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スケベな人を"鉄のメンタル"に変える方法

プレジデントオンライン / 2019年4月3日 15時15分

総合格闘家・青木真也氏

「鉄のメンタル」を持っている人は何が違うのか。総合格闘家の青木真也氏は「もともとメンタルの強い人なんていない。自分を『ごまかす』方法を知っているだけだ」という――。

※本稿は、青木真也『ストロング本能』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「心が強い人」なんてそもそも存在しない

よくスポーツ選手のメンタルは強いと言われています。また、僕自身よく聞かれることのひとつに「そもそもメンタルを鍛えることは可能なのでしょうか?」という質問があります。

実は、メンタルは全員同じです。心がもともと強い人や弱い人がいるわけではない、というのが僕の考えです。人間であれば、誰でも傷つくし、誰でも動じます。

どんなに超人やすごい人であっても、「緊張したことがない」「人生で1回も悲しい気持ちになったことなどない」なんて言っている人がいたら、信用してはいけません。

人間のメンタルは基本みな同じであるため、心自体を鍛えることは難しいというのが僕のたどりついた結論です。ただ、対応策は無限にあります。それは「ごまかし方」を知っているという意味でもあります。マイナスにとらわれない方法を知っているからこそ、第三者からは強く見えるわけです。

あなたのまわりにもきっと「あいつ、メンタル半端ない」など、何があっても動じない人や、つねに落ち着いて物事を判断できる人がいると思いますが、それは結局、心が強いわけではなく、対処法が素晴らしいというのが僕の見解になります。

では、どうすれば、そうした「動じない心」をつくることができるのでしょうか?

■すべては自分の弱さを認めることから始まる

「動じない心」をつくるには、「私の心はガラスのようにもろい」「メンタルはみんな弱いものだ」という現実をしっかりと認識することが重要です。そして、これこそが本能と共に生きることであると考えています。

「俺はメンタルが強い」と気丈に振る舞う人もいますが、それはただ、弱い心にフタをしているだけと言えるでしょう。そうではなく、1度フタを外して「自分はすごく弱い」「ダメな人間だ」「自分はだらしない」と観念して、認めてあげることが大切です。

「自分は弱い」というのが本能レベルで理解できて、初めて動揺しないための準備や対処が可能になるのです。

たとえば、僕の場合は、緊張してウォーミングアップを早めにやってしまう癖があり、試合前に身体が冷えてあれこれ考えすぎる傾向がありました。そのため、改善策として「緊張しやすい自分の性格」をきちんと受け止めて、どんなに緊張していようがウォーミングアップは試合直前にやるというルールを設けました。すると、以前より集中した状態でスパッと試合に入ることができたのです。

日常の例で言えば、「女性にだらしない」とわかっていれば、そういう状況にならないようにすればいい。夜のお姉ちゃんがいるようなお店などに行かなければいいのです。「ギャンブルをしてしまう」のであれば、雀荘や競馬場に近づかなければいい。

つまり、「自分は弱い」という事実を観念して認めたうえで、そういう状況を避けるのがいちばん賢い対処法です。

■「不安は妄想」として「質よく量をこなす」

自分の弱さに観念してきちんと向き合っておくと、「恐怖」にも冷静に対処できるようになります。恥ずかしい話ですが、僕はいまだに試合をすることが怖いのです。

でも、だからこそ「この怖さはどこから来るものなのか?」を毎試合きちんと冷静に分析しています。負けることが怖いのか、ケガをすることが怖いのか、周囲にジャッジされることが怖いのか……。そこをきちんと自分のなかで熟考していきます。

そして、その恐怖たちに対して、一つひとつ落としどころを見つけていくのです。

たとえば「ケガが怖い」であれば、「車にひかれてケガをする可能性は日常生活にだってあるし、起きてもいないケガのことを心配しても仕方がない。この不安は妄想だ」と理解して、気持ちを落ち着かせます。そうなれば冷静に挑戦することができます。

あとは「場数」です。僕は、総合格闘技の試合だけで50戦を超えています。国内でも、それだけの試合数をこなしている人は少ないでしょう。多くの場数を踏んでいるという事実が自信にもなります。

そのために、まずは「質より量」を意識することも大事です。

■スケベ心をコントロールして武器にする

最後に「欲」についてお話します。欲、つまりスケベな気持ちはすごく大切です。スケベな気持ちをコントロールすれば大きな武器になる。でも、欲に溺れると大変なことになります。

『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』(青木 真也著・KADOKAWA刊)

人間は誰しも「人より上に行きたい気持ち」を持っています。そのため、誰かがうまくいっていると、嫉妬によって「自爆」する可能性が出てくるわけです。「人より上に行きたい」という思いがあると、つねに人をうらやむことになります。相手を超えたいはずなのに、その相手を意識しすぎて、結局は自分がそのプレッシャーにつぶされてしまうという構図です。

人間の欲には際限がありません。欲を出しすぎると最終的に欲につぶされます。人生で大事なスキルは、この「欲コントロール」なのです。

嫉妬も「欲」と同じで、エネルギーにすれば強力な武器になります。嫉妬の気持ち自体は健全なので、悪いことではありません。嫉妬心はそのまま受け止めつつ、でも飲まれないようにコントロールすることが重要になってきます。

他人とあまり比べすぎず、嫉妬心が湧いたときには毎回、自分で修正を入れればいいのです。嫉妬は多くの人が陥る罠ですが、とにかく「自分のものさしで生きる」ことを忘れなければ大丈夫です。

■関係のない物事には「反応しない」

僕も、自分の出番の前の試合がいいフィニッシュだったらプレッシャーがかかります。ただ、意識的に「これは無視しよう」と思うようにしています。自分に直接関係のない物事はできるだけ「反応しない」ことが重要です。

そうすることで、余計な感情にとらわれることはなくなります。完全に無視することはできませんが、気持ちを少しでも客観的に整理することが大切なのです。

嫉妬はする。でも嫉妬をしたら損だから、ちゃんと整理をする。整理をすれば、ある程度自分で予期した嫉妬になります。まったく整理しないと、だいぶこじらせた嫉妬になります。感情は支配するものです。支配されてはいけません。

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青木 真也(あおき・しんや)
1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に柔道から総合格闘技に転身。「修斗」ミドル級世界王座を獲得。大学卒業後に安定を求め静岡県警に就職するも、本能に従い2カ月で退職を決め、再び総合格闘家の道へ。そして「DREAM」「ONE FC」で世界ライト級チャンピオンに輝く。著書に『空気を読んではいけない』(幻冬舎)がある。■Twitter:ツイッター■note:青木真也note

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(総合格闘家 青木 真也)

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