1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

会議の"名前"を変えると時間が半分になる

プレジデントオンライン / 2019年3月26日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Yagi-Studio)

残業するなと言われても、やるべき仕事は増え続ける一方……。いったいどうすればいいのか。3人の時間術のプロに、仕事のムダを取り除く秘訣を聞いた。

■あなたの時間を奪っている元凶

日本のホワイトカラーの生産性は低いとも言われる。しかし、一般に業務範囲や責任の所在が曖昧な日本企業で働いていると、自分の「時間単価」を意識する機会がなかなかない。そのため、どこから手をつければ生産性を高められるのかわからなくても当然だ。

こうした状況で、多くの人は「時間ドロボー」に貴重な時間を奪われている可能性が高い。しかも、知らないうちに時間を浪費しているため、対策を講じにくいのだ。ではどうすればいいのか。

まずは時間ドロボーの存在に気づくことが第一歩。7つの状況別に無駄が生じやすいポイントを解説する。日頃の働き方を振り返り、無駄を洗い出してみよう。

教えを乞うたのは、元トップセールスマンでマネジメントコンサルタントの濱田秀彦氏、ソフトバンク時代に孫正義氏の下で社長室長を務め効率的な仕事術を極めた三木雄信氏、外資系コンサルファーム出身で仕事の生産性向上のプロである清水久三子氏。

長時間かければ量をこなせるのは当たり前。デキるビジネスパーソンは、限られた時間で質の高いアウトプットを叩き出している。3人の達人に学びながら時間ドロボーを撃退し、自分の時間を取り戻そう。

【1】退屈なミーティング
会議は名前を変えるだけで時間が半分になる

■“御前会議”は、なぜダメなのか?

会議の時短については、招集する側と参加側の2つの立場がある。まず招集する側から見てみよう。濱田氏は「会議」と呼ばれるものには次の5種類があるという。報告会議、連絡会議、意見収集会議、問題解決会議、意思決定会議だ。そのうえで、「問題解決と意思決定以外の会議は不要」と切り捨てる。「ただ意見を集めたり情報を共有したりするだけなら、メーリングリストでも代替できるはず」という。

特に、いわゆる「御前会議」と呼ばれる会議には無駄が多いと実感している人も多いだろう。社長の前に大勢の管理職が集められ、1人ずつ報告を求めるタイプの会議だ。会社員時代は、御前会議の運営を任されていたという濱田氏もその1人。「自分が報告した後は、他の人の発表を延々と聞いているしかない。それなら個別に呼び出して報告させれば済む話。大げさな『会議』にしなければ資料の準備も最低限で済み、いっそう時短効果が高い」。

会議運営のコンサルも多数手がける清水氏は、いつも習慣で開いている会議をすべて棚卸しするよう勧める。開催頻度と参加者、会議の所要時間をすべて洗い出すのだ。特に所要時間については、説明、議論、結論を出すプロセスにそれぞれ何分ずつ割いているか細分化することで、どこに時間ドロボーが潜んでいるかが一目瞭然となる。「ほとんどの会議は説明時間が長すぎ。1時間の会議のうち40分が説明で終わる会議もザラ。問題のない『正常報告』は紙を配って口頭説明はなくすなど、ここを簡素化するだけで、会議全体の所要時間が半減したケースもある」。

三木氏の会社では、会議の時間を最短15分単位で設定している。「1時間はいくらなんでも長い。せいぜい30分で十分」。最初から長めに設定すると、ついダラダラしてしまいがち。短時間で成果を出すには、アジェンダ(議題)をしっかり絞り込んでおく必要がある。例えば「新サービスについて」といったテーマでは曖昧すぎると三木氏は言う。「もっとテーマを絞って、『新サービス仕様決定会議』などとすべき。そうすれば何を決めるべき会議か明確になる」。会議名を変えるだけで、短時間で密度の濃い議論ができる。

■アポを使って「出るべき会議」を取捨選択

三木氏は参加者の選び方についても常に戦略的に考えている。会議で決まったことが後から覆されたら大いなる時間の無駄だ。そうならないためにも、後で何か言ってくる可能性がある人は、会議に呼んでしまったほうがよいという。「近頃は、いざ実行に移す段になって、『コンプライアンス上の問題がある』と言われるケースも少なくない。初めからコンプライアンス部を呼んでおけば間違いない」。

