爪が痛みやすい人は循環障害のきざしあり
プレジデントオンライン / 2019年2月21日 6時15分
■春の中盤「雨水」は、新しく動きはじめる時期
2月19日~3月4日は雨水(うすい)です。雨水は春が深まり、さまざまなものが動きはじめる頃。新しい動きや変化に対応できるように、心身を充実させ、英気を養う時期でもあります。
心身が季節に対応できていないと、全身の循環が悪くなり、隅々までエネルギーが回らなくなります。そのため、ちょっとしたことで疲れたり、やる気がなくなったりすることも。だからこそ、ココロとカラダをメンテナンスし、急な動きにも対応できるよう準備しておくことが大切なのです。
雨水とは、降る雪が雨へとかわり、氷が溶け出す時期のことで、昔から農耕の準備をする目安とされています。
雨水のはじまりの初候には、春キャベツが旬を迎え、トビウオが飛び跳ねるといわれています。また、次候にはカラシ菜やシロウオ(素魚)が旬を迎えるとともに、野焼なども行われます。そして、終わりである末候には菜の花やハマグリが旬を迎え、野山にはミドリハコベが咲き乱れます。
■立春に引き続き、目や全身の循環障害が現れやすい
雨水では、立春にみられた目の症状や筋肉の引きつり、こむら返りが悪化し、目の充血やむくみなど、全身の循環障害が現れます。また、爪の色が悪くなったり、爪が傷んだりとカラダの末端にも変化が認められます。
なお、春の季節に関係する「肝(かん)」は、東洋医学では血液を蓄え、体内の血液量を調整する役割があるため、雨水に循環の悪化が認められると、その先には中枢神経や自律神経系などにも影響をおよぼし、さまざまな症状へと発展する可能性があります。
物事が動きはじめる雨水には、いろいろなものが活発になりますが、先の立春に認められたイライラや怒りやすいなどの感情的な変化を放置したままにしておくと、精神的負担が積み重なって疲れがたまり、やる気がなかなか起こりません。
そんなときは、季節の変化にココロやカラダが追いついていない証拠。早めにコンディションを整えることが必要です。
■雨水に効く、カラダとココロの「養生法」を知ろう!
「運動」
この季節は目の充血やむくみなど循環障害が目立ちはじめます。そのため、むくんだ部位の筋肉をストレッチしたり、マッサージしたりすることが大切。特に循環を改善するには、リズムよく1秒に1、2回程度、規則的に筋肉を揉んだり、マッサージしたりしましょう。
また、ウォーキングで全身の血液の循環をよくすることも効果的。ふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれ、ポンプのように全身の血液循環を調整する役目もあります。また、歩くことは気分転換にも最適。10分でもよいので、一定リズムで歩くことがお勧めです。
「食養生」
この季節に効果的な食材は「春キャベツ」と「ホウレンソウ」です。春キャベツは甘みのある食材なので、イライラを解消したり、消化を促進したりするのに効果的。さらに、消化もよく、ダイエット効果も抜群です。ホウレンソウは血液の流れをよくする効果もあり、また、ホウレンソウに含まれるシュウ酸が、ストレスや便秘の改善にも役立ちます。
「お勧めのツボ」
この季節にお勧めのツボは、「承山(しょうざん)」です。承山は、ふくらはぎの真ん中あたりにあるツボで、第2の心臓である腓腹筋(ひふくきん)上にあるツボ。下肢のむくみに効果的ですので、承山を1秒で1、2回程度の指圧、またはマッサージしましょう。
■むくみは、タイプに合わせて対処しよう
「タイプ別・むくみの原因」
むくみを引き起こす原因はさまざま。まずは一生懸命になりすぎ、自分にブレーキを掛けられない頑張り屋さんタイプの人は、筋肉が硬くなることで血管が圧迫され、血液やリンパ液が全身に巡りにくい状態をつくり、むくみを引き起こします。2つめは、生活リズムが乱れることによっておこる生活習慣タイプ。このタイプの人は特に運動不足であることが多く、血液やリンパがうまく循環していないことがむくみの原因に。
最後に、加齢や体力が落ちることにより生じる加齢タイプの人。このタイプは、筋肉量が落ち、心臓に押し返すだけのポンプ(筋肉)がない状態のため、むくんでしまいます。
「タイプ別・むくみ対処法」
頑張り屋さんタイプは、筋肉を緩めることが大切。特にむくみがみられる周囲の筋肉をしっかりほぐしましょう。下肢のむくみでは、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)のストレッチやマッサージが重要です。足の指裏にタオルを引っ掛け、イタ気持ちいい程度に足指を自分のほうに5秒程度引き寄せるストレッチを10回ほど行いましょう。また、すねの骨の内側を、骨に沿ってマッサージすることも効果的です。
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生活習慣タイプは、リズムよく歩くことが効果的。スマホを見ながら歩くなどのながら歩きでは効果がありませんので、1分間に80~100歩くらいのテンポで、目線を真っ直ぐにして歩くことを心がけましょう。ちなみに、1分間に100歩は「アンパンマン」や「ドラえもん」の歌のリズムですので、口ずさみながらリズムに合わせて歩いてみましょう。
加齢タイプは筋力をつけることが大切です。机などにつかまりながら、足先でカラダ全体を持ち上げるような運動を1日30回3セット行うようにしましょう。
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雨水は本格的な春になり、カラダを動かしはじめる節気です。カラダが動き、体内循環が活発になることから、循環障害である充血やむくみなどが顕著になってくる時期でもあります。そして、体内循環は血液だけでなく、リンパ液の流れも左右することから、老廃物が溜まることで、カラダがだるくて、疲れやすくなり、最終的にはやる気がなくなることも。周りが活発に動きはじめるのを目の当たりにすることで、心身ともに余計につらくなってしまいます。
雨水に関連した充血やむくみ、さらには疲れややる気の低下がみられる人は、季節の変化にココロやカラダが対応できていないサインです。この時期に必要な心身のケアや食養生を行い、次の節気への準備をしっかり行いましょう。
「雨水」の特徴
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● 心身の症状
カラダ:目の充血、循環障害、疲労
ココロ:やる気の低下
●季節に多い症状
むくみ
●心身の養生法
リズムよく歩く
ストレッチ・マッサージをする
●食養生に効く食材
春キャベツ、ホウレンソウ
●ツボ
承山(しょうざん)
(明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授 伊藤 和憲)
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