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FBI交渉術「まず"復唱"して3秒沈黙」

プレジデントオンライン / 2019年3月14日 9時15分

元FBI 人質交渉人 クリス・ヴォス氏(ⒸClinton Brandhagen=写真提供)

優秀なビジネスパーソンは「話し上手」といわれる。だが実際には「トーク力には自信がない」と答える人が多い。なぜイメージと矛盾するのか。7人のプロに話を聞いた。第6回はFBI交渉官の「説得する力」――。(全7回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

■あなたの交渉・説得力は、訓練で必ず上がる

「奥手な日本人は交渉ベタ」。自らにそんなステレオタイプを持つ日本人は多いだろう。しかしFBIで24年間も人質事件の交渉に携わった、『逆転交渉術』共著者のクリス・ヴォス氏は「誰でも交渉・説得力はつけられる」と話す。その方法とは。

「自分は交渉ベタだ」と感じていても、交渉力はテクニックを学び訓練すれば誰でも上がるものです。それは神経科学的にも証明されています。

もちろん最初からうまくいくことはありませんが、あるところで飛躍的に伸びるのを感じるでしょう。それはロケットを宇宙空間に打ち上げることに似ています。ロケットは1度軌道に乗るとエネルギーはそこまで必要ではありません。交渉力も「軌道」に乗るまでは努力し続けなければなりませんが、それ以降はさほど苦労せずに向上させられます。

実際のビジネスシーンを例に、テクニックをお教えしましょう。たとえば、上司から無理難題を押し付けられたとき。まずは、相手の言葉を復唱するのです。これは「ミラーリング」という技法で、自分は相手に理解があると示すことによって信頼関係を築く効果があります。

あなたの復唱に対して、上司が「そうだ」と言ったら、今度は3秒間黙ってください。上司はその沈黙を埋めるために何か話し続けるはず。そうすることで、こちら側が言い分を考える時間を稼げるほか、相手の思惑を詳しく聞くことができます。

もし上司が何も喋らなかった場合は、その無理難題が「重要な任務だ」と理解していることを伝え、安心と信頼感を与えましょう。また3秒間黙ってみてもいいでしょう。沈黙は言葉を強調させる力があります。

『逆転交渉術』(クリス・ヴォス、タール・ラズ共著、佐藤 桂訳、早川書房)

もしそれでも上司が要求を取り下げない場合は、敬意を込めた口調で「私に失敗してほしいのですか」と問いかけましょう。その質問には誰しも「ノー」と答えるはずです。

このように、相手に「ノー」と言わせることは、交渉を有利に進めるうえで実はとても重要なのです。というのも、相手は「ノー」と言うことで警戒を解いて、主導権が自分にあると感じて安心し、こちらの要求を聞いてくれるようになるからです。

「イエス」は交渉の最終的なゴールですが、最初からそこを求めると警戒されてかえって和解が遠のきます。「イエス」を聞きたければ、まずは「ノー」を引き出すことが鉄則です。

「ノー」と言わせるコツは、相手に言葉を訂正する余地を与えることです。それで相手は安心し、話を聞いてくれるようになるのです。

交渉力が上がると、ビジネスシーンすべてにおいてよいことが起こります。交渉力を上げるということは、つまりはコミュニケーション力を上げて相手と密接な関係を築く能力を高めることだからです。リーダーシップも高まり、部下から信頼を寄せられる。交渉力はすべてのビジネスの要といえるでしょう。

私の必殺トーク術:相手の言葉を復唱すると相手から信頼される

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クリス・ヴォス
元FBI 人質交渉人
ザ・ブラック・スワン・グループの代表。ハーバード・ロースクールやMITスローン経営大学院などで教鞭をとる。

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(元FBI 人質交渉人 クリス・ヴォス 構成=万亀すぱえ 写真提供=ⒸClinton Brandhagen)

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