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歯を磨くだけでは「口臭」が消えないワケ

プレジデントオンライン / 2019年5月6日 11時15分

■イヤな口臭、最大の原因は「舌の汚れ」にあり!

口臭を予防するには、歯のケアだけでは不十分。見落としがちな舌のケア法とは?

口臭は、呼吸や会話をするときに口から出る息がにおって、まわりの人が不快になることを言います。原因は、90%以上が口の中の汚れや病気などによるもので、残りが蓄膿症などの耳鼻科の病気や糖尿病など、口以外の病気が原因で発生するにおいによるもの。このため、まず、歯科医院で歯磨き指導や治療を受けて口の中の状態をよくすることが大切です。

口臭のもととなるガスは、新陳代謝ではがれ落ちた口の中の粘膜などのタンパク質成分を、酸素を嫌う性質を持つ嫌気性細菌が分解することによって発生します。

口臭が発生する口の中の状態として、一番多いのは歯周病です。歯と歯ぐきの間にできる歯周ポケットというすき間などに、嫌気性細菌の繁殖しやすい場所が増えるためです。また、歯周病による出血や膿もガス発生の原因となります。次に多いのが、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる白色~淡黄色の舌に付いた汚れです。舌苔は、はがれ落ちた粘膜や食べ物のかす、細菌の死骸などでできていて、嫌気性細菌が分解してにおいのあるガスを発生します。唾液が少ないドライマウスの人も、口臭が生じやすくなります。唾液には口の中をきれいにする作用があるので、分泌が少ないと細菌が増えやすいのです。

治療する場合は、最初に口臭の測定を行います。機器を使ってガスの成分を測定し、また、医師がにおいを嗅ぐ嗅覚による口臭診断も行います。口臭測定機器のある病院は少ないので、事前に問い合わせて確認するとよいでしょう。治療は、口臭専門のクリニックや、大学病院などの口臭専門外来などで行っています。保険外診療となり、本院の場合は初診時の費用は約1万8000円です。

予防にはセルフケアが重要です。歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどの歯間清掃用具を使って歯をきれいに磨き、歯周病を予防しましょう。さらに、舌を掃除して舌苔を取り除きます。舌の表面にはじゅうたんのように細かいひだがあり、そのすき間に汚れがたまります。このため、舌の掃除は、ヘラのような形状のものではなく、ブラシが適しています。舌の表面のひだは、舌の前の部分は短いのですが、奥にいくほど長くなっています。つまり、舌の奥(のどに近いほう)の舌苔は、ひだの奥深くに入り込んでいるので、ブラシでかき出さないと取れません。

■子ども用の小さな歯ブラシを使うのもお勧めです

舌の表面は粘膜なので、掃除しすぎると傷つけてしまいます。ヒリヒリしたり、血が出たりした場合には、数日間は舌清掃を中止してください。舌苔が多くて舌が真っ白になっている人には、専用の舌ブラシを使って舌を掃除することを勧めています。ある程度きれいになってきたら、普通の歯ブラシで掃除をしてもよいでしょう。子ども用の小さな歯ブラシを使うのもお勧めです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SIphotography)

舌の掃除は1日1回、朝起きてすぐに行います。このときが一番舌苔が多く、口臭も強いからです。また、舌が舌苔で汚れていると、味蕾が埋もれて味を敏感に感じられません。舌をきれいにすれば、食事もおいしく食べることができます。

口臭専門外来に来る患者は5歳から90代と年齢層は幅広いのですが、プレジデント読者にも重なる中高年男性が最も多いです。

口臭は、人に指摘されないと気づきません。特に年齢が高くなり、社会的地位も高くなると、指摘してくれる人は少なくなります。まずは、家族など身近な人に、自分の息が気になるか聞いてみるとよいでしょう。

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川口陽子(かわぐち・ようこ)
東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野教授
歯学博士。同大学歯学部卒業。同大学歯学部附属病院「息さわやか外来」診療科長。
 

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(東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野教授 川口 陽子 写真=iStock.com)

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