1つのことに対する注意の継続時間が短く、すぐに飽きて次のことに関心が移っていく「注意散漫」型の人も、これからの時代はいい仕事をするかもしれない。

一つひとつのタスクは、人工知能やインターネットなどのインフラで、案外そつなくこなしていくシステムができている。注意散漫な人は、以前ならば困った人だったかもしれないが、今ではむしろ重宝な側面もある。

1つの視点だけから見ると「部分最適」に陥ってしまうような案件でも、注意散漫な人がいると適宜かきまわされて、そのカオスの中で「全体最適」が見えることもある。つまり、パフォーマンスを上げる適度なノイズになる。

現代における注意散漫な人の典型例が、トランプ大統領かもしれない。米国で出版された本によれば、ホワイトハウスのスタッフはころころ変わるトランプ大統領の指示を適度に無視するのだという。

一方で、次から次へと関心の対象が変わっていくトランプ大統領の動きに対応するために、スタッフはいろいろな勉強をし、自然と全体を見渡すようになる。また、メディアもトランプ発言をきっかけにさまざまな問題について報じるため、自然に国民も関心の幅が広くなる。

オタク、ヤンキー、注意散漫。さまざまな個性の人がチームとなって最大の力を発揮する。そんな時代が来ている。

(脳科学者 茂木 健一郎 写真=EPA=時事)

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