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健診でバリウムより胃カメラがお得なワケ

プレジデントオンライン / 2019年3月24日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Ca-ssis)

少しの工夫で医療費を節約する方法がある。3人の識者に、7つのテーマにわけて具体的な手順を聞いた。第7回は「人間ドック」について――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです。

▼3260円お得に!(※)
実はあまり意味がないバリウム検査

※バリウム検査1回の値段。健康保険適用しない場合

■高額なのに、質の低い人間ドックも

人間ドックは、自分の健康状態を知る手段。病気の予防や早期発見にも有効だ。ただ、その値段を見ると数万円というものから、数十万円というものも。

「値段が高くなるほど検査項目が多くなるので、お金を出す価値はあります。それだけ異常が検出される可能性が高くなるわけですから。もっとも、中には高いだけで質の低い人間ドックもあります。日本人間ドック学会や日本総合健診医学会などが認定する施設から選ぶのも1つの方法です」(長尾クリニック院長の長尾和宏氏)

もう1つ、有効な判断基準に「バリウム検査」があるという。長尾氏によれば、胃の検査でバリウム検査を採用するか、胃カメラ(胃の内視鏡検査)を採用するかで、人間ドックの質がわかるとか。

「極端に言えば、バリウム検査での早期胃がんの発見には難があります。検査の精度は胃カメラのほうがずっと上です。それなのに、バリウム検査を採用するのは、人件費の問題が大きい。胃カメラは医者が担当しなくてはならないうえ、午前中に診られるのは医者1人でせいぜい十数人ほど。バリウム検査は放射線技師に任せられ、午前中だけで50人も対応することができます」(同)

患者の人数で考えても5倍。人件費の面でも、放射線技師より医師のほうが高給なのが一般的。同じ値段の人間ドックであれば、バリウム検査が組み込まれているものより、胃カメラで検査を行うもののほうが断然お得というわけだ。

しかし、胃カメラで検査をするとなるとやはり、より信頼できる施設で人間ドックを受けたくなる。

「人間ドックを行っている施設のホームページを見て、医師の顔写真が掲載されていることが第一条件。さらに、専門病院や名の通った病院と提携しているかどうかもチェックしてください」(同)

■PETでは映らないがんが、たくさんある

日本では様々ながん検診が行われている。中でも、1度の検査でほぼ全身を診ることができるとされるPET検査は一見、魅力的に見える。

「そもそもPET検診は自由診療です。かつて数十万円はしたPET検査も、最近は10万円前後で受けられるようになりました。ただし、小さながんもわかる、1度で全身のがんが見つかるというのは迷信です。PETでは映らないがんがたくさんあるからです。大きな進行胃がんでもPETでは映らないことがあり、胃カメラではじめて見つかった事例もあります」(同)

ではPET検査を受けても意味がないということか。

「そもそもPET検査は、がんの進行度や転移の有無、治療後の再発の有無を見極めるための方法なんです。そのためには有効です。ただ、PET検査の放射線被ばく量は少なくありません。毎年受け続けたら、むしろがんをつくることになるかもしれません。ですから単独のがん検診としてはお勧めしていないのです」(同)

ところで、人間ドックの検査結果により、精密検査を勧められることも当然ある。だが、精密検査をしてみたら『異常なし』という経験を持つ人も少なくないだろう。

「人間ドックを受けること自体が、ストレスになる場合があります。すると本当は病気でもないのに、そのストレスが検査結果に反映され、濡れ衣を着せられるというわけです。それで怒る人もいますが、人間ドックとはそもそも、『これはちょっとおかしい』という部分をとりあえず引っかけることが目的。そこは十分に理解して活用してほしいですね」(同)

結論:同じ値段ならバリウム検査より胃カメラがいい

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長尾和宏
医師、長尾クリニック院長
1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年長尾クリニック開業。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医。『その医者のかかり方は損です』など著書多数。

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(小澤 啓司 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)

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