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賛否両論「不動産投資を今やるべき理由」

プレジデントオンライン / 2019年2月21日 15時15分

写真=iStock.com/kokouu

2013年から全国のマンション平均価格は約40%(※)も上昇。この5年間に、いわゆる「サラリーマン大家」の成功者も誕生した。しかし、金利は上昇傾向。不動産投資は今から始めてもいいものか!?

※国土交通省・不動産価格指数(2018年8月29日発表より)

消極的
▼初心者が買える好物件は残っていない

■金利が上昇したため、利幅がとれない

不動産投資の活況は2013年4月の量的・質的緩和が始まりです。当初は様子見が多かったものの、翌年から不動産投資ローンにも積極的な金融機関が出て、15~16年は最高潮でした。

ところが、あまりに貸しすぎて金融機関に貸し倒れのリスクが出てきてしまいました。それで17年頃からは、不動産投資に対する融資基準がかなり厳しくなっています。

物件価格はここ5年で3割以上は値上がりしました。また、金利も上がっています。そのぶん高い家賃で貸せれば問題ないのですが、家賃相場にはほとんど上昇が見られません。

不動産投資では、月々の賃料収入から経費と借金返済額と税金を差し引いた残りが利益です。調達コストが上がっているのに賃料収入が上がらなければ、投資妙味はありません。

家賃相場が上がれば話は別ですが、その見込みはあるでしょうか。地方や郊外では近年、賃貸アパートが乱造されました。多くは地主が相続税対策に建てたものですが、彼らは土地代を払っていないので家賃を下げられる余裕があります。対して投資家は土地+建物を借金で建てるので、家賃の値下げには限界があります。

もっとも、不動産投資には返済が進むにつれ土地が自分の資産になっていく面もあります。運用で苦労しても売却してプラスなら、投資としては成功です。となると、資産価値が下がりにくいのは都市部とその周辺ですが、こちらは出回る良物件が減っているうえにライバルがひしめき合っています。

ある程度の規模だとプロ筋が押さえてしまいますし、周辺の手頃な物件は仲介業者とパイプのあるベテラン投資家と競合します。率直に言って、実績のない人においしい物件が回ってくる状況ではありません。

未経験の初心者が今から始めるのであれば、相当ニッチな物件を探すかオルタナティブな投資しかないのではないでしょうか。

▼玉川氏が消極的な理由
1 投資物件の利回りは低下傾向
2 地方・郊外は供給過多で過当競争
3 都市の好物件はプロ筋と競合
積極的
▼不動産投資はもっとも手堅い「複業」だ

■地方でも工夫次第で、満室にできる

不動産投資ローンでは一部の金融機関で、属性に過度に偏った審査で億単位のお金をぽんぽん貸してしまう事例がありました。

その最たるものが「シェアハウス」で不正融資を行っていたスルガ銀行ですが、多くの金融機関は適切にやっていたのです。現在、審査のハードルが高くなっているのは事実ですが、サラリーマンが融資を受けられなくなったわけではありません。

銀行員だった頃、私が審査の際に最も大切にしたのは事業計画とマネーリテラシーです。大企業勤務で年収が1000万円でも貯金が100万円もないような人には貸せません。他方、零細企業勤務で年収400万円でも10年かけてコツコツ800万円貯めた人ならば信用できます。

不動産投資は洋の東西を問わず昔から行われている投資の基本。人口が減るといっても人がいなくなるわけではありませんから、いくらでもやりようはあります。

例えば、地方は供給過剰でアパート経営などもう無理だと言われていますが、私はそうは思いません。地方に行くと競合するのは高齢の地主がほとんどで、ありきたりの物件ばかりです。そうした中でデザイナーズルームやペット共生住宅など付加価値のある物件を提供すれば、人気物件になるでしょう。

不動産投資というとほったらかしのイメージですが、賃貸経営はれっきとした事業です。戦略も努力も必要だし、苦労も避けて通れません。ならば入り口でとことん汗をかいたほうがいい。いい物件をいい価格で手に入れられれば、管理や運用は外注で安定経営が可能になります。

そのためには、まずはマネーリテラシーを高めて頭金を貯めましょう。同時に、銀行や仲介会社・管理会社を訪れて相談し、信頼できるパートナーを見つけてください。今は状況的に、焦る必要はまったくありません。じっくり準備と勉強をしたうえで、始めればいいのです。

▼菅井氏が積極的な理由
1 不動産投資市場は正常化する
2 地方でも工夫次第で勝負できる
3 まずは準備と勉強から始めよう

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玉川陽介(たまがわ・ようすけ)
コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ代表取締役
1978年、神奈川県大和市生まれ。学習院大学卒。大学在学中に統計データ分析の会社を創業。同社を順調に拡大させたあと2006年に株式売却。その後は株・債券・デリバティブなど証券投資を生業とするも、アベノミクス以降は不動産を中心に投資している。著書に『Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社)ほか。
 

菅井敏之(すがい・としゆき)
コンサルタント
学習院大学さくらアカデミー講師。1960年、山形県生まれ。学習院大学卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。2003年に金沢八景支店長、05年に中野支店長に就任。48歳で退職。アパート経営に力を入れる。田園調布でカフェ『SUGER COFFEE』を経営。著書に『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)ほか。
 

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(コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ代表取締役 玉川 陽介、コンサルタント 菅井 敏之 構成・編集=渡辺一朗 写真=iStock.com)

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