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自分の人生を取り戻す「大嫌い」の魔法

プレジデントオンライン / 2019年3月31日 11時15分

総合格闘家・青木真也

人間関係を保とうとして自分を曲げる人がいる。総合格闘家の青木真也氏は「自分自身が自由で幸せであるためには、『大嫌い』と常日頃から意見を表明したほうがいい」という。その理由とは――。

※本稿は、青木真也『ストロング本能』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■嫌われるのは仕方がない前提で考える

社会生活を送っていればストレスと無縁ではいられません。過労、環境の変化、健康面の不安など、ストレスの要因はさまざまですが、代表的なものは人間関係と言えるでしょう。人間関係が壊れて対立すればそのこと自体がストレスになるし、人間関係を良好に保とうとして自分を曲げてもストレスになります。

僕は「無理に仲良くなろうとしない」ことが、人間関係のわずらわしさから解放される秘訣だと考えます。人間関係なんて、そもそもうまくいくものではありません。「うまくいかない」ことを気にしない精神が大切です。

ほとんどの人は「バランスよく付き合おう」「よく思われたいから、こうしよう」と考えて行動します。しかし、残念ながらこれでは良好な人間関係は築けません。相手に合わせることが優先され、肝心の自分自身が本来の自分ではないからです。傍若無人な振る舞いは論外ですが、「嫌われても仕方がない」と思って相手と接するようにしましょう。それで好かれなかったとしても、そもそも「合わないのだから仕方がない」わけです。

いまはSNSがあるので、「自分はこういう考えだ」と発信しておくのもいいでしょう。「俺はこういうことはしない」「こういう仕事はしません」などと、先に表明しておいたほうが得策かもしれません。

■着地点を「仲良くしようぜ」にしない

人見知りであっても、人とうまくやれなくても、お互いに仕事でメリットがあれば、そのときだけでも仲良くなれます。だから、最低限のコミュニケーションができればそれで大丈夫、というのが僕の意見です。「あいさつをする」「ちゃんと返事をする・返信する」「時間通りに行く」「受けた仕事を一生懸命やる」――それだけできればいいと思います。

僕も格闘技の会場に行くと、お世話になった方々のところには必ず自分からあいさつに行きます。礼儀を忘れなければ大丈夫です。人間関係が壊れることはありません。

仕事をもらうために仲良くなる必要はないし、根っからの友達から仕事をもらえたことなんてほぼありません。仕事をして結果的に仲良くなることはありますが、無理に仲良くなろうとする必要はないのです。そこを履き違えている人が多いように思います。そもそも、仲良くなったら仕事をくれるような関係性はいずれ破綻します。

ビジネスで大事なのは、好き嫌いよりも仕事の質です。好き嫌いで仕事の価値も決めるのもおかしい。100万円の仕事を「こいつのことが好きだから」と300万円で発注しているところがあったら、仕事のレベルを知りたいものです。

僕のことが嫌いでも、それでいい仕事ができれば最高です。ビジネスで力を合わせるときは、目的を「いい商品やサービス」に置かなくてはいけません。価値あるものを創造することが大切なので、着地点を「仲良くしようぜ」にすると、いろいろおかしくなります。

結果論でしかないことを目的にしてしまっているから、おかしくなっていくのです。人間関係は、がんばってつくるようなものではありません。たくさんの仲間がいなくても、場面ごとに力を合わせることのできる人は現れます。どんなに人がいなくなっても、ゼロにはならない。一生懸命やっていれば、助けてくれる人はいるものです。

■人間関係は惑星みたいに周期がある

自分がアクションを起こせば、人間関係は勝手にアメーバのように有機的につながっていき、くっついたり離れたりを繰り返します。日本人の場合、人付き合いで一度離れることがあるだけで「大丈夫かな~。私なにか失礼なことをしてしまったかな」と不安になりがちですが、そんなことは考えるだけ時間の無駄です。また必要があればくっつくから大丈夫です。

人間関係は惑星みたいなものです。必ず公転周期があります。すごく近いなと思っていたのに、また離れることもある。それは周期なので、あまり気にしなくていいのです。それぞれの惑星は自転もしています。お互いのリズムもあるから、いちいち距離感に悩んでもしょうがない。大切なのは「おまえはそれでいいや」の感覚です。

そもそも「友達とずっと一緒にいる」みたいな関係性を、僕はあまり信用していません。「ずっと一緒にいよう」と言われても、「噓でしょ」と思ってしまう。「一生、一緒にいよう」「ずっと一緒にいよう」という言葉は、結婚するときに使われますが、あれはただのあいさつだと思っています。実際、そんなに一緒にはいないし、「一生面倒見てやる」と言っても、3年後、逆に面倒見てもらっている人だっているわけです。

「人には期待せず、自分のアクションの数を増やす」のが賢い人の鉄則です。揉め事があったとしても、また別の何かを頼まれたときは、普通に接してあげればいい。「あのとき揉めたから、謝ってもらわないと」などと言わないことです。毎回「気に入らねえ」と言いながら仕事しても疲れてしまいます。仕事での人間関係は「タイミングいいときに、またやりましょう」でいいのです。

僕も人間関係で悩みますし、「ああ、どうしよう、いやだな」と思うこともあります。そんなときは、関係を切るのがいちばん手っ取り早い。いやなことがあったら、縁を切ればいいだけの話。物理的に連絡とらなくなれば、一気に解決します。

■「これは嫌い」「これはいい」を日々表明しておく

相手に合わせる人間関係は不毛だと考える僕にとって、パーティーは地獄です。誕生日パーティーを開かざるをえなくなったら、負けだと思っています。誕生日は個人的に楽しみたいもの。本来であれば、すごく親しい間柄だけで楽しむべきものなのに、パーティーとなると「仕事」になってしまうからです。

飲み会やパーティーとは、本当に距離を置きたいと思っていますが、行かざるを得ない場面もあります。付き合いで断れないときは、「無」に徹して、とりあえずあいさつだけします。「こんにちは」とあいさつしたら、一次会でスッといなくなるのがベストです。

とりあえず、相手に対して自分は敵でないことを示せればいい。好かれようとしているようには見えないだろうけど、いやだとも思っていないということが主催者に伝わればいいと思っています。

僕はパーティーなど「行きたくない」「大嫌いだ」と表明しています。それでも行くのは「あのパーティー嫌いで有名な青木がいたパーティーって誰のイベントだよ!?」という感じで、参加した事実が重くなるからです。だからこそ、これからも「嫌いだ」と言い続けようと思います。「俺はこうだ」というのを発信しておくと、生きやすくなりますし、かえって得することもあるのです。

■その友達は本当に大事な人ですか?

こうした状況を意図的につくりだすことができれば、誘う側もそれなりに覚悟ができてきます。普通の人なら10の効果があるところが、僕がパーティーに行くと50、60になるわけです。

『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』(青木 真也著・KADOKAWA刊)

人間関係において、「俺はこうだ」というのを確立させていくために日々取り組んでいるのは、「これは嫌い」「これはいい」としっかりと答えることだけです。何かあったことに対して、自分はどう思ったかを周囲の人たちがわかる形で表明しておく。それだけやっていれば、自然と自分の軸はできていくものだと思います。

「あなたが買った服は本当にあなたが欲しいものですか?」
「今度飲みに行く友達は本当に大事な人ですか?」
「不要な人や物事を抱え込みすぎて、自分の価値観を見失っていませんか?」

どうか、誰かが決めたような成功や幸せを追い求めるのではなく、自分自身が自由で幸せだと思う現実を手に入れてください。

(総合格闘家 青木 真也)

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