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"予選落ちでも笑顔な人"のメンタル調整術

プレジデントオンライン / 2019年2月18日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/PeskyMonkey)

仕事で自分を高めるにはどうしたらいいのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「漠然と働いていてはいけません。例えば、メダル獲得どころか予選落ちをしたとしても晴れ晴れとした表情のスポーツ選手のように『なれる最高の自分』を目指す意識が重要です」という。自分のベストを出し続けるためのコツとは――。

■簡単そうで難しい「なれる最高の自分」になること

「小宮さん、なれる最高の自分になるにはどのようにしたらいいのですか?」

ある日、部下からこんな質問をされました。私は口癖のように「なれる最高の自分」ということを話しますが、具体的にどうすれば「なれる最高の自分」になれるかをその部下はわからなかったのです。もっともなことかもしれません。

そのことと関連して、当社(小宮コンサルタンツ)では経営方針発表会を毎年やっています。社員全員で13人の小さな会社なので、ひとり5分間ほど自分の今期の目標などを話してもらいます。その際には、「なれる最高の自分」を目指すと発言する部下も少なくありません。

最初は、私もそれで満足していたのですが、ただ単に「なれる最高の自分になる」と言っているだけでは、「がんばっている」と言うのと同じだということに気づきました。「なれる最高の自分」と言うだけで、思考停止状態になってしまう危険性があったのです。

そこで、これらのことをきっかけに私は、最近「なれる最高の自分」ということをテーマにした本を書きました。本稿はそのエッセンスです。

■予選落ちしたり入賞を逃したりしても晴れ晴れしい顔の人

私は「なれる最高の自分」を目指すことが自己実現、ひいては人生を充実させるためにとても大切なことだと思っています。大げさな話ではなく、誰でも「なれる最高の自分」にはなることができると私は信じています。

例えば、オリンピックで金メダルを取った選手は誰もが喜んでいますが、銀メダルの人は喜んでいる人もいる一方、とても悔しがっている人もいます。そんな中、予選落ちしたり入賞を逃したりしても晴れ晴れしい顔をしている人もいます。それはきっと自分のベストを出すことができた人たちなのでしょう。

自己更新をしていくことの意義はスポーツだけではありません。ビジネスパーソンも同じです。人生のひとこまひとこま、また人生全体を通じても、自分の実力を高めながら「なれる最高の自分」を目指すこと。それが大切ではないでしょうか。

■自己ベストを出せる「なれる最高の自分」になる方法3

私は「なれる最高の自分」になるためには、3つのステップが必要だと考えています。

第1ステップは「常にそれを意識して、具体的な目標をもつこと」です。「なれる最高の自分」になろうと思わない限り、それになることはありません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taa22)

私は「散歩のついでに富士山に登った人はいない」という言葉が好きです。散歩の延長線上に富士山はありません。富士山に登ろうとしない限り、日本一の頂には到達することができません。そもそも「なれる最高の自分」になるということを考えてもいない人が少なくないのではないでしょうか。まず、そのことを常に意識することです。

第2ステップは「人から評価されるアウトプットを出すこと」です。「なれる最高の自分」というと、とにかくがんばればいいと思う人もいます。確かにがんばることはとても大切なことです。それなしでは結果は出ないでしょう。

しかし、がんばっているだけではなく、それにより周りの人や社会から評価されるくらいのアウトプットを出すことがとても重要です。とてもがんばってインプットにいそしんでいる人も少なくありません。しかし、そのインプットもアウトプットをしない限り、周りや社会に役立ったり、評価されたりすることはないのです。

■「幸せ」は自分が決めるが、「成功」は他人が決める

私は「幸せと成功の違い」というテーマで講演をすることがあります。私の解釈では「幸せ」というのは自分で決めること。どんな境遇にあろうと、自分で幸せと思えば幸せなのです。

一方、「成功」は他人が決めることだと考えます。自分で成功だと思っていても、人が評価しない限り成功ではないのです。そういった意味で、人は成功することが大切なのです。

