"紹介状の有無"で大病院の受診料は天と地
プレジデントオンライン / 2019年3月2日 11時15分
※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです。
▼5000円以上お得に!(※)
紹介状を持たず大病院に行くと特別料金が加算される
※特定機能病院や一般病床400床以上の地域医療支援病院などの大病院に紹介状を持って初診した場合(紹介状の費用は含まない)
■紹介状は、費用面でも待遇面でも得をする
「大きな病院のほうが設備も整っているだろうし、優秀な医師も多いはず」――。そんな安易な発想で大病院をいきなり訪ねると、会計時に予想以上の金額を請求されかねない。大病院の受付や会計の周囲には「初診時に紹介状をお持ちでない患者様は、“選定療養費”として○○○○円をお支払いいただきます」といった張り紙による告知がなされているはずだ。
ここでいう「選定療養費」とは、紹介状なしで大病院を受診した際にかかる特別料金のことで、「軽い症状で大きな病院に行く患者に対して、受診行動を見直してほしいという国からのメッセージ」と語るのは、医療分野に詳しいフリーライターの早川幸子氏だ。
「日本では、受診する病院を患者が自由に選べます。だからといって、大きな病院のほうが安心だからといった理由で軽症患者が大病院に押しかけたら、手術や化学治療など高度な医療を必要とする重症患者に、本来期待されている治療が提供できなくなる可能性があります。そこで、日常的な治療や慢性期の経過観察などは診療所や中小病院が受け持ち、大病院は専門的な治療に専念できるように、医療機関の役割分担を明確にしようとしているのです」
紹介状なしで大病院を受診した際の特別料金は、健康保険が適用されないので全額自己負担となる。これまでも、一般病床200床以上の病院は任意で患者に請求しており、料金は数百円から1万円前後と、病院によって開きがあった。大学病院なら数千円はかかると考えておいたほうがいいだろう。
この特別料金が2016年4月から義務化され、現在は特定機能病院や一般病床400床以上の地域医療支援病院などの大病院では、緊急やむをえない場合を除いて、紹介状なしで初診を受ける場合は5000円(歯科は3000円)以上がかかるようになっている。また、家の近所のクリニックなどを受診するよう大病院から紹介を受けても、患者が引き続き大病院の受診を希望する場合は、再診でも2500円(歯科は1500円)以上かかる。
「紹介状を書いてもらうには診療情報提供料という費用が2500円かかりますが、健康保険が適用されるので、患者の自己負担は750円(3割負担の場合)ですみます。それに、紹介状があれば優先的に診療を受けられるため待ち時間が短くなる、病状や診察内容が伝わる、検査の重複が少なくなるなど、トータルで見ると経済的にも時間的にもお得です」(早川氏)
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/-/img_7fbf282ad6a19a43c2fea69e7dd6c97e707567.jpg)
■紹介状があると、扱いもよくなる
では、行きたい病院があったり診てほしい医師がいた場合、「○○先生に紹介状を書いてもらいたい」と患者の側から医師に申し出てもいいものだろうか。高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋氏は「要望があるなら伝えてもかまわない」と語る。
「かかりつけ医に病院名と医師の名前を伝えれば、たとえ深い繋がりがなかったとしても紹介状を書いてくれます。ただ、有名な医師だからといって、むやみに患者の側から指名するのではなく、かかりつけ医には行きたい病院名だけを伝えたほうがいいと思います。自分の病気がその有名な医師の専門であるかどうかは、素人にはなかなかわからないものだからです」(木村氏)
紹介された医師は、紹介元の医師に経過を報告するのが通例だという。そのため、病院を訪れた際の扱いがよくなるというメリットもあるようだ。金銭面だけではなく、何かと利点の多い紹介状。できるだけ活用しよう。
結論:行きたい病院があれば、かかりつけ医に伝える
----------
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/-/img_40fa1bf30a5ac72a43f6e09fce16e69011783.jpg)
フリーライター
女性週刊誌やマネー誌を中心に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を手がける。著書に『読むだけで200万円節約できる!医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』。
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/7/-/img_071194b168266d416d2c21b54b635b3d9249.jpg)
高崎健康福祉大学 健康福祉学部准教授
神尾記念病院を経て、現職。共著に『2018-2019年度版イラスト図解 医療費のしくみ 診療報酬と患者負担がわかる』『病院のしくみ』など著書多数。
----------
(小澤 啓司 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「医者が嫌いすぎる」夫を襲ったまさかの"出来事" 結婚20年の妻も驚き、彼が受診を決意したワケ
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 7時30分
-
待ち時間を短くするための"滑り込み受診"はダメ…現役医師伝授「質の高い医療を受けるちょっとしたコツ」
プレジデントオンライン / 2024年7月18日 9時15分
-
やっぱりがん保険は加入すべきなのか…医療保険に入ったことがない森永卓郎が直面した「がん治療費」のリアル
プレジデントオンライン / 2024年7月14日 8時15分
-
必要な患者に救急車を…救急搬送で入院なし→「患者から7700円徴収」新制度1カ月で出動件数は“約22%減”
東海テレビ / 2024年7月12日 21時13分
-
日本への渡航受診は「中間層も負担可能、最多は中国人患者」―中国メディア
Record China / 2024年6月30日 8時0分
ランキング
-
1システム障害、世界で余波続く=欠航、1400便超
時事通信 / 2024年7月21日 22時45分
-
2円安は終わり?円高反転4つの理由。どうなる日経平均?
トウシル / 2024年7月22日 8時0分
-
3なぜユニクロは「着なくなった服」を集めるのか…「服屋として何ができるのか」柳井正氏がたどり着いた答え
プレジデントオンライン / 2024年7月22日 9時15分
-
4イタリア人が営む「老舗ラーメン店」の人生ドラマ 西武柳沢「一八亭」ジャンニさんと愛妻のこれまで
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 11時30分
-
5コメが品薄、価格が高騰 米穀店や飲食店直撃「ここまでとは」
産経ニュース / 2024年7月21日 17時41分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)