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コト消費の次に来る「エモ消費」代表例3

プレジデントオンライン / 2019年4月20日 11時15分

2016年に大ヒットした『この世界の片隅に』はクラウドファンディングで資金を集めた(主人公の声優を務めた女優ののん氏と片渕須直監督)。(時事通信フォト=写真)

■「1人では入りづらい」という問題をクリア

消費は、所有価値としてのモノ消費から、体験価値としてのコト消費へと移行しているといわれるが、石原氏も有馬氏も、孤独ビジネスは体験型が支持されていると指摘する。両氏が注目する事例を紹介しよう。

▼「焼肉ライク」
1人で気軽に行ける焼き肉レストランで、1人用の無煙ロースターで好きな部位、量、タレを自由に選んで味わえる。「1人で焼き肉店に入りづらい」という問題をクリアした。

▼「相席屋」
女性客と男性客が相席する居酒屋。ポイントは、客同士のコミュニケーションツールとして、相性診断ゲームなどができる専用アプリを開発したこと。これを話のネタにして会話が弾めば、滞在時間も延び、客単価向上やリピートにつながる。

▼「カーブス」
男性の目を気にせず、手軽に運動や会員同士の交流ができる女性専用のフィットネスクラブ。スタッフも女性のみで、会員の6割超が60歳以上。口コミで広がり、利用者が増えた。またフィットネスジムが人と人をつなぐ場にもなっている。

▼「ワンカラ」
誰にも気兼ねすることなく、1人の時間を楽しめる1人カラオケ専門店。常につながっていることによる“SNS疲れ”から1人になりたいというニーズに応えているのも、ヒットの要因の1つだ。

さらに荒川氏は「消費は『コト消費』の次の段階、精神価値としての『エモ消費』に進みつつある。その中心となるのが主にソロ生活者」と分析する。荒川氏がいうエモ消費の「エモ」とは、エモーショナル(感情的なさま・情緒的なさま)の略だ。

「“エモい”という言葉があるんですが、これには『心が動いた』『心に刺さった』という意味合いだけではなく、『ロジカルに説明できないけれど満たされる』という精神的な充足感を含みます。モノやコトは手段にすぎず、この“エモい”感情で心を満たすという精神価値を求める消費が『エモ消費』です」

実際、どのようなビジネスがあるのか、例を挙げてみよう。

(1)アイドル商法
アイドルグループ「AKB48」が代表例。ファンは同じCDを複数枚購入するが、買っている本人はいたって幸せ。彼らが買っているのはCDというモノではない。投票や握手という体験だけでもない。その消費を通じて、「ああ、僕は役に立っている」という自己の社会的役割そのものを買っているといえるのだ。

(2)クラウドファンディング
2016年に大ヒットした映画『この世界の片隅に』は、クラウドファンディングによって生まれた。3374人が支援し、約3900万円の資金が集まった。1万円以上支援すれば、エンドロールに名前が載るという権利が付く。完成した映画のエンドロールには2000人以上の名前が並んだ。支援した人はSNSで映画の魅力を拡散し、ヒットの後押しまで。「一緒に映画を作り、育てる」という喜びは、「疑似的な子育て」に近い感動といえよう。

(3)オンラインサロン
月額会員制のオンライン上のプロジェクト型のコミュニティ。堀江貴文氏などの成功しているオンラインサロンに共通するのは、未完成で提示し、会員が活躍できる余白を用意している点だ。いうなれば、会員自身が動かなければ何も完成しない。だからこそ、会員一人ひとりが自分の社会的役割を実感することができ、それが大いなる精神的充足を生んでいる。

(河合 起季 写真=時事通信フォト)

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