仕事は9割外注すれば売り上げが爆増する
プレジデントオンライン / 2019年4月16日 6時15分
■売り上げは2年で400%アップ! 離職率も低下
ガイアックスでは、社員の複業やパラレルキャリア、フリーランスと協働する「クラウドソーシング」などを積極的に進めている。特にクラウドソーシングについては実践が進んでおり、各社員に月5万円以上の外注費を使うよう義務づけている部署も。この戦略は大きな成果を生み、社全体の売り上げは2年間で約400%もアップしたという。忙しすぎて高止まりしていた離職率も外注が進んで重要な仕事に集中できるようになったことで大幅に改善している。
とはいえ、クラウドソーシングにはさまざまな不安がつきまとう。信頼できる外注先を見つけられるのか、どんな手順で依頼すればいいのか、相場はどのぐらいなのか──。そんな不安を解消してくれるのが、ガイアックスのクラウドソーシング活用研修だ。同社では、社内のリーダー育成研修「ワークシフト・スクール」を社外公開しており、そのなかでクラウドソーシングやITデバイス活用など多彩な研修を実施している。
3月に行われたクラウドソーシング活用研修をのぞいてみた。講師は、ガイアックスとランサーズで“ダブル正社員”として働く蓑口恵美さん。過疎化に悩む地域の仕事創出・活性化をライフワークにしており、業務のほか私生活でもクラウドソーシングをフル活用している。
■講師の蓑口さん「仕事の9割は外注できる」
「今、社会は働き手がいない時代に突入しています。この波は地方だけでなく、近い将来必ず全国に広がっていく。一方で、クラウドソーシング上の人材登録数は年々増え続けています。自分の目標や夢を達成したい人は、必要な人材にアクセスできるスキルを今から身につけておきましょう」
蓑口さんは、仕事の9割は外注できると断言する。例として「ランサーズ」のクラウドソーシングサイトをスライドで映し出し、ライティングやデザインのほか、日々の資料作成、経費精算まで、ほとんどの分野に受注を待つ登録者がいると紹介。サイトは初めての人にもわかりやすいように作られており、「これなら私でも外注できるかも」と思える構成だった。
■月収ゼロから100万円に急成長した英語講師
次に、クラウドソーシングを使って事業を成功させた英語講師の例が紹介された。塾から独立し、自作のサイトで生徒を募集したものの反響はゼロ。スライドに映し出された実際のサイトは、やはり素人っぽさが漂い、失礼ながら少し怪しげにも見えてしまう出来だった。
そこでこの講師は、クラウドソーシングを活用し、集客コンサルタントやコピーライター、Webデザイナーなどを募ってサイトを作り直した。デザインや機能が向上して生徒も集まるようになり、ゼロだった月収は100万円まで上昇したという。
確かに、自分の苦手な分野はプロに任せたほうがいい。そのぶん得意分野に集中できるし、制作スピードや成果物のレベルもぐんと上がるだろう。紹介例は英語講師だったが、会社員でもプレゼン資料のレイアウトやスケジュール管理、経費清算など外注したいことはいくらでも出てきそうだ。
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蓑口恵美さん
「例えば私は、地域活性化のためのブログを書くために5人のライターさんに外注しています。写真やメモ書きをお渡しして、きちんとした文章に起こしてもらう形ですね。みな地方住まいで、実力はあるのに仕事がないという方たち。外注先というより、互いの目標や生き方に共感している“良きパートナー”です」
蓑口さんは事前にしっかり意図を伝え、テストライティングもしたうえで依頼したという。そこからパートナーとして協働を重ねていけば、あうんの呼吸も生まれて発注はどんどん楽になっていく。では、良きパートナーを見つけ、長く付き合っていくためにはどうしたらいいのだろう。
■外注先=パートナーと良い関係を築くには
主なコツは3つ。まず1つめは、初回は「お試し」として小さな案件を依頼すること。このトライアルで互いに相性や信頼性などを見極め合い、問題なければ次から「本番」に入るのがオススメだ。2つめは、納品してもらう成果物をもとにどんな世界を作り出したいのか、依頼の際に詳しく伝えること。ここに共感してくれる相手なら、先々で離脱する可能性も低いだろう。そして3つめは、相手の意向や都合をきちんと聞き、決して無理強いしないこと。
逆に「してはいけないこと」は、どんな納品物がほしいのかわからないのに依頼する、自分が未経験の業務や機密情報を扱う業務を依頼する、“上から目線”で接する、の3つ。これなら、心がけるのもそう難しくはなさそうだ。
「クラウドソーシングは、人手不足時代の唯一の救世主。今後は上場企業でも活用が進んでいくはずです。今からスキルを身につけていくために、まずは毎月1万円分、小さく外注することから始めてみてください」
■売り上げアップや残業時間削減にも効果アリ
蓑口さんが自身の経験から導き出したコツは、具体的で納得できるものばかり。正直、研修に参加する前は、クラウドソーシングを活用できるのはごく限られた人だけだと思い込んでいた。しかし研修を終えて、その活用範囲は非常に広く、外注して当然という時代がすぐそこまで来ていること、受注者の「働きたい」という気持ちに応える良策でもあることを実感できた。
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広報マネージャーの髙野さんは「もともと当社のクラウドソーシングは、社員がコア業務に特化するために始まったものでした。義務化には抵抗の声もありましたが、研修を重ねて習慣化に成功した今では、売り上げアップや離職率の低下、残業削減など多くの成果が出ています」と語る。
自身も、プレスリリースのレイアウトなど広報業務の一部を外注。以前は業務に追われてパンク気味だったのが、最近では戦略立案などのコア業務に集中する時間ができ、モチベーションも向上しているという。
■コミュニティを広げ小さな企業も大きな成果を
ガイアックスの成功例は、他の企業にも参考になるのではないだろうか。クラウドソーシングは、外部スタッフとの協働を始めるきっかけになる。従来は社内限定だったコミュニティが社外にも広がれば、社員数が少ない企業も大きな成果を出すことが可能だ。同社がこの研修を社外公開しているのは、そうした企業を応援し、ともに成長したいという意思の表れでもある。
「自分たちの競争力はどこにあるのかを考えれば、何をコア業務にして何を外注するかは自然に見えてくるはず。また、外注するのは自分のプロジェクトをひとつ動かすようなものなので、プロジェクトマネジメントのスキルも伸ばせると思います。興味がある人はぜひ研修に参加して、実践していただきたいですね」
同社の研修プログラムには、参加者が自らの事業アイデアを発表するものもある。社外の人も参加可能で、高い評価を得たアイデアには事業資金のサポートも。研修はいずれも少人数で行われ、実践的な内容であることから参加者の満足度も高い。業務や起業のヒントを求めている人は、オフィシャルサイトで開催情報をチェックしてみては。
(辻村 洋子)
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