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コンビニより多い"歯科医院"の厳しい現状

プレジデントオンライン / 2019年4月28日 11時15分

「歯科医師は儲かる」は過去の話で、いまや大半の歯科医院の経営は苦境に追い込まれている。そうした実態を数々のデータをもとに読み解いていく。

■開設より廃止が多い逆転現象に

「歯科診療所の数はコンビニの店舗数よりも多い」――。こういわれて「えっ」と驚きつつ、自宅や会社の近所のことを思い浮かべて、納得のいく人が少なくないはずだ。

しかし、この現象はいまに始まったことではなく、かなり前からそうだったのである。図1にあるように、1993年時点での歯科診療所は5万5906カ所で、2万2852店のコンビニの2倍以上もあった。その差は縮まりつつあるものの、2017年時点でもコンビニより1万653カ所も多いのだ。

そうなるとコンビニ業界と同様に、歯科診療所の世界でも激しいサバイバル競争が繰り広げられていることが想像できる。歯科医師の数は10万人の大台を12年に突破し(図2)、「すでに飽和状態」(歯科診療所関係者)というのが、この世界での常識だ。一方、歯科診療医療費は長年2兆円台後半での伸び悩みが続いている(図3)。また、子どもたちのむし歯の被患率は減少の一途で(図4)、「患者数の増=市場規模拡大」を見込めそうにない。「経営は厳しく、将来展望も見出せない」(同)とのため息が聞こえてくるのも道理だろう。

当然、競争から脱落した歯科診療所は姿を消すことになる。その厳しい現状を示したものが図5だ。07年までは恒常的に「開設・再開」が「廃止・休止」を上回っていたのだが、08年以降は後者が前者を上回る“逆転現象”を引きこす年が表れるようになった。17年時点で廃止・休止した歯科診療所の数を、単純に「1年=365日」で割ると、1日当たり5.9カ所の歯科診療所が脱落していった計算になる。

そうしたなかには多額の負債が残り、「破産」「民事再生」といった法的整理を余儀なくされる歯科診療所も出てくる。帝国データバンクの調査によると18年のその数は23件で、過去最高を記録した(図6)。同社情報部の阿部成伸さんは「歯科医師の間でショッキングな数字として捉えられ、今後も増加するのではないかと懸念されています」という。

そして、歯科診療所の経営の実態を示したものが図7で、サンプル調査をもとに1診療所当たりの損益構造を示したもの。調査に協力した歯科診療所は経営に自信のあるところが多いことが推測され、保険診療ならびに自由診療で収益を伸ばしている。しかし、歯科衛生士の給与や家賃などの経費の負担が膨らみ、“勝ち組”に見えるこうした歯科診療所においても、利益は“ジリ貧傾向”にあり、競争は厳しさを増しているのだ。

(プレジデント編集部 伊藤 博之)

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