1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

仕事の悩みを相談するのは「妻」がベスト

プレジデントオンライン / 2019年3月6日 9時15分

アルフレッド・ヒッチコック(1899~1980)

仕事で悩んだとき、誰に相談すればいいか。映画監督のヒッチコックは、製作過程で妻の意見を積極的に取り入れていたという。既婚者は「妻に話しても仕方ない」「夫は私の仕事をよくわからないから」と発想しがちだ。なぜ名監督は妻を頼りにしたのか――。

※本稿は、教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■仕事上の一大事にパートナーを頼れるか

たとえば今、あなたが転職や退職を考えているとします。そんな人生の一大事において、自分が家庭持ちで、妻や夫といったパートナーがいるという場合、あなたはそのことを相手に相談するでしょうか。

「サスペンス映画の巨匠」アルフレッド・ヒッチコックが、もしそのようなことで悩んでいるとしたなら、彼は真っ先に奥さんに相談していたことでしょう。なぜならヒッチコックは、映画製作の過程でことあるごとに妻のアルマに意見を聞いていたからです。

アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『レベッカ』をはじめ、『サイコ』『鳥』『バルカン超特急』などの数々の名作を世に送り出した名監督ヒッチコック。そのスリリングな作風から、さぞかし唯我独尊を重んじる人物なのではとも思ってしまいますが、そんな彼にも、気が許せる友人や頼りになる同業者は少なからずいたでしょう。

■「もっとも率直な意見を言うのは妻」

しかし、自分の作品内容について「もっとも率直な意見を語ってくれるのは妻である」とヒッチコックは常に理解し、彼女の意見をいつも積極的に取り入れることにしていたというのです。

つまり、仕事をする上で、「忖度抜きの客観的視点」を自分に提供してくれる妻をいつも頼りにしていた、というところでしょうか。

ヒッチコックの妻アルマは、かつてアシスタント・ディレクターをしていた経験があり、映画に関する知識も豊富に持ち合わせていました。1926年にヒッチコックとアルマは結婚していますが、1939年にイギリスからハリウッドへと渡って以来、アルマはいつも陰日向となって夫の映画づくりを支えていたといいます。

■妻が巨匠の映画づくりを支え続けた

彼の自伝的要素が強い映画『ヒッチコック』(2012年、アンソニー・ホプキンス主演)において妻のアルマ役を演じていたのは女優ヘレン・ミレンでした。彼女は映画完成後のインタビューで、アルマについてこのように述べていたようです。

教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)

「あの映画『サイコ』に参加した人のほとんどがすでに亡くなっていて、当時のアルマのことを覚えている人は本当に少なかったの。ただ、彼女の身長はわずか150cmくらいしかなかった。だから、そんな小鳥のような女性アルマが、あの大男ヒッチコックを唯一コントロールできた人物だという事実に感心したわ。

でも背が低くないわたしは、あえてアルマがヒッチコックをコントロールしている演技アプローチは取らず、アルマの娘が執筆したアルマ・レヴィルの伝記本を参考にしたの。アルマの娘は、影のような存在として扱われる母親を、表舞台に出して人々から評価してもらいたかったと思うの」(「シネマトゥデイ」2012年12月2日付より)

この映画で描かれていたアルマは、現場ではヒッチコックよりも撮影現場を仕切るのに長けた敏腕プロデューサーといった感じでした。「サスペンス映画の巨匠」と称えられながらも、イギリス時代はアカデミー賞と無縁だった夫を支える女性。ヒッチコック映画は、妻アルマがいたからこそ成立していたのだと考えることができます。

■自己満足を避けるために客観的視点を求めた

ヒッチコックが残した名言に、

「私はアーチストだ、自己表現するんだ、という姿勢を避けること。映画で自己表現するには、莫大なコストをかけなければならない――みんなを楽しませるというコストをね」

「私の映画は人生の断片ではなく一切れのケーキだ」

といったものがありましたが、自己満足という落とし穴に陥らないために、ヒッチコックは自分の作品に対する「客観的視点」の極みを求め、もっとも身近なパートナーである自分の妻の意見を取り入れていたわけです。

■「彼女の意見はすべて取り入れる」

イギリスの映画監督クリストファー・ノーランも、ヒッチコックと似たような考え方を持っているようです。

自身にとって2作目となる『メメント』でインディペンデント・スピリット賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされたノーラン監督は、その後、『バットマン ビギンズ』から始まる新たな「バットマン」シリーズの監督に大抜擢され、日本でもヒットした『インセプション』や、アカデミー賞8部門にノミネートされた『ダンケルク』といった注目作品を次々に世に送り出し、世界的な有名映画監督の仲間入りを果たしました。

そんなノーラン監督が妻となるエマ・トーマスと結婚したのは1997年のこと。その後、2人はノーラン作品をすべて手がける映画製作会社を設立し、二人三脚で映画づくりに取り組んでいます。

ノーラン監督は妻のエマ・トーマスについて、

「彼女の意見はすべて取り入れる。決して議論になることはないし、仕事を家に持ち帰ることはない」(「Real Sound」2017年8月30日付より)

と述べ、彼の場合、自分の妻としてのみならず、プロデューサーとしても全幅の信頼を置いていることがわかります。

■仕事に関係ないからこそ親身に考えてくれる

この記事をお読みになったあなたが家庭持ちだという場合、仕事関係でなんらかの“壁”にぶち当たったときなど、自分にとってもっとも身近な存在であろう「奥さん」や「旦那さん」に相談してみてはいかがでしょうか。

奥さんが怖くても意見を聞いてみる発想を(『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』より/イラスト=タダ・トモミ)

例として挙げた2人の映画人、アルフレッド・ヒッチコック監督や、クリストファー・ノーラン監督も、「客観的かつ率直な見解」を求め、自分のプライベートにおける親愛なるパートナーである妻に、臆することなく仕事の相談していたのです。

仕事内容への理解度や、専門的な視点の有無などはまったく関係ありません。「聞いたところでどうにもならないだろう」などという余計な先入観はいっさい持たず、妻や夫の率直な意見を聞いてみる。

妻や夫からすれば、愛する家族の行く末を左右するかもしれない一大事に相談されたとなれば、必ずや親身になって考えてくれるはずですし、職場における人間関係が生み出すような「遠慮」や「嘘」などはそこにはいっさい存在しません。

仕事関係の人たちの視点からは得られない、意外でタメになる、まさに“目からウロコ”のすごいアドバイスが得られるかもしれません。心当たりがあるなら、さっそく今日にでも妻や夫に話してみてください。

----------

教養総研(きょうようそうけん)
「教養」に関するさまざまなトピックスを世に発信する小集団。これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。

----------

(教養総研 イラスト=タダ・トモミ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください