いい大人が"いきなり英会話学校"は逆効果
プレジデントオンライン / 2019年4月30日 11時15分
■「最初から英会話スクール」は得策ではない
記憶力が衰える年齢になってから英語を学ぶのは、至難の業のようだが、「そんなことはない」とMr.Evineこと恵比須大輔さんは断言する。主に社会人を対象にした「やりなおし英語JUKU」を主宰する恵比須さんは、いわば英語につまずいた経験のある人を教えるプロ。
「英語は単純に記憶力だけで学ぶものではありません。確かに年をとれば瞬発力はなくなりますが、大人には大人の学びの要領があります」(恵比須さん、以下同)
英語を勉強するとなると、まず浮かぶのが英会話スクールという選択。しかし、英語が苦手で、一から学ぶ場合には、あまりお勧めはできないと恵比須さんは言う。
「英会話スクールは、ある程度英語が話せるようになってから通うほうが効果的です。お金を払って、英語で話す経験をし、いろいろな表現を学ぶ場所と考えたほうがいい」
「やりなおし英語JUKU」では、日本人はもちろん、ネーティブのスタッフも中学の英文法を中心に日本語で教える。いわば、こてこての学習塾だ。
とはいえ、いくら苦手とはいっても、中学英語からやり直さなければいけないのか?
「たとえばセンター試験の英語の問題は難しいというイメージがあるでしょう? でも、中学英語がしっかり身についていれば、ほぼ80点は取れるのです」(円グラフ参照)
■文法を日常に落とし込めるのは「50代の特権」
英語ができるようになった人ほど、英文法が大事な鍵だと気づくという。
![](https://president.jp/mwimgs/9/a/-/img_9a4ef7690063d6e13d9c9189b02cacfc84468.jpg)
「多くの人が、英文法が中途半端な状態で英会話へと走ってしまいますが、中学の英文法はネーティブスピーカーたちの普段の会話のコアです。コアがぐらついていると、英語力を身につけようと努力しても水の泡になってしまいます」
文法を疎かにするのは、いい加減な基礎工事の上に家を建てるようなもの。いくら勉強しても、応用が利かないから、丸暗記した英語しか話せない。聞き取りも、語順(文構造)の理解ができていないから、次にくる言葉が予測できず、行き詰まる。
「でも、中学生のようにゼロからではないので、英文法が苦手だった人でも大丈夫。ポイントは文法を1つ学んだら、自分ならどういう場面でこの文法を使うかを考えること」
中学で比較級を習ったときは「ジョンはトムよりも背が高い」といった例文だったが、これを自分の仕事、たとえば、今期と前期の売り上げの比較といった、具体的なものに落とし込んで実践することが大切なのだ。
「“How are you?”のような表現でも文法がわかっていれば、“How was your interview?”(面接はどうだった?)とか、“How is your shoulder?”(肩の調子はどう?)と、いろいろ活用できます。でも、日本人は“What's the condition of your shoulder?”みたいな文を作ってしまいがち。それでも通じますが、Howを使ったほうが簡単だし一般的です。
『何色が好きですか?』と尋ねるときに“What do you like color?”とやってしまう人がいます。これも、疑問(形容)詞の後には名詞がくるという文法を知っていれば、What colorがまずきて、do you like? となるとわかります」
進行形は「~しているところ」と覚えている人は多い。でも、それだけでは文法の学習としては浅いのだ。
「進行形は、一時的な習慣化されていない状況に使うものです。“It's raining.”というのも、雨はずっと降り続くわけではないと知っているからです。『ハリー・ポッター』を今、目の前ではなく、家で読んでいる場合でも“This week, I'm reading Harry Potter.”と言っていい。
文法を日常に紐付けした形に落とし込んでいくのは、若者より50代のほうが、社会的経験があるぶんイメージしやすい。経験を生かせるのは50代の特権、若い人にはできません」
■英語を学ぶ教材の選び方と使い方
では、どんな教材を選べばいいのだろう。書店には英語を学ぶテキストが溢れていて、チョイスに迷う。特効薬みたいな教材があるはずだと期待して選んでは「違う、もっといいものがあるはずだ」の繰り返し。
![](https://president.jp/mwimgs/b/2/-/img_b27b10248731e8e4206a36cfb790fbbe137337.jpg)