一方、自分が一参加者の場合、会議の時間を無駄にしない工夫としてはどんなことができるだろうか。清水氏はまず、何より本当に出るべき会議を取捨選択しようと提案する。だが、参加メンバーに入っている以上、「忙しいから参加したくない」とは言いづらいはず。そんな場合、「外回りのアポを入れてしまうのがコツ」と清水氏。「お客さま都合で動かせないと言えば角が立ちませんから」。あるいは、出席するにしても「14時半までしかいられません」などと、あらかじめ言っておくのも有効だという。「すると他のメンバーも、大事なことだけでも14時半までに決めよう、という心理が働き、結果的に短時間で会議を終えられることも多い」という。

最初から最後まで出席すると決めた会議でも、議論下手なメンバーがいると、話が脱線したり、無駄なやり取りの応酬が続いたりして、時間の浪費につながることがある。消耗戦になりそうなとき、清水氏によれば「この件は長くなりそうなので、後で2人で話しませんか」というかわし方が有効だと言う。いたずらに相手の尊厳を傷つけなければ、それ以上食いつかれないで済む。

最後に清水氏は、会議のうまい組織の例として、ある会社の会議ルールを紹介してくれた。それは、①必要な情報は事前に共有し、配付資料の読み上げは禁止する、②会議冒頭でゴールを決め、最後はTo Doを確認する、といった内容で、明文化してすべての会議室に張り出しているという。「こうした工夫で、会議が終盤に近づくと、誰もが『そろそろTo Doを出さなくちゃ』という気になります」。また、進行役(ファシリテーター)を輪番制にして、全員が会議の進行を意識するよう促しているという。

【2】止めどないメール返信作業
1本の電話でメールラリーを打ち切る

■処理するメールの数を減らす方法

メールに時間を奪われないために、まず気をつけるべきは、処理する時間帯を決めてしまうこと。「受信するたび五月雨式に反応するのは非効率。私は朝、昼、夕方それぞれ30分以内と決めて、それ以外は通知もオフにしています」と清水氏。

メールを書くスピードを上げる方法として、自分がよく使うフレーズや固有名詞をユーザー辞書に登録しておく方法がある。多くの人が取り入れているだろうが、清水氏にならって徹底的にカスタマイズしてみよう。例えば「よろ」という読み方だけでも、最もシンプルな「よろしくお願いします」から丁寧な「引き続きどうぞよろしくお願いいたします」まで6パターンものフレーズを登録。さらに、英文の頻出フレーズも登録し、その都度入力する手間を省いてスペルミス防止にも役立てている。

最も効果的なのは、そもそも処理の必要なメールの数自体を減らすこと。受信すること自体は避けられなくても、返信すべきメールを選別することはできる。その1つの方法として、「CCはまとめてざっと目を通すだけでいい」と濱田氏は言う。「後で必要になったら探して詳しく読めば十分です」。

こうして気をつけていても、相手が時間のロスに鈍感な人だと、何往復もメールの「ラリー」を繰り返す羽目に陥りがちだ。セミナー講師をすることの多い濱田氏は、主催側の丁寧すぎるやりとりにしばしば閉口するという。「お昼はお弁当をご用意するということでよろしいでしょうか?」というメールにOKの返信をしても、次に「アレルギーなどはありませんか?」などと聞いてくる。あっという間に激しいラリーの応戦になってしまう。「そんなときは電話でまとめて用件を聞く。メール3~4通分ぐらいが一気に済みます」。

電話のほか、ショートメッセージとの併用もお勧めだ。三木氏の会社ではLINEの法人向けサービスを導入し、添付ファイルがないやりとりはLINEで完結させている。「おかげでメールの量は大幅に削減できました」。メールだけに頼らないのが、メールを効率よく使いこなすコツともいえる。

【3】パワポ資料作成で消耗
手間なし、最速、効果抜群の「リアル手書き」資料

■老眼が入った役員は、目がチカチカする

まずは社内向けの資料について考えてみよう。「やたらとカラフルにしたり、グラフを立体的につくったりしますが、そうした『演出』は一切不要。やめても誰も文句は言いません」と清水氏は言う。むしろ、あまりに凝った資料は目がチカチカして役員クラスには不評だという。パワポを使うとつい凝りがちだが、外資系企業の中には、パワポ禁止の動きもあるそうだ。

見た目に凝るより、中身の設計を見誤らないことがはるかに重要だ。上司に資料作成を頼まれた場合、いきなり作りだしてはいけない。三木氏は20代の頃から、かいつまんだポイントだけを並べた資料の「設計図」を、まず上司に見せていたという。「上司への確認にあたって、数字やデータ類が本物である必要はありません。この手のデータを探す予定だと伝えられれば十分です」。ここまでを先に確認できれば、完成させた後に全部やり直しという手戻りを防げる。