なぜなら、成功するということが人からの評価が基準だとすれば、人が自分を評価するということはそれだけ、人に喜んでもらっているということです。自分が成功することは、周りの人や社会に貢献することにもなっているのです。

よって一番いいのは、成功して人から喜んでもらって、それによって自分が幸せに感じることです。

人から評価されるためには、地道にがんばって実力を高めるしかありません。厳しいですが、それが現実です。自分のペースでがんばっていてもダメな場合も少なくありません。あくまでも人が評価してくれるくらいのレベルやタイミングでアウトプットを出す努力が必要なのです。

プロ野球の選手が、マイペースで練習をして、それでシーズンに間に合わない、十分な成績が出ないというのでは、誰も評価しないでしょう。それと同じで、私たちビジネスパーソンもできるだけ高い評価を得られるアウトプットを念頭においた努力が必要なのです。ビジネスキャリアが終わってから、実力が上がりましたでは、あまりにもったいないのです。

■「言ったことをやる」だけでなく「思ったことはやる」

そして、「なれる最高の自分」になるための、最後の第3のステップは「いまの自分の殻を破ること」です。

とにかくやってみる。じっと考えているだけではダメです。ビジネスパーソンに必要な基礎力は、私は「思考力」と「実行力」だと考えています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kieferpix)

世の中は複雑系ですから、ビジネスの世界で成功しようと思えば、その複雑な世界を複雑なままに理解し、それを経営や現場に活かす思考力が必要です。それとともに、それを実際にやり遂げる実行力も必要なことは言うまでもありません。

「なれる最高の自分」になろうと思ったら、今までの自分の殻を破り、一歩踏み込んでやってみようとすることです。頭でっかちで考えているだけでは何も変わりません。

「信」という字は「人の言葉」と書きますが、実行力をつける第一歩は「言ったことは守る」ということです。同僚や部下、友人や子供とかわした小さな約束も守るということです。ですから、小さな約束をした場合でも、それを忘れないために手帳などにメモするということも必要です。

また、「言ったことをやる」ということとともに、「思ったことはやる」ということも大切です。「言ったことはやる」というと、何も言わなくなる人もいるからです。「○○へ行きたい」とか、「△△の勉強をしよう」など、思ったことはやるのです。もちろん、お金や時間的な制約もありますが、やらない理由を考えるのではなく、やる理由や方法を考えるのです。そうすれば実行力がつきます。そうやって、「なれる最高の自分」に近づいていくのです。

■「なれる最高の自分」と宇宙の原理

私が愛読する『道をひらく』の著者である松下電器(現パナソニック)創業者・松下幸之助さんは、戦後すぐに、「物心両面の繁栄により、平和と幸福を実現していく」との願いのもと、PHP研究所をつくりました。その研究所での活動で発見したのは、「生成発展」という生き方・考え方でした。

生成発展とは「日に新たに」という意味です。古いものが滅び、新しいものが生まれるというのが自然の理法であって、生あるものが死にいたるのも、生成発展の姿。これは万物流転の原則であり、進化の道程である。よって、人はお互いに「日に新た」でなければなりません。創意と工夫とによって生成発展しようとするとき、そこに限りない繁栄、平和、幸福が生まれる――。そんな松下さんの考えが込められた言葉です。

これは東洋哲学の大家、安岡正篤先生の語る「生成化育」や、ヘーゲルの「弁証法的発展」にも通じるものがあると私は思っています。つまり、もし世の中の生成発展に貢献したいなら、自分自身も生成発展しないといけない。つまり、「なれる最高の自分」を目指していかなければならないということです。

まず、「なれる最高の自分」とは何かを考え、それを常に意識することから始めてみてください。最高の自分を目指して行動することで自分の殻を破ることができるのです。詳しくは『なれる最高の自分になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をお読みください。

(経営コンサルタント 小宮 一慶 写真=iStock.com)

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