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浪費家34歳独女"犬とソファと仮想通貨"

プレジデントオンライン / 2019年3月31日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/a_kappi)

都内に住む34歳の独身女性は、仕事のストレスによる衝動買いが止まらない。高額なソファ、美顔器、トイプードル、ロードバイクを立て続けに買い、食事は主に外食かコンビニで、飲み代は月5万円。年収600万円だが、家計は毎月赤字。それでも「ラクして儲けるために仮想通貨をやりたい」と話す。敏腕FPのアドバイスとは――。

■浪費グセは棚上げ、ラクして儲けたい独身女性の思惑

「貯金が毎年減り続けているんです。だから投資でお金を増やしたいです」

都内在住の独身女性・相沢葵さん(34歳・仮名)。貯金が減っているので、この先が不安だと思う一方で、コツコツと貯金をするのは性に合わず、投資でお金を増やすことを考えたいと考えています。

何やら身勝手な相談のようにも聞こえますが、実は独身の20代、30代の人たちは、男女問わず、毎月着実に貯金することにはモチベーションが上がらずに、投資でラクして儲けたいと考える傾向があるように思います。

■30代年収約600万、ストレスで衝動買いが止まらない

相沢さんは不動産会社の正社員で、手取り収入は毎月33.5万円。ボーナスは年2回で年間総額は84万円ほど。年収は約600万円です。住まいは賃貸マンションに一人暮らしで、家賃は8.5万円。浪費さえしなければ、貯金のできる条件は整っています。

ところが、毎月の収支はギリギリで、1万~1.5万円ほど赤字の月もあるそうです。ボーナスは毎月の赤字補てんと、旅行や服・バッグ・靴のまとめ買いでほぼなくなり、そのほかに「欲しい! 買いたい!」と思うものが出てくると、貯金を下ろして買っています。典型的な「貯まらない家計」です。

「入社以来、給料天引きで財形貯蓄と会社の持ち株会に1万円ずつ貯金して、20代では200万円近くあったんですけど、30代になって仕事のストレスから衝動買いが増えて、貯金がだんだん減っていったんです」

イタリア製のソファに12万円、高級美顔器に3万円、おしゃれなロードバイクに9万円など、年に1、2回、「買い物欲」がおさえられなくなり、予定外の出費が発生してしまいます。昨年は誰もいない家に帰るのが嫌で28万円のトイプードルを購入しました。

仕事でたまったストレスを、買い物で満たしたい気持ちはわかります。ただ、当たり前のことですが、買い物をするとお金はなくなり、貯金もやがて底をつきます。そうした浪費グセを直さないまま、貯金をしようとしても、「やっぱり貯まらない。モチベーションがあがらない」と悪循環に陥ってしまうのです。

■食事は主に外食とコンビニ、飲み会は月5万円

「いざ貯金」の前に、「まず家計」です。

私は相沢さんと一緒に毎月の支出を、費目別に洗い出していきました。相沢さんは家計簿をつけていないものの、レシートは日付順に並べて、月ごとにファイルにまとめていましたので、レシートを1枚ずつチェックしながら、家計の内訳表を作っていきました。

この時の収支は約1.6万円の赤字で、食費(外食とコンビニ)4.2万円、交際費(飲み会)5万円、教育費(習い事・ジム)2.5万円、被服費2.4万円、理美容費1.2万円など、独身の女性にかかりがちな費目で支出が多くなっています。たばこ代1.3万円、保険料2.9万円も比較的多いと感じます。聞けば、他の月も支出の傾向はあまり大きく変わらないとのことでした。

費目別に見て、ある程度状況がわかりました。次は必要な支出なのか、あまり必要ではなかった支出なのかの判別が必要です。レシートをもとに「いま思えばあまり必要ではなかった、つい使ってしまった支出」と思えるレシートを取り出してもらいました。

すると、夜、仕事帰りに立ち寄るコンビニでの買い物、行きたくないのに惰性でついて行った飲み会、入会キャンペーンにつられて入って月1、2回しか行っていないジム代、着ていない服などのレシートが、積み上がっていきました。