稟議書を通すコツはずばり「売り上げアップかコスト削減につながること」だと濱田氏は断言する。「その数字さえ押さえてあれば、余計なことを書く必要はない。ほんの2~3行の稟議書でも通るものです」。そのうえで清水氏は、日頃の「信頼残高」がモノを言うと指摘する。「この人の稟議書はたぶん大丈夫、と社内で思われていれば、優先順位を上げて早く回してもらえるもの。信頼を勝ち得ておくことで、スピードアップにつながることも多い」と指摘する。

社外向けの資料についてはどうか。濱田氏のアドバイスは、「顧客の前で、手書きのラフを書いてしまうこと」だという。提案書は、自分でゼロから作るのではなく、あくまで顧客と合意した内容を書面化するものだと肝に銘じよう。手書きラフは、ごくシンプルでいいので、図解で見せると効果的だ。「形」で見せることで、顧客のイメージとズレがないかどうか、いっそうクリアにできるからだ。「的確に描けたラフスケッチは、顧客から『写メ撮らせてもらっていいですか?』と言われることも多い。そうなったら、その商談はほぼ確実に決まります」。

【4】面倒な部下の指導
報連相スキルを上げる「正しい質問」とは

■悪い報告をされたら、まず何を言うべきか

「上司にとって報連相は命綱」と濱田氏は言う。今はほとんどの仕事がパソコンで完結するうえ、社外からの電話も個人のスマホにかかってくることが増えた。そのせいで、部下の様子を見ているだけでは何をやっているのかわからないことが多い。

だが、「報連相」をしっかりやってくれと言われて喜ぶ部下はいない。単純に億劫なことに加え、悪い報告をすれば小言を言われるのがわかっているからだ。部下が報連相をしたがらないのは、上司にも責任があると濱田氏は言う。「多くの上司は、部下が報告するのは当たり前と思っていて、礼の1つも言いません」。むしろ、進捗の遅れや小さなミスを咎めてガミガミ言い始める上司さえ少なくない。それでは報連相が滞るのが当たり前。上司からはますます状況が見えづらくなる。「仮に注意したいことがあっても、まず報告を上げたこと自体は評価すべき。そのスタンスさえ崩さなければ、やがて部下から言ってくるようになる」。

もちろん、回りくどい報連相をする部下を放置しておいてはいけない。三木氏が常に部下に言い続けているのは、結論を先に述べることと、事実と意見を分けて伝えることだ。しかしそれでも、要領を得ない部下には、「正しい質問」をすることを心がけているという。「報連相が下手な人は、様々な要素が整理できていない。どういうゴールに対して現状はどうで、どんな対応策が取れるのか? などと、状況を分解してから質問してあげるといい」。

さらに清水氏は、そうした「質問」を落とし込んだフォーマットをあらかじめつくっておくよう勧める。「報連相はスキルです。下手な人はスキル不足なだけなので、そこを補えるフォーマットがあれば徐々に上達します」。それでも、どうしても悪い話は言いたくないという心理が報連相を遅らせることもある。そんな場合も、「報連相はリスクマネジメントの手段と位置づけるべき」と清水氏は言う。清水氏が率いるチームでは、気づいたリスクはすべて定期的に報告するようメンバー全員に義務づけていたという。「悪い報告をあげても評価が下がることはない、としっかり伝えていました」。

【5】上司の話が長い、OKが出ない
「合作」でダメ出しを回避する技

■メモ、繰り返しで執拗な上司を回避

ひと口に「上司の話が長い」といっても、いくつかのパターンがある。考えながら話すために長くなってしまうタイプに濱田氏が勧めるのはメモ魔になること。「目の前で黙ってメモをとることで、発言にブレーキをかけ、結果的に話を短く終わらせることができる」というわけだ。また、いつもそうしていると、「あいつはいちいちメモをとるから、少しまとめてから話そう」と考えてくれるかもしれない。

また別のパターンとして、部下が「わかっていないのではないか?」と疑い、執拗に説明を続ける上司もいる。「このタイプにはしっかりリアクションをすることが肝要。しっかり目を見て聞き、相手の重要な言葉を繰り返すといい」。きちんと受け止めているという印象を与えれば、安心して話を切り上げてくれる。

話が長いだけならともかく、ダメ出しの多い上司も部下にとっては付き合いづらい。特にバッチリ完成させたつもりのアウトプットにダメ出しされると、やり直しの時間が無駄になるばかりか、心理的なダメージも大きい。そこで濱田氏は、いち早く「完成予想図」を見せるべきだと言う。例えば、現状の課題は何と何で、解決策としては、どういったことが考えられ、進行スケジュールと予算はこれぐらい、といった具合に、業務の進め方などをメモして確認してもらうのだ。「指示を受けた15分以内で、できる範囲で簡単なものでいいからいったん見せる。早く言わないと上司は忘れてしまいますから」。その場で、「ここは違うだろう」などと指摘されたらしめたもの。上司の意見を引き出して、「合作」にしてしまうチャンスだ。そうなれば後からダメ出ししづらくなる。

