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4倍速で成果を出す人の「仕事の投げ方」

プレジデントオンライン / 2019年3月9日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/designer491)

業務過多に陥るリーダーは多い。メンバーにうまく仕事を投げるにはどうすればいいのか。人事評価クラウドを提供する、あしたのチーム会長の髙橋恭介氏は「部下ができるようになった仕事からリリースしつつ、リーダーは積極的に新しい業務に挑戦するべきだ」という――。

※本稿は、髙橋恭介『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■5年前の社長の業務は、今の新人の業務

私が5年前にやっていた業務は、今、新入社員がやっています。

5年前、社長である私が、1社1社訪問し、提案を行い、200社のお客様をつくりました。その後、こうした顧客の新規開拓の仕事は、創業メンバーである現在の役員クラスの人たちにやってもらうようにしました。

つまり、チームリーダーである私の業務を、他のメンバーに任せるためにリリース――手放したのです。

顧客の新規開拓の業務をリリースした私は、次にセミナー営業を新たにやり始めました。1社1社訪問して営業するのではなく、10社以上の企業を集めたセミナーを開催し、そのセミナーで営業をすることにしたのです。

このセミナー営業も、最初は私しかできませんでしたが、他の社員にノウハウを伝授して任せていきました。今では、ほとんどの社員がセミナー営業を行うことができます。

■「リリース」しなければ「キャッチ」はできない

私がやっていた業務をどんどん社員に任せてやってもらう。これをこれまで4倍速で繰り返してきました。いわば、流しそうめんのように、業務を上から下へどんどん流していったのです。

社長としてやっていた業務を社員にリリースし、自分は新しい業務に挑戦する。その新しい業務ができるようになったら、また社員にリリースする。こうした業務の「リリース・アンド・キャッチ」を4倍速で繰り返してきたのです。

現在のチームリーダーの多くは、プレイングマネジャーとして、プレイヤーとしての業務とマネジメントの業務の両方をやることで業務過多に陥っています。この状況を変えるには、自分のやっているプレイヤーとしての業務をメンバーに任せるしかありません。

そして、現在の業務をメンバーに任せない限り、新しい業務に挑戦することは不可能なのです。

リリースしなければ、キャッチすることはできないので、キャッチ・アンド・リリースではなく、リリース・アンド・キャッチなのです。

■実績を出し続ければ、必ずメンバーは増えていく

もし、チームリーダーに対してメンバーが一人だけだったら、チームリーダーの業務を全部メンバーにリリースした瞬間に生産性は下がり、売上が下がります。

社員がまだ10人以下のときに、私が営業の仕事をリリースできなかったのは、このためです。社員が自分の業務を大量に抱えている中で、さらに社長の業務を渡したら、社員はすべての業務を完遂できなくなり破綻しますから、会社全体の生産性が下がるのは自明でした。

ですから、私が自分の業務をリリースしたのは、社員が増え、社員の業務量にある程度の余裕ができてからです。

たとえば、チームリーダーの業務のうち、50%がプレイヤー業務で、50%がマネジメント業務だとします。

メンバーが3人いて、全員がキャパシティの80%の業務を行っているのなら、チームリーダーの50%のプレイヤー業務を全部メンバーにリリースしても、メンバーが破綻することはないでしょう。

チームリーダーは、リリースした50%分、新たなマネジメント業務に取り組むことができ、「てこ」として働くことでチームのパフォーマンスを50%以上上げることも可能になります。

チームリーダーは、自分でメンバーを雇って増やすことはできませんが、チームのパフォーマンスを上げて、実績を出し続けていれば、必ずメンバーは増えていきます。

これは、経営の原理・原則です。勝っているチームには、必ず業務と人が投下されます。勝ち続けているチームのメンバーが増えていくのは必然なのです。

■量が質に転化する理由

チームリーダーが自分の業務をメンバーにリリースし、自分は自分の上司の業務をキャッチする。これを継続していると、やがて上司の業務が全部できるようになります。

そうなれば、本当にそのポジションに配置されることでしょう。リリース・アンド・キャッチで常にワンランク上の業務をキャッチしていけば、やがて課長から部長、事業部長、役員へと上がっていくことができます。

髙橋恭介『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(PHP研究所)

ここで注意してほしいのは、チームリーダーが自分の業務をリリースするだけでは、チームも自分も成長することはできないという点です。既存の業務をリリースするのは、あくまでも新しい業務に挑戦するキャパシティを生み出すためであり、今できないことをできるようにするためです。

優先順位の高い施策に重点を置いて取り組むために、優先順位の低いことは、やらないと決めるのです。新陳代謝をすることが大事なのです。

成長している企業を見ても、まずは限界まで業務量を増やし、それを何とかこなすことで質に転化させています。単に業務をリリースして業務量を減らしても、新しい業務に取り組まなければ、質に転化することはありません。チームリーダーはこのことを肝に銘じておきましょう。

■「リリース」と「丸投げ」の違い

チームリーダーは、自分の業務をどんどんメンバーにリリースしたほうがいいと言うと、自分の業務をどんどんメンバーに丸投げすればいいと誤解する人がいるかもしれませんが、リリースと丸投げは全然違います。

メンバーにリリースする業務は、自分ができるようになった業務です。他方、自分ができるようになっていない業務をメンバーに投げるのが、丸投げです。

リリースした業務は、メンバーに何かあれば助けることができますが、丸投げした業務はメンバーに何かあっても助けることができません。

より難易度の高い業務をチームリーダーが獲得するために、メンバーに業務を任せるのがリリースです。

■「キャッチ・アンド・キャッチ」では破綻

自分の業務をリリースする目的は、難易度の高い業務をキャッチするためであり、業務をリリースしないで、新しい業務をキャッチすると、業務の海に溺れて、チームリーダーの業務が破綻してしまいます。

ただ、難易度の高い業務をキャッチするという目的なしに、業務をメンバーに渡すと丸投げになってしまい、いなくてもいいチームリーダーになってしまいます。

チームリーダーにとって、リリース・アンド・リリースが一番ダメで、メンバーに業務を丸投げしているだけで、存在価値のないチームリーダーになってしまいます。

一方、キャッチ・アンド・キャッチで、どんな業務も引き受けてしまうと、チームリーダーは業務をこなしきれなくなり、どの業務も中途半端になってしまい、最終的には破綻してしまいます。現実にはこの状況に近いチームリーダーが多いのかもしれません。

キャッチ・アンド・リリースできるチームリーダーは、自分の業務のキャパシティを限界まで使っていないということです。だから、先に新しい業務をキャッチすることができるのです。個人的には楽かもしれませんが、その分、成長も遅くなります。

こう考えると、リリース・アンド・キャッチが一番正しいことがわかるでしょう。チームリーダーがリリース・アンド・キャッチを4倍速で行うことで、自分も、メンバーも、チームも4倍速で成長することが可能になるのです。

(株式会社あしたのチーム代表取締役会長/一般社団法人スマートワーク推進機構 代表理事 髙橋 恭介 写真=iStock.com)

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