「どれがいいかわからないと、ベストセラーに飛びつきがちですが、一から学ぶのなら、ロングセラーのオーソドックスなものを選ぶことです。
教材は道具。どう使いたいのか、自分の勉強スタイルに合った装丁かどうかも大事。私の作ったテキストはB5サイズ。普通の教材に比べると大きいでしょう? 持ち運びには不便。そのぶん、家でしっかりやってくださいという思いからです」
ある単元でつかえても、そこで止まらずに前へ進むのも教材を使うコツだと恵比須さん。先に進むことで、わからなかったことが「あ、そうか」と理解できることも多いからだ。
そして、同じ教材を最低5回は繰り返し取り組むこと。1回クリアしたら終わりではなく、書いてある内容を説明できるようになるまで復習する。だから解答は教材に書き込まずにノートや紙に書いたほうがいい。
では、話す練習はどうだろう。
「日本人の性格でしょうが、粗相のないようにと完璧を求めすぎ。第2言語ですから、文法に則っていれば、少々間違っていても相手も推測してわかってくれます。It is important for us to~とペラペラじゃなくて、たどたどしくIt is important…ah…for us to…ah…でもいい。ただ『イットイズ…えー…インポータント』ではダメです。英語はアクセント、イントネーション、音の繋がりが大切なので、これらも文法と一緒に練習しましょう」
文法が身につけば、リスニングの力も飛躍的にアップする。
「文型とは、英語の情報発信方法を端的に示したものです。語順が頭に入っていれば、次にこういうものがくるだろうとわかってくる。すると耳への入り方がまったく違います。
リスニング上達のポイントは、文法的解釈ができているか。そして、連結音や脱落音といった音声変化が理解できているかの2点です。よく『先生、何回聴いてもこの音が聞き取れません』と質問があります。脱落音だから、聞こえないのではなく、言っていないのですが、言っていないのに、なぜわかるのかといえば、ネーティブは音だけで理解しているのではなく、無意識に文法的解釈をしているからです」
----------
兵庫県神戸市生まれ。「やりなおし英語JUKU」と「Evineの英語塾」を関西で主宰。初心者を対象とした「話せる英文法」指導に従事している。徹底的に中学英文法を学ぶ「Mr.Evine」シリーズは、英語をやり直したい人の定番テキスト。
----------
■▼50代の陥りがちなダメな勉強法
![](https://president.jp/mwimgs/8/4/-/img_8429e40f5276b38a8b86064480b219481099687.jpg)
(フリー編集者 遠藤 成 写真=iStock.com)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「話せなくても行けば何とかなるでしょ?」→海外生活はそんなに甘くない…日本人の〈英語力のなさ〉が想像以上のハンデになるワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月19日 8時15分
-
社会人の英語学習者が受けるべきテストとは?
マイナビニュース / 2024年7月6日 9時5分
-
【会員数No.1】ネイティブキャンプ オンライン英会話レッスンを無料で受講できる「ゼロ学割」から新教材「新文法 中2(教科書準拠)」リリース
PR TIMES / 2024年7月5日 13時0分
-
英語学習アプリ無料おすすめ15選【初心者向け無料サービス・子供向け】など目的別に徹底紹介
マイナビニュース / 2024年7月2日 16時55分
-
外国人観光客に質問されてあたふた…でもそれぜんぶ、中学英語で答えられます!
PR TIMES / 2024年7月1日 19時45分
ランキング
-
1「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
2「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時0分
-
3円安は、バイデン大統領と共に撤退か
トウシル / 2024年7月23日 10時31分
-
4小林製薬、会長と社長が辞任 紅こうじ問題の責任明確化
ロイター / 2024年7月23日 13時9分
-
5日本製鉄、中国宝山鋼鉄との自動車鋼板合弁解消へ
ロイター / 2024年7月23日 17時19分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)