これらの総額は2.6万円になり、「つい使ってしまう」支出を見直せば、毎月1万円以上の貯金ができることがわかりました。

さらに、外貨建ての貯蓄性の保険を解約することにしたほか、携帯電話はMVNOの格安スマホへ切り替え、固定費を下げるようにしました。これで1.6万円削減です。また美容院はネット予約割引を使い、タバコの本数も減らして7000円減。最終的に3万円以上の貯金が可能になってきました。

■赤字が解消したら即投資「儲け」で頭いっぱい

毎月1.6万円の赤字家計でしたが、3万円以上も貯金できることになったのです。相沢さんはこんな感想を漏らしました。

「これまでは支出を抑えるって、とにかくケチケチ節約するしかないと思っていました。だから続かなかったんです。でも、『つい使ってしまう』クセを見直したり、これで当然だと思っていた契約を見直したりすることで、赤字から黒字に変われるなんて、目からウロコです! このお金でさっそく投資を始めて、大きく儲けようと思います。何をいくらぐらい買えばいいですか? 仮想通貨はどうでしょうか」

ちょっと待ってください。投資について何も勉強しないまま始めて、「これさえ買えば儲かる」という情報だけを鵜呑みにし、なけなしのお金をつき込んでしまう。これこそ「投資の失敗あるある」の典型的な例です。

■「投資を始めて、大きく儲けたい」人へFPからのアドバイス

私は初心者に知ってもらいたい投資の基本について、相沢さんにお話ししました。

数千円から1万円程度の「少額」で始めて、「長期・分散・積立」という3つの基本を守ること。すぐに大きな儲けを狙うのではなく、10年、20年と長い時間をかけて「お金を育てる」という感覚を大事にすること。儲けもあれば、損もあり、値動きに一喜一憂しすぎないこと。「iDeCo」や「つみたてNISA」など、税制が有利になる制度を活用すること……。

相沢さんもときどき質問をまじえながら、熱心に聞いてくれました。そして、投資を始めるにあたっては、まずは「生活防衛資金」として、月収の7.5カ月分を貯めることをお伝えしました。投資に回すのは、そうした貯金ができてから。それならば、いざというときの資金は確保しつつ、将来の安心につなげる投資を始めることができます。

相沢さんには「つい使ってしまう」クセを継続して見直すために、レシートを家計簿に記録して、「何にいくら使っているのか」を意識してもらうようにしました。家計簿は手書きでも家計簿アプリでもよく、つけやすい、続きそうと感じるものを選んでもらうことにしました。「毎月家計簿をつけることで、ボーナスのときの衝動買いも、減らせそうです」と、前向きな意気込みを話してくれました。

貯金が思うように増えないとき、「投資でラクして増やす」ことに、飛びつきたくなる気持ちもわかります。一時の勢いはなくなったものの「ビットコイン」や「FX」で大儲けするという情報は氾濫していますし、「大儲け」を謳ったセミナーなどが摘発されたニュースも後を絶ちません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/BackyardProduction)

しかし、投資はいきなりスタートするのではなく、ホップ(収入内に支出を収める)、ステップ(確実に貯金を増やす)の後に、10年、20年をかけた長~いジャンプ(積立投資)があることをわかっていただきたいと思います。

■【家計支出コストカット額ランキング】

1位 -1.2万円 生命保険料
外貨建ての生命保険を解約した。
2位 -0.8万円 教育費
月1回しか行っていなかったジムを解約した。
3位 -0.7万円 食費
仕事帰りのコンビニでのちょこちょこ買いをやめた。
4位 -0.6万円 被服費
着回しできる服かどうかをチェックしてから購入することに。
5位 -0.5万円 交際費
飲み会の回数を1回減らすことに。
6位 -0.4万円 通信費
スマホを格安SIMに変更した。
6位 -0.4万円 理美容費
ネット予約の初回割引を活用。
8位 -0.3万円 嗜好品(たばこ)
気をつけて本数を減らした。

(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭 写真=iStock.com)

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