なお、三木氏は応用編として、「話が長い・ダメ出しが多い上司は、自分の上司の期待に応えるために試行錯誤している可能性もある」と指摘する。つまり上司自身が確信を持てずに迷っているのだ。そこを汲み取り、上司の上長の視点も勘案できれば、無駄なダメ出しを回避できる可能性がさらに高まるという。

一方で清水氏は「ダメ出しが多いのは、自分が信頼されていない証拠。信頼残高を高めるべき」と指摘する。

【6】上司が残業&飲み会好き
「定時でピタッと帰る」キャラづくり

■誘う関係に立場を逆転

上司がワーカホリックで残業好きなタイプの場合、しっかり自衛しないとひどい目に遭う。「こういう上司は、夕方17時頃になって、『あの件どうなってる?』などと進捗確認をしてくることが多い。そうなると残業になだれ込みがち。必要な報告や確認は早い時間帯に済ませておくこと」と三木氏はアドバイスする。

また、夕方になって新たな仕事を振られないようにするには、暇な素振りを見せないことも重要だと語る。「日中はがむしゃらに集中して働き、定時でピタッと帰る人だと思われれば、余計な仕事を振られることはありません」。そういうキャラクターを作ってしまうのもいい。

残業好きな上司も困るが、頻繁に飲みに誘ってくる上司も困り者だ。もし、上司と食事に行くこと自体が苦痛でないなら、「自分からランチに誘ってみるのもいい」と濱田氏。ひと頃もてはやされた「パワーランチ」の復権だ。しつこく飲みに誘う上司の中には、実は部下に疎まれているのでは、と疑心暗鬼になっている人もいる。そこで部下のほうからランチに誘い、仕事の相談でもすれば、「頼りにされたい」という上司の欲求を満たせる。たとえ上司とでなくてもランチは食べるものだし、何よりランチなら1時間でサクッと終わるので時間の無駄がない。

【7】同僚の愚痴が多すぎる
相手に嫌われない「話の切り上げ方」

■役立つ情報だけ仕入れる方法

雑談にもいろいろあるが、最も非生産的なのは職場の愚痴だ。濱田氏は「愚痴の多い人の輪に入ると、自分の人間力が落ちてしまうので要注意」と諭したうえで、そっけない相づちでかわそうと説く。「決して同調せず、興味なさそうなレスポンスに徹することが大切」。社内の不倫の噂を嬉々として持ち出されても、「えーっ!!」などと反応しては相手の思う壺だ。あっさりと「へえ、そうなんだ」で終わること。

もっとも、ひと口に雑談といっても、多少は役立つこともある。清水氏が耳を傾けてもいいと思うのは、いわゆる社内情報通の話。「社内の人間関係はきっちり把握していないと、うっかり地雷を踏みかねないので、多少は付き合うのもありですね」。ただしその場合も、長々と付き合うのは時間の無駄だ。雑談に耳を貸すなら、効果的な切り上げ方を心得よう。清水氏が勧めるのは「次の予定」を伝えること。「15時までに出さなくちゃいけない急ぎの資料があるから」などと言って切り上げれば角が立たないという。さらに上級編として、感謝の言葉で終わるとグンと心象がよくなる。「この話すごく面白かった。また後で聞かせてね。ありがとう」という具合だ。最後に「ありがとう」を付け足すだけで、印象がガラッと変わるという。

----------

三木雄信
トライオン代表取締役
東京大学経済学部卒業後、三菱地所を経てソフトバンク入社。ソフトバンク社長室長に就任。2006年に独立し、トライオン設立。著書に『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごい時間術』ほか。
 

濱田秀彦
ヒューマンテック代表取締役
早稲田大学教育学部卒業後、住宅リフォーム会社の最年少支店長、大手人材開発会社のトップ営業マンとして活躍する。1996年独立。著書に『仕事ができる人の逆転ワザ42』ほか。
 

清水久三子
AND CREATE代表取締役
プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)の人材開発部門リーダーとして延べ5000人の人材育成プログラムの企画・開発・展開を担う。2013年独立。著書に『1時間の仕事を15分で終わらせる』ほか。
 

----------

(小島 和子 撮影=榊 智朗、澁谷高晴 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください