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墓じまい「海に流して」では危険すぎる

プレジデントオンライン / 2019年3月17日 11時15分

写真=iStock.com/mykeyruna

老後に困らないベストな選択肢はなにか。各分野のプロフェッショナルに「より賢い選択肢」を聞いた。第11回は「散骨vs.樹木葬vs.手元供養 遺族が迷惑するのはどれ?」――。(全11回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年11月12日号)の掲載記事を再編集したものです

■お骨に気づかず、処分してしまうことも

自然葬への関心が高まり、墓選びが多様化した昨今。イメージだけで選んでしまうと遺族に迷惑がかかることも。エンディングコンサルタントの佐々木悦子さんは「決める前に家族で話し合うことが大事」と指摘する。

“最期は自然に還りたい”と考える人に人気なのは、散骨や樹木葬。散骨は海や山などに遺骨を撒く方法だが海洋散骨には注意が必要だ。

「晴れて波が穏やかな日に散骨できればいいのですが、そうとも限りません。天候によっては、船が出航できないこともあります」(佐々木さん)

結果、地方から集まった親戚が長い時間、待機させられることも。長引けば宿泊費などの負担が生じることにもなる。その後も命日には散骨した場所にお参りをしたいと考える遺族も少なくないので、天候の心配がついてまわる。

一方で樹木葬は、墓石の代わりに桜やバラの木などを墓標にする墓地のこと。墓参りもできるので遺族も納得しやすいが、意外な現実も。終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんはこう話す。

「土に還るイメージを持たれている人も多いですが、骨壺を使用して納骨するところもあれば、一定期間を過ぎたら取り出して別の場所で合葬する樹木葬墓地もある。都立の樹林墓地は、抽選になるほど人気がありますが、マンホールのような穴が掘られていて、何百体もの遺骨を一緒に納骨するので、イメージと違うという人もいます」

抽選に当たってもキャンセルする人がいるとか。申し込み前に現地見学をしたほうがよさそうだ。

近年都市部で人気なのが室内型の墓である納骨堂だ。墓石を建てるより割安で、セキュリティーも完備、立地も良い条件のところが多く、年間で数千区画単位で増えている。しかし、トラブルが起きないとは言い切れない。

「墓じまいした長男が両親のお骨を家の近くの永代供養墓(※)に移したケースでは、姉夫婦が猛反対し、元の寺に墓をつくりなおすことに。結局、墓じまいとは話し合いです。将来にわたっての『供養』を『いま』『誰が』『責任』を持つのかという総合的な見識が大切だと思います」(佐々木さん)

特に、カードを差し込むと遺骨が出てきてお参りができるタイプの納骨堂が増えているが「機械式ですから、将来のメンテナンスがどうなるか、心配は残りますね」(吉川さん)。50年後、100年後どう遺骨を管理していくのかが明確な機械式納骨堂はまだない。

さらに、遺骨を身近に置いておく手元供養も需要がある。二カ所に骨を分ける分骨の有力な選択肢ともなるが、課題も少なくない。

「管理している人が世代交代すると、お骨があることさえ知らず、大掃除などで気づかず処分してしまうことがあります。死体損壊等罪に当たることもありますから注意が必要ですね」(佐々木さん)

すべての遺骨を手元供養するのならば、管理者が亡くなったときに備え、遺言やエンディングノートに遺骨に関するメッセージを残しておいたほうがいいだろう。

※墓参りできない、しない場合に、お寺や霊園が代わりに墓守をしてくれる墓。

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佐々木悦子(ささき・えつこ)
エンディングコンサルタント
一般社団法人日本エンディングサポート協会理事長。
 

吉川美津子(きっかわ・みつこ)
終活ビジネスコンサルタント
葬送・終活ソーシャルワーカー/社会福祉士。
 

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(向山 勇 写真=iStock.com)

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