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残業代目当ての社員を帰らせる唯一の方法

プレジデントオンライン / 2019年4月14日 11時15分

■残業させたくない会社VS残業したい社員

2019年4月から、働き方改革関連法が一部施行される。時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度の普及促進など、労働者の働きすぎを防ぐ施策が目白押しだが、注意したいのは、労働基準法の規制の対象は企業であり、労働者ではないという点だ。

今回の改正で、時間外労働の上限は最長で単月100時間未満、複数月(2~6カ月)平均で80時間までとなった。上限を超えた場合、企業は刑事罰を受けるおそれがある。一方、上限を超えて働いても、労働者へのお咎めはなし。困るのは企業側だけだ。

好きで長時間働く労働者はいないと思われるかもしれないが、必ずしもそうとは言えない。成績が給料に直結する営業マン、早く独立するために修業を積みたい職人見習いなど、自主的に長く働こうとする人もいる。社会保険労務士の岡田良則氏は次のように解説する。

「いまや長時間労働は企業にとっても大きなリスクになり、最近は企業『早く帰れ』VS労働者『生活がかかっているから働きたい』という逆の構図も見られるようになりました。ところが、法律では残業したい労働者を規制できません。企業は別の手段を講じる必要があります」

岡田氏が勧めるのは、就業規則の改定だ。

「法律で縛れなければ、就業規則などの労働契約で縛るしかありません。就業規則の制裁規定に『長時間労働の禁止』を盛り込むのまでは厳しいとしても、『労使協定および法律の上限を超えて残業しないこと』と定め、服務規律に『効率的な業務を心がける』と入れるべきでしょう」

■有休を消化させないと会社が罪に問われる!

強制的に休ませるという意味では、企業に新たに課せられる「有給休暇の時季指定義務」にも注目したい。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/mediaphotos)

これまでは労働者が自分で申し出ないかぎり、企業は有休を取らせる必要がなかった。しかし改正後は、年10日以上の有休が付与されている労働者に対して、企業が労働者に希望を聞いたうえで、時季を指定して最低でも5日は有休を取らせる義務を負う。違反すると、従業員1人当たり最大30万円の罰金に処せられるおそれがある。

「自ら働きたい社員だけでなく、遠慮して希望を言わない社員がいるかもしれません。休みやすくするために、全社員の有休をお盆休みなどの前後に時季指定して、全社的に休業するやり方もあります」

法律どおりに残業を制限したり有休を取らせたら現場が回らない、と嘆く中小企業経営者もいるだろう。発注者の大手が短納期を求めて下請けの負担が増している現状では、たしかに酷な面もある。

しかし、ブラック労働撲滅の流れには抗えない。幸い、中小企業への時間外労働時間の規制強化は、大企業より1年遅れの2020年4月から(有休の時季指定義務は19年4月から)。業務を見直して対応するしかないだろう。

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=社会保険労務士 岡田良則 図版作成=大橋昭一 写真=iStock.com)

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