“月経カップ”は働く女性の味方になるか
プレジデントオンライン / 2019年3月16日 11時15分
■これはさすがに入らないかもしれない……。
最近経血量にムラが出てきた、44歳のライターN。3日くらいでさくっと終わる月もあれば、驚くほど大量の月も。婦人科を受診したところ、女性ホルモン分泌量のムラからくる更年期の始まりだろう、とのこと。
「ホットフラッシュ」や「イライラ」といった更年期症状はまだないものの、いよいよ更年期に足を踏み入れた模様。「生理がある今のうちに、月経カップにチャレンジしてみたい!」という好奇心がムクムクと沸き起こったのだ。
月経カップとは膣内に挿入して経血をキャッチするシリコーン製のカップのことで、使用者からは「生理が快適になる」「長時間交換しなくていいからラク」「繰り返し使えて経済的」などの絶賛の声が聞こえてくる。欧米ではスタンダードらしいが、実際どうなのだろうか?
タンポンは子宮口近くまで挿入するのに対し、月経カップはもっと浅い膣の入り口付近で経血をキャッチするのが特徴。出産経験があり、タンポンも使用しているNは「余裕だろう」と高をくくっていたが、実際手にとった月経カップは、想像していたよりも大きく、厚みがあった。「いやいや、これは入らないだろ……」と突如不安が襲う。
このカップを細く折りたたんで膣内に挿入するのだが、反発力が強く、指からつるん! と滑って元の形に戻ってしまい、挿入に苦戦。中学生の頃、初めてのタンポンに手こずったときの記憶が蘇る。そんなタンポンだって今では普通に使いこなしているし、月経カップだってできるはず!
格闘すること10分弱。最終的に「セブンホールド」という折り方で入れることができた。さまざまな折り方がスクーンカップの公式サイトに動画で紹介されているので、あれこれ試して、自分に合った折り方をみつけるといいだろう。
正しい位置まで入ると中で「パチン」と開く感覚があり、月経カップの底を指で確認してキレイに開いていればOK。正しい位置に入っていれば異物感はない。経血が出ているときのほうがスムースに入るので、初めて使うときは量の多い2日目に、浴室でトライするのがおすすめだ。
■取り出すときは少々コツが必要
月経カップは空気圧で密着しているため、ステム(つまみのような突起部分)を引っ張っても外れることはない。ムリに引っ張るとステムがちぎれてしまうこともあるので絶対に引っ張らないこと。ステムは月経カップの位置を見つけるためのガイドなのだ。
外すときはまず「大」をするときのようにイキむ。すると、月経カップが少し下りてくる感覚があるので、ステムの位置をたよりに月経カップの底に指を這わせる。カップの底を少しだけ凹ませて膣との密着を解くと、すんなりと外れるのだ。吸盤をはがすときのことをイメージしてほしい。
そして、親指・人差し指・中指の3本指でカップをつぶしながら引っ張り出すのだが、経血ですべってカップが開きそうになる。かといって細く潰し過ぎると、カップにたくさん経血が溜まっている場合は溢れてしまいそうに。ここがもっともコツが必要だと感じた。最初のうちは、出し入れはお風呂で行うとラクで安心だ。外出先で外すときは経血をトイレに流し、個室内に水場があれば水洗いをするが、なければウェットティッシュ等で拭き取れば再度装着可能。1日に1回は無香料の石鹸をといた水で洗う。
■慣れればやっぱり快適! ゴミとニオイが出ないのが個人的に◎
初回こそ苦戦したものの、2回・3回とこなすとみるみる上達して、余裕が出てくる。まず、自分の経血を目で確認できるのは面白い。ナプキンだと実際どれほどの量が出ているのかイマイチわからないが、月経カップなら「今月は量が多めだな」「塊が多いな」など、つぶさに観察できるので、自分のカラダを知るのに役立つのではないかと思う。
気になる交換頻度は、スクーンカップの場合、日米両方の薬事法をクリアした医療用シリコーンでできているので、最長12時間まで装着可能だ。Nの場合、多い日は5時間ほどで月経カップの半分まで貯まるので、さすがに12時間つけっぱなしとはいかないが、量が減る3日目からは12時間ごとの交換で間に合った。ナプキンやタンポンよりも交換の回数はぐんと減り、ゴミも激減。経血を膣の中で受け止めるため、特有の不快なニオイからも開放される。
「まったく漏れない」という話も聞くが、私の場合は少しだけ漏れてしまった。とはいえ塊はしっかりカップがキャッチし、水っぽい経血が少しナプキンにつく程度。これは入れ方が斜めになっていると起こるようなので、練習あるのみ、なのかもしれない。最初のうちはナプキンを併用すると安心だろう。
月経カップは指を第1関節くらいまで入れないと着脱ができないので、着脱時には毎回、自分の性器と直接触れ合うことになる。外出先の個室に洗面所がなければ、手指を拭くためのウエットティッシュは必須だ。
Nが個人的に感じたメリット&デメリット
【メリット】
・最長12時間まで装着できる
・ゴミが減る
・経血が空気に触れないので、特有のニオイがなくなる
・ドロッと出た経血に「ひやり」とすることがなくなる
・ナプキンかぶれが軽減される
・タンポンに比べてトキシックショック症候群(※)のリスクが少ない
※黄色ブドウ球菌の毒素によって起こる急性疾患。発症者の半数がタンポンを使用している女性と報告されている。
【デメリット】
・コツをつかむまでに練習が必要
・外出先での取り外しに神経を使う
・指は間違いなく血まみれになる
・カップが正しい位置に入っていなかったり、傾いていたりすると漏れてしまうことがある(慣れるまではナプキン併用必須)
初めて使ったときは「無理!」と投げ出しそうになったが、3周期使い続けた今は、あんなに苦戦していたのがウソのように快適生活を手に入れている。「今、ドロっと出たけど漏れてないかな?(ドキドキ)」のようなことがまったくないので、精神的にはかなりラク。忙しいワーキングウーマンにおすすめしたい生理用品といえるだろう。少しでも興味があるならば、試してみる価値アリだ。
(中島 夕子)
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