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仕事に集中するには"ながら作業"がベスト

プレジデントオンライン / 2019年3月15日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/GDAquila)

集中力を高めるためには、どうすればいいか。小説家のスティーヴン・キングは、お気に入りのヘヴィメタルをかけながら執筆に集中しているという。なぜ音楽を聴くと集中できるのか。“ながら作業”のメリットとは――。

※本稿は、教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■世界的ヒットメーカー作家が続けた仕事作法

『キャリー』『シャイニング』『IT』といったホラー作品のほか、『スタンド・バイ・ミー』『グリーンマイル』といった感動作も数多く手がけてきた「モダン・ホラーの開拓者」スティーヴン・キング。彼の生み出す物語は世界各国で翻訳出版されており、日本における人気もすこぶる高い小説家です。

キングのプロの小説家としてのキャリアは、1973年、長編小説『キャリー』の原稿を出版社に売ったことから始まるので、すでに約半世紀のキャリアを誇る大ベテランということになります。文芸のみならず、映画界にも大きな影響を与えているキングは、いったいどのような意識づけのもと、日々、新作小説を書いていたのでしょうか。

彼自身の手によるノンフィクション『小説作法』によると、午前中は、取りかかっている作品の執筆を進めること、午後は昼寝と手紙の返事を書くことなど、夜は読書と家族団らんに費やしているそうです。

そして残りの時間で、メジャーリーグ・レッドソックスのテレビ中継を観て、急ぎの仕事があれば進める。したがって、キングの執筆時間は「午前中に限っていた」ということになります。

■書斎には気が散るものを一切置かない

キングが執筆活動を進めることにおいて重要視していたのは、書斎の在り方でした。この点に関して、彼は同書で以下のように述べています。

「なるべくなら、書斎に電話はない方がいい。テレビやビデオゲームなど、暇潰しの道具は論外である。窓はカーテンを引き、あるいは、ブラインドを降ろす。(中略)作家すべてに言えることだが、特に新人は気が散るものをいっさい排除すべきである」(スティーヴン・キング著・池央耿訳『スティーヴン・キング 小説作法』アーティストハウス)

執筆の妨げになるようないっさいの物を排除し、気が散る要素を極力なくす。仕事に取りかかる前に、キングはそれらすべてを机の上から片付けてしまうそうです。

その一方で、彼が仕事に取り組むにあたって実践していたのが、「音楽を鳴らしながら書く」ということでした。

■ヘビメタを聴きながら集中して執筆

彼が好きな音楽は、ガンズ・アンド・ローゼズやAC/DCといったハードロックで、なかでもお気に入りはメタリカ。メタリカといえば、日本にもファンが多い大人気ヘヴィメタル・バンドです。

教養総研『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(KADOKAWA)

スティーヴン・キングとハードロックやヘヴィメタルは、一見するとまったく結び付かないイメージがありますが、意外にこれが「集中」するために有効だというのです。

実際に音楽をかけながら(特にイヤホンで聴きながら)仕事や勉強をするとわかると思いますが、ほどよい大きさの音量で音楽を聴いていると、「聴いているのに聴いていない状態」になることがあります。

仕事や勉強がある程度進んで、あらためて音楽に意識を立ち戻らせてみると、あっという間にアルバム1枚分が終わっていた、あるいは、無意識のうちに長い曲が数曲分進んでいた、という経験は誰にでもあるはずです。

このことを当のキングは、「ドアを閉じる手段の一つ」と表現しています。このとき彼のいう「ドア」とは、実際の建物の扉ではなく、「心の扉」を指していると理解するのが妥当でしょう。

そして彼は、このことについてこう記し、自分の執筆習慣についてまとめています。

「書くときは世界を締め出したい」

■文豪ヘミングウェイも「ながら作業」

スティーヴン・キングが「音楽を聴きながら執筆していた」という“ながら作業”についてお伝えしたところで、もう一つ、注目すべき“ながら作業”の事例を紹介しましょう。

キューバの老漁師サンチアゴは不漁続きの中、85日目にしてようやく獲物と出会い、二日二晩におよぶ死闘の末、巨大なマカジキを獲った。しかし港へ帰る途中、サメに食い散らかされ、持ち帰ることができたのはその骨だけだった──。米国の小説家アーネスト・ヘミングウェイによる不朽の名作『老人と海』には、過酷な自然に立ち向かう人間の孤独と矜持、悲哀が描かれています。

■立ったまま仕事をするのがこだわり

この『老人と海』をはじめとする名作を世に送り、のちにノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイですが、彼の執筆のやり方には独特なものがありました。それは「立ったまま書く」というものでした。

1959年、妻メアリーが撮影したというヘミングウェイ

ヘミングウェイは、胸の高さまである本棚の上に木製の書見台を置き、そこにタイプライターに使う用紙を備え、鉛筆で書き進めました。そして、ある程度物語を先へ進めることができ、会話を挿入する必要性が出てきたときにあらためてタイプライターで打ち直したのだそうです。

この「立ったまま仕事をする」という手法は、グーグルやフェイスブックでも採用されている「スタンディングデスク」との関連性が指摘されています。

■座りっぱなしは脳に良くない

アメリカのシリコンバレーや北欧の先進的なオフィスでは、立って作業しながら働いている人が目立つといいます。それはデスクワークにおいても同様で、そうした会社では、「スタンディングデスク」という、机の高さを変えることができる作業台がたくさん導入されています。

現在、「座りすぎ」が、がんや脳梗塞、糖尿病などの重大な病気の原因になっていることが徐々にわかってきており、また、立ちながら仕事をすることが生産性を向上させるともいわれています。これは、立つことによって足の血流がスムーズになり、それに連動して脳が活発に働くようになるということらしいのですが、ヘミングウェイの仕事習慣は、それを何十年も先取りしたものだったといえそうです。

ちなみに、ヘミングウェイの仕事の習慣には、もう一つ変わったものがあります。それは、「毎日、書いた語数を数える」というものでした。

ヘミングウェイによると、これは「自分自身を誤魔化さないための習慣」なのだといいます。彼は自分に対し、最低限のノルマを課して仕事に取り組むことによって自己をしっかりと管理し、短編であろうが長編であろうが毎日決まった分量の原稿を書くことで、世界中の人々に愛される数々の傑作を生み出していったのでしょう。

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教養総研(きょうようそうけん)
「教養」に関するさまざまなトピックスを世に発信する小集団。これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。

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(教養総研 写真=iStock.com)

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