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「パワハラで糾弾→メール謝罪」は間違い

プレジデントオンライン / 2019年4月2日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/XiXinXing)

2018年は♯MeToo運動が日本でも広がった。抑圧されてきた声を上げやすくなった。この日本社会で今、企業が考えるべき人への気持ちの伝え方を考えた。

■スマホ社会で「証拠」を集めやすくなった

ここ数年、ハラスメントに関する裁判が目立って増えています。これは、女性の社会進出に加え、スマホ社会の影響が大きいでしょう。スマホでハラスメントを撮影・録音しやすくなり、証拠を集めやすくなったのです。

発生原因が最も多いのはちょっとした言い方の違いです。自分の中ではセーフな言動が、女性や部下にとってはアウトというケースは少なくない。

パワハラについては、何といっても日本が経済成長しなくなったことが極めて大きい要因だと思っています。昔は会社に30年いたら部長まで上げてくれたものですよ。今、出来の悪い社員は絶対に上がりません。

現に上が多くて下が少ない社会となっており、上の世代の方は、上に希少価値があるプラス成長時代で育ったので、上に多少の問題があっても従ったのですけど、今その人たちが上になったときに、下が少ないゼロ成長時代なので、圧迫感が大きいのです。パワハラ、セクハラは高度経済成長とバブル景気の影響が非常に大きいと感じております。

こうした世代間ギャップはピリオドエフェクトによるところが大きいです。これは、感受性が強い13~20歳の経験で自分の基本的な価値観や意思決定が定まってしまう現象のことです。なので、この現状はある意味仕方のないことなのでしょう。

■弁護士の費用が下がったことも背景に

それからもう1つ、セクハラやパワハラ問題が表面化している理由として弁護士の費用が下がってきていることも挙げられます。弁護士が増え、この手の案件を引き受ける方が増えたのです。

今法律相談に行けば、一応親身にやってくれるわけです。言ってくる着手金、昔は50万~100万円とかだったのが、10万~20万円くらいになり、それなら勝てるか勝てないかは別にして、ちょっとやってみようかという方が出ていると思います。

では、万が一自分がセクハラやパワハラで糾弾されたら、どう対処すべきか。

まず謝罪の仕方。メールで謝るのはNGです。言葉尻だけ捉えられてしまいます。口頭主義・直接主義が原則の裁判と同じで、誠意ある意思を自分の言葉で直接伝えないと告訴される可能性大です。

また、不倫関係だった女性部下から破局後にセクハラと訴えられるケースも結構ある。これには訴訟リスクの観点から、対処法があります。

互いの関係に違法行為がなかったことを確認するのは重要でしょう。違法性がなかった≒適法性があったという意味なので、『お互い、よい時間を過ごしたし、間違ったことはしていないよね』という証拠を残しておくべきですね。

パワハラで気をつけるべきことは極力密室をつくらないことです。他人に見られているほうが、抑止力になり、いざというときに証言も得られます。

あと、職場でトラブルになったときは、「なあなあ」にして切り抜けることも大切です。普段からおやじギャグを言うようなキャラだったら意外と「もうしょうがないなぁ」と周囲が許してくれることもあります。あくまでもTPOによりますが、どんなときでも対応できるよう、たくさんのダジャレを準備しておきましょう(笑)。

▼野澤弁護士の「言い方の法律診断」○か×で答えよう!
●遅刻の言い訳
1.トイレなど実際に行ってアリバイをつくる
2.なあなあにする
3.行ってないところに行ったと嘘を上塗り
●会いたくない人と関係を絶つ
4.スッパリ綺麗に連絡を絶つ
5.返信を徐々に遅くする
●高慢上司の間違いを指摘
6.少しでも「ここはわかる」と理解を示す
7.メールで丁寧に書く
8.ほかの人がいる大部屋で話す
●職場恋愛の縁を切る
9.ルールを決めて別れる
10.破局理由を分析し伝える
11.思い出を共有する
●イライラしている人をなだめる
12.オヤジギャグで乗り切る
13.何にイライラしているのか聞く
●息子に勉強させる
14.今は勉強を押し付け、大人になってから理解してもらう
15.家に受験案内を置く
16.学歴社会の現実を教える
▼正解
●遅刻の言い訳 1.○ 2.○ 3.×
遅刻による処分に関わる大問題へと発展しそうな場合、人はアリバイをつくるため書類偽造に走ることがあります。でも監視カメラがどこにでもあるので、本当に問題となった場合は簡単にばれます。遅刻しそうだなと思ったときはあえて本当にトイレに行ったり、公共交通機関のほうが早そうでもタクシーを使ったりしてアリバイづくりをしましょう。
●会いたくない人と関係を絶つ 4.× 5.○
関係を突然切られたことによってトラブルに発展するケースは多い。なので、あえて態度を示そうとしてスパッと関係を絶つのではなく、少しずつメールやラインの返信スピードを遅くして遠ざかるのがベストだと思います。特に男性は突然関係を絶たれると怒る人が多いと思います。一方でストーカー気質の人に限ってはこの真逆の対応が必要です。見極めましょう。
●高慢上司の間違いを指摘 6.○ 7.× 8.○
正直、部下としてはやりたくないことでしょう。でもやらないといけないときはある。そんなとき、面と向かって言いたくないから、論点を明確にしたいからといってメールで書くのはよくありません。言葉尻を捉えられやすいからです。ポイントは指摘を始めて5分以内に、なんらかの相手の意見に1度同調すること。これがクッションになり意見が通りやすくなります。小部屋にてマンツーマンで指摘すると上司が権力を振りかざしやすくなるので、大部屋でほかの人がいる前で行うのも大切です。
●職場恋愛の縁を切る 9.○ 10.× 11.○
中途半端に別れて後腐れするよりは、過去の事実を互いに確認して「話す内容を今後これだけに絞ろう」など、何かルールをつくってから別れるといいと思います。「昔のことはしゃべらない」「今後の互いの恋愛事については一切触れない」とかです。そのときに旅行など楽しかった思い出を共有しながら進めると話がスムーズになります。破局理由などを分析して相手に伝えても、怒らす原因になるのでやめましょう。
●イライラしている人をなだめる 12.○ 13.×
相手の仕事内容に関係するようなことでイライラしている人に、変に首を突っ込んでなだめようとすると、大体失敗します。なので、ここは全く関係のないオヤジギャグをかまして、場の雰囲気を変えるのみです(笑)。
●息子に勉強させる 14.× 15.○ 16.○
まだまだこの国では学歴がその人の刺青のように残ります。そのことをいかに子どもに丁寧に伝えてあげるかが重要です。そのためにも、子どもにとって受験を身近なものにさせるべきで、家に何気なく受験案内などを置くことをお勧めします。頭ごなしに勉強しろと伝えて、仮に受験に失敗したら、子どもの人格形成にも影響します。

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野澤 隆
1975年、東京都大田区生まれ。東京都立日比谷高校、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。弁護士秘書などを経て、2003年、司法試験第2次試験合格。08年、城南中央法律事務所を開設。
 

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(弁護士 野澤 隆 構成=鈴木俊之 撮影=小原孝博 写真=iStock.com)

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