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住宅購入で知るべき"ローン控除"の3要点

プレジデントオンライン / 2019年3月14日 9時15分

控除額の計算方法(画像=『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

マイホームを買うと、「住宅ローン控除」を受けられる。ただしそのためには、「床面積が50平方メートル以上」などクリアするべき3つの条件がある。注意点と申告の流れを、公認会計士の渡辺義則氏が紹介する――。

※本稿は、渡辺義則『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■節税効果が高い「住宅ローン控除」

住宅ローンを組んでマイホームを新築・購入した方は、「住宅ローン控除」(正式名称は、住宅借入金等特別控除)を受けることができます。この住宅ローン控除は、会社勤めの方の場合、はじめの年だけ確定申告が必要です(翌年以降は、会社の年末調整で対応が可能)。

控除額と控除が受けられる年数は、いつマイホームに入居したかによって異なります。平成30年中に入居した方は、下図のように、「平成30年12月31日時点の住宅ローン残高×1%」で計算した金額(100円未満切り捨て)を、10年間にわたって控除できることになっています。控除の最高額は、一般的なマイホームで40万円、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅(共に新築に限る)で50万円です。

住宅ローン控除は、税額控除の1つで、税金から直接控除(引くこと)できるため、かなり節税効果の高い控除です。たとえば、その年の税額が20万円、住宅ローン控除が15万円であれば、20万円から15万円を引いた5万円が今年納めるべき税金と計算されます。この例では、住宅ローン控除額と同額の15万円が丸々節税できることになります。

■所得税で足りない分は住民税から減税される

また、同じ例で、給料から天引きされた税金(源泉徴収税額)が20万円あったとすると、納めるべき税金は5万円ですから、すでに納めた20万円の税金との差額15万円が納めすぎということになります。そこで、差額の15万円が確定申告によって、還付されることになるのです。

ただし、所得税で住宅ローン控除が受けられるのは、自分が支払うべき税金の範囲内です。仮にその年の税額が20万円、住宅ローン控除が25万円であれば、5万円分が所得税から引き切れずに残ってしまうことになります。そのようなときには、最高で13万6,500円(課税所得金額×7%:課税所得金額は所得金額-所得控除で計算)まで、住民税のほうから引かれることになっています。つまり、先ほどの例でいえば、残った5万円は住民税のほうで減税されるということです。

なお、住民税についての申告はとくに必要なく、確定申告をすれば、減税分が以後に給与から天引きされる住民税に反映されます。

■住宅ローン控除を受けるための「3つの条件」

ここで住宅ローン控除を受けるときに、注意したいことなどをまとめておきます。

1点目は、住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件をクリアしている必要があることです。たとえば、新築住宅の場合には、主に次のような条件があります。

①マイホームの床面積が50平方メートル以上(登記事項証明書上の数字で)であること
②金融機関などから返済期間10年以上の住宅ローンを組んでいること
③平成28年~32年の間にマイホームを売って、3,000万円特別控除や軽減税率の適用を受けていないこと

主なものの例示になりますが、1つでも条件を満たさないと、住宅ローン控除は受けることができません。

控除額の計算方法(画像=『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

2点目は、マイホームの売却や買い換え予定のある方です。上記③と関係があるのですが、該当する方はマイホームを売却したときの特例と住宅ローン控除のどちら一方しか適用できません。どちらを適用するかを考えておきましょう。

3点目は、夫婦共有名義のときです。夫婦共有名義でマイホームを取得した時は、それぞれ住宅ローン控除を受けることができます。ただし、夫と妻がそれぞれ別々に住宅ローンを組んで、それぞれの収入から住宅ローンを返済していることが条件になります。

4点目は、転勤したときです。マイホームの購入後に転勤したときは、単身赴任をして家族(生計を一にする)が引き続きマイホームに住んでいれば、住宅ローン控除を受けることができます。しかし、家族全員が引っ越したケースでは、再居住するまで住宅ローン控除を受けることはできません。

■住宅ローン控除に必要な書類と作成の流れ

住宅ローン控除を受ける方は、以下の書類を用意しましょう。

①申告書A(またはB)

会社勤め(収入は給料のみ)の方であれば、申告書Aが必要です。税務署か、国税庁のホームページからダウンロードして使いましょう。

②(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

これは住宅ローン控除額を計算するための専用の用紙です。①と同様に税務署か国税庁のホームページからダウンロードしましょう。

③売買契約書、工事請負契約書など

これは建物と土地の価額を調べるために使います。コピーを申告書付属の「添付書類台紙」に添付して提出します。

④登記事項証明書

建物と土地の面積を調べるために使います。法務局で手に入れることができます。これも③と同様に「添付書類台紙」に添付して提出する必要があります。

渡辺義則『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』(KADOKAWA)
⑤住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

年末時点の住宅ローン残高を調べるために使います。住宅ローンを組んだ金融機関から送られてきますので、なくさないようにとっておきましょう。これも「添付書類台紙」に添付して提出します。

⑥源泉徴収票

自分の収入や支払い済の税額などを証明するためのものです。年末調整後、会社から交付されますので、とっておきましょう。これも、「添付書類台紙」に添付して提出します。

申告の際は、「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」から書き込みを開始します。明細書で住宅ローン控除額を計算して、その控除額を申告書に転記するという流れになります。

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渡辺 義則(わたなべ・よしのり)
公認会計士・税理士
中央大学商学部卒業。外資系監査法人、経営コンサルタント会社を経て、現在、渡辺公認会計士事務所所長。中小企業の経営・税務の指導にあたるとともに、株式公開、相続対策セミナーの講師などを担当し、幅広く対応。著書に累計75万部を突破したシリーズ『自分ですらすらできる確定申告の書き方』(KADOKAWA)がある。

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(公認会計士・税理士 渡辺 義則 構成=前窪 明子)

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