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リアル告発"総理を支配する闇集団"の実態

プレジデントオンライン / 2019年3月2日 11時15分

幕 蓮氏

■安倍政権を支える闇集団を描いた92%の現実

総理を支配する闇の集団を描いたリアル告発ノベル『官邸ポリス』が霞が関界隈で話題だ。ストーリーは「どこまでが本当なのだろう」と引き込まれる。

政権中枢に派遣された警察庁出身者からなる「官邸ポリス」の準備組織「エイワン」。主メンバーの官房副長官・瀬戸弘和は東日本大震災の対応で混乱する民政党政権を見て、暗澹(あんたん)たる気持ちに駆られる。

瀬戸らは「合法的な手段を駆使して、政権を支えて日本を導く。唯一無二の存在になる」という思いを抱き、エイワンメンバーを率いて情報収集し、指示を出す。

総理宣伝本の出版を計画していた、東日本テレビ山本巧基記者の強姦容疑をめぐっては逮捕状の執行取り消しに動く。文科省の総括審議官前田裕兵の「恋活バー」通いを尾行して新聞にリークしたり、総理の名前のついた小学校を建てようとした幼稚園理事長門池康正夫妻を逮捕するよう指示したり。

第二次安倍政権下で実際に起きた疑惑を下敷きに、モデルとなった人たちをからめたストーリーが次々と展開する。帯のコピー「92%の現実」、つまり残り「8%のフィクション」のさじ加減が絶妙だ。

■「では、安倍総理の代わりは誰がいるの?」

著者の幕蓮氏は、元警察庁職員。震災後の政権の混乱を見ながらメモを書き溜め、10人ほどの官僚たちに取材。1年を費やして書き上げた。

幕 蓮『官邸ポリス 総理を支配する闇の集団』講談社

幕蓮氏は「安倍政権がベストと思ってないが『モストベター』。野党やマスコミはいろいろ批判するが、『では、安倍総理の代わりは誰がいるの?』と思う」と語った。霞が関ではマジョリティだろう。

一方で「政権礼賛本のようにも言われるが、現政権に満足しているわけではない」「地道に政権を支える警察官僚たちの姿を描きたかった」。葛藤や理不尽さに耐えつつ、職務を遂行する警察への素直な思いがこもる。

第二次安倍政権は、内閣人事局長に杉田和博氏、内閣情報調査室長の北村滋氏、国際テロ情報収集ユニット初代トップの瀧澤裕昭氏をはじめ、枢要ポストに警察庁出身者がかつてないほど多数、就任している。

幕蓮氏は「彼らは政権維持のため裏方に徹し、うまくやっている」と評価するが、「内閣人事局の権限が強すぎて、官僚が人事に縛られ、ものが言えない空気も蔓延している」「安倍一強が続く中、統計不正はじめ、各省庁で次々と起こる不祥事にふがいなさを覚える」とも指摘する。

「『官僚たちの夏』のような自由闊達な議論が中であるのではなく、目の前のことに忙殺され閉塞感も漂っている」。本書はそんな官僚たちへ「もう1度、気概を持て」というエールも込められている。

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幕 蓮
東京大学法学部卒業。警察庁入庁。その後、退職。

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(東京新聞社会部 記者 望月 衣塑子 撮影=村上庄吾)

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