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「宝くじ1等6億円」確実に当選する方法

プレジデントオンライン / 2019年5月19日 11時15分

写真=iStock.com/winhorse

■交通事故に遭う確率と、どちらが高いか

宝くじの1等に当たる確率を、みなさん考えたことがありますか。なんとなく、あの行列に並んでいるとき、「確率が低いのはわかっている、けど、夢を買っているんだ」などと思って済ませてはいないでしょうか。

冷静に考えてみましょう。

ジャンボ宝くじは1ユニット、つまり1000万枚あたり1等は1本です。1枚買ったとすると、1等の当せん確率は1000万分の1です。1年で5回ジャンボ宝くじが発売になりますから、1回でも1等に当たる確率は、1000万分の5となります。

交通事故で事故死する確率と比べてみると、近年の交通事故死者数は毎年だいたい4000人です。人口を1億2000万人とすると、交通事故死の確率はおよそ3万分の1。宝くじのケースと分母を揃えると、1000万分の333となります。

実際には宝くじにはいろいろ種類がありますし、複数枚買うことも多いでしょうから、当せん確率はもっと上がります。だとしても、1年で宝くじに当たる確率は、交通事故で死を遂げる確率よりずっと低い。ちなみに2017年の、死亡以外を含む交通事故の総数は約47万件です。

誰もが、宝くじには当たると思って行列に並ぶけれど、交通事故になんて遭わないと思って道を歩く。でも、実際の確率は反対です。数字にしてみればわかることなのに、目を向けることはありません。人の感情、もっといえば「願望」がそうはさせない。願望が入っているほうが、頭の中で確率を高くはじき出すのです。

1000万分の1の1等以外の賞の当せん額を考えても、宝くじはギャンブルとして最悪と言えます。バラのほうが楽しみとか、連番がいいとか、小さな問題にすぎません。皮肉ですが、それでもこれだけのカネが集まることを考えれば、災害復興などにもっと積極的に用いてもいいのではないでしょうか。

■「狂牛病騒ぎ」との共通点とは

ただ「宝くじに当たる」方法は簡単です。1ユニットすべて買えばいい。前後賞も三等も全部当たります。ただ、30億円かかるだけ。

宝くじだけではなく、人間はいろんなところで「願望」や「恐れ」といった感情で確率を無視します。

例えば、00年代初頭の「狂牛病騒ぎ」でも、BSE感染患者は世界人口60億人分の、十数人でした。1億2000万の日本人で感染する確率は、1人以下でした。それでも、政治や世間は過敏に反応し、焼肉屋は閉店し、吉野家は豚丼をはじめるなど、経済的に大きな影響が出た。

行列というのは、「自分で判断すること」を放棄させる装置ともいえます。調べるのが面倒くさいから、並んでいるところなら大丈夫とか、「考えるコストを抜く仕組み」です。ほかにも、いろんな商品・サービスをネットに集積した評価「星」で評価するのも、考える材料を与えているようで、思考を奪っているのです。

行列に並ぶ前に、星の多い商品を買う前に、ふと立ち止まって、冷静に「確率」や「費用対効果」を考えてみる。もちろんそれが正しい消費者なのですが、「願望」を捨てきれないのもまた、人間なのです。

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友野典男
明治大学情報コミュニケーション学部教授
著書に『感情と勘定の経済学』『行動経済学 経済は「感情」で動いている』など。

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(明治大学情報コミュニケーション学部教授 友野 典男 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)

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