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茂木健一郎「6年後の大阪万博は必見だ」

プレジデントオンライン / 2019年3月17日 11時15分

55年ぶりの大阪万博。新しい「未来感覚」が体験できることを期待したい。(時事通信フォト=写真)

■2度目の大阪万博を成功に導くには

2025年の万博の開催地が、大阪に決まった。

1970年に続く、2度目の「大阪万博」。大阪を中心とした地域、そして日本がより「元気」になるきっかけになればいいと思う。

前回の万博は、空前の成功だった。当時は、日本は高度経済成長期。岡本太郎さんの「太陽の塔」に象徴される先取の気分に満ちていた。

70年の大阪万博にあふれていたものを一言で表せば、「未来感覚」ということになるのだろう。明日の生活が、今日とは違ったものになる。そんな期待と夢があった。だからこそ、万博会場に詰めかけた人々が熱心に未来のビジョンを求め、それが力になって世間に伝わった。

時は移り、今の日本には、かつてのような元気がないように思われる。そんな中、今回の万博開催の意義について疑問視する論も目にする。

インターネットなどで情報があふれる時代になった今、リアルな展示をすることにどのような意味があるのかという疑問も聞く。

私は、「体験」ということを通して万博の意味を考えれば、開催の意義は見えてくるし、2025年の大阪万博を成功に導くことができると思う。

ロボットや、移動手段など、インターネットやバーチャルでは体験しきれないものもたくさんある。

日進月歩の人工知能も、25年までには具体的に目に見えるような成果に結実しているのではないかと思う。

宇宙開発関連や、イーロン・マスク氏が提唱している減圧したチューブ内を時速1000キロ以上で走行する「ハイパーループ」のような技術も、もし出品されれば万博の目玉になるだろう。

デジタル情報だけでなく、具体的に目に見えるかたちで実際に体験するには、現実の展示に接するしかない。その意味で、万博というフォーマットの生命は終わっていない。

ハイテクだけでなく、世界各地のローカルフードなども、展示の目玉になりうる。

視覚や聴覚などの情報と異なり、味覚はデジタル化が難しい。どんなに説明しても、実際に味わってみなければわからない側面もある。

健康や長寿に対する関心の高まりもあって、世界のさまざまな食を体験してみたいという世間の需要は大きい。まだ商業ベースに乗っていない新しい食感、味覚を試すことに関心のある人は多いはずだ。

展示の仕方も、デジタルサイネージや、プロジェクションマッピングなど、最新の技術を用いて、また、来場者の動きや反応に合わせたインタラクティブな表現を試すなどして、わくわく感のある体験を演出できるはずである。

ドローン技術も25年までにはかなり進化しているだろう。万博会場の上をドローンが飛び交い、その映像を人々がスマートフォンで見て、共有するといった従来にない体験もできるだろう。

つまりは、「想像力」だけが限界。1970年の大阪万博とは異なる意味での未来感覚との出合いが、会場に待っていると予想する。

前回の万博との最大の違いの1つは、来場者がより多彩になることかもしれない。

日本だけでなく、近隣諸国や、さらに遠い国から、たくさんのお客さんがいらっしゃるだろう。一緒に「フェス」を楽しむような、そんな一体感が生まれたら嬉しい。

次回の大阪万博が、日本が未来感覚を取り戻すきっかけになることを望むのである。

(脳科学者 茂木 健一郎 写真=時事通信フォト)

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