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"稼ぐ妻"の育休で年収1000万世帯大転落

プレジデントオンライン / 2019年4月23日 9時15分

夫婦はアブダビへの旅行で100万円を使った ※写真はイメージです(写真=iStock.com/boule13)

夫婦共働きで世帯年収1000万円超の30代夫婦は、外食、高級ワイン、デパートでの買い物、スマホゲーム、海外旅行など、自由気ままにお金を使っていた。だが、稼ぎ頭の妻が育児休暇に入ると、毎月の家計は9万円の赤字に転落。ファイナンシャルプランナーに泣きついてきた。夫婦は家計の危機をどう乗り越えたのか――。

■稼ぎ頭・妻の育児休暇中に赤字家計に転落

「育児休業に入ってから、毎月赤字になっていて、心配なんです」

マスコミ業界で働く都内在住の吉岡和美さん(34歳・仮名)は昨年9月に育児休暇に入りました。もともと吉岡家の手取り月収は和美さんが約31万円(ボーナス年120万円)、夫の翔さん(38歳・仮名)が約28万円(ボーナス年60万円)です。世帯の手取り年収は約888万円で、額面年収は1000万円を軽く超えていました。ところが育児休暇に入ったことで、和美さんの月収が8万円減って約23万円となりました。

赤字の補填に回しているのは、これまでに夫婦で作った貯金です。現在の金額は180万円ですが、毎月減っているため、「いま手を打たないと大変なことになる」と強い危機感を抱いているといいます。

■あるだけ使う無防備家計 アブダビ旅行で100万円消費

昨夏の出産および育児休暇取得に合わせ、和美さんは家計も自分で管理することにしました。子どもが生まれるまではいわゆる「夫婦別会計」で、夫婦それぞれに好きなようにお金を使い、貯金はあまりできなかったといいます。週の半分は外食し、洋服や化粧品はデパートで定価購入。ボーナス時には、アラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビへ旅行に行くなど、2人で海外旅行に100万円近く使うことも少なくありませんでした。

育児休暇に入ったことで自身の月収が約8万円減った和美さんですが、基本的に3年前に夫と共有名義で購入したマンションで過ごしているので食費や交際費、洋服代も自然に減っていくだろうと楽観視していました。家計簿にも初めて挑戦し、レシートを見ながら記入する作業が新鮮で、最初はワクワクしたそうです。

しかし、実際には思惑通りにはなりませんでした。

■あと半年で妻の収入は14万円に減額「赤字拡大は確実」

支出額は、子どもがいなかった時と同じか、月によってはそれより多くなってしまったのです。子どもが生まれ、世帯収入が減っても、夫婦そろって以前と同じようなお金の使い方をしたわけです。「あればあるだけ使ってしまう」という浪費癖はそう簡単には直りません。

聞けば、マンション購入前の家計はおおむね黒字で、しっかり積み立てて頭金も用意できたのですが、購入後は気分が大きくなったのか毎月約51万円の手取り収入に対して、支出はローン返済(月12.6万円)を含め55万~60万円に達したといいます。最大月9万円もの大赤字になっていたのです。

「その浪費が出産後も続いて、この6カ月間の累計赤字は約50万円にもなっていました」(和美さん)。育児休暇がさらに半年経過すると、和美さんの収入は約半分(14万円)になるため、赤字はさらに膨らむことは確実です。

「家計簿さえ頑張ってつけていれば、自然に支出は減っていくものだと思っていました。でも何にも変わりません。というか、激減……。家計簿ってどう使えばいいんでしょうか」(和美さん)

■はじめての子育てをしながら、家計簿をつけるのは大変

はじめての子育てをしながら、家計簿をつけるのは大変なことです。まして、家計簿をつけても赤字がなくならないのですから、気分が落ち込むのも理解できます。

しかし、家計簿を「つけるだけ」では何も変わりません。つけた家計簿を見て、「いま必要なものを買っているか」「必要な量だけ買っているか」「納得できる値段か」をふりかえり、お金の使い方を変えることが大切なのです。

また、食費にいくら、日用品にいくらと、費目別の予算感も持ってほしいと思います。特に以前より収入が減ったときは、「これからはこれだけしか使えない」と、「上限」を意識することで、支出の増加を食い止めることができます。

「私だって費目ごとの予算を決めていました。食費5万円、日用品費1万円、洋服代5000円などですが、予算を決めてもどうしても守れないんです」(和美さん)

予算は決めたら終わりではありません。「予算を守るためには、まず節約、まず我慢」と考えがちですが、そうした精神論ではなく、「予算を守る仕組み」を作るといいと思います。

■育児のストレスもあり、夫婦そろってネットショッピング

私は和美さんに、1週間に1回くらいのペースでいいので、ご夫婦で「家計簿の振り返り」をすることと、予算感を持ってお金を使うための仕組みづくりとして、プリペイド式のカードの利用をすすめてみました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/DNY59)

というのも、和美さんは育児休暇に入ったあとに、「子どもを抱いたまま、レジで財布を開けて小銭を数えるのが面倒」と感じて、クレジットカードを使うことが増えていきました。また、育児のストレスもあり、夫婦そろってネットショッピングでの洋服や嗜好品の衝動買いも、かなりの額にのぼっていました。

クレジットカードは便利ですが、あとで引き落とされるのでお金が減っていく実感が持ちにくく、ズルズルと支出が増えていきがちです。一方、プリペイドにすればそれも防ぐことができます。最近話題のQRコード決済を使ってもいいでしょう。

■「ついで買い」「つられ買い」「ポチっと買い」ムダ使いの悪癖

家計簿の振り返りと、プリペイドカードでの予算管理に取り組んだ和美さんと、1カ月後にお会いしました。

「毎週日曜日の夜、子どもを寝かしつけたあとに、夫とふたりで家計簿を見ながら、『これは必要? 欲しかっただけ?』とゲームをやるように仕分けをしてみました。すると、『必要なかった』ものが次々に判明しました」(和美さん)

晩ご飯の材料を買いに行ったのにアイスやお菓子を「ついで買い」、特売につられて必要のないものまで「つられ買い」、インターネットでよく考えずに「ポチっと買い」など、お金の使い方のクセが、少しずつわかってきたそうです。

同時に食費は1週間1万5000円と予算を決め、「LINE Pay」にチャージして使ったところ、残高を意識しながら買い物をしたので、オーバーすることなく予算が守れたそうです。

これまでは、スマホは大手キャリアのものを使い、洋服や化粧品はデパートで購入し、ワインはせっかく買うならそれなりの質のものをと高額な商品に手が伸びていました。また、夫婦共通の趣味であるスマホゲームでは2人合わせて月3万円も課金していました。

■なぜ月9万円の赤字家計が、1.7万円の黒字に変身できたか

そうした思い込みやこだわりがベースにあるお金の使い方も、予算とコスパを意識することで、削減ができるようになってきました。結果、ゲーム課金代▲2万円(削減後の額1万円)、通信費▲1.8万円(同1.4万円)、被服費▲1.7万円(同1.8万円)、食費▲1.7万円(同7万円)、嗜好品(主にワイン)▲1.1万円(同1.7万円)など、9費目で支出が削減でき、月最大9万円の赤字家計が、1.7万円の黒字家計に大変身したのです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/joka2000)

今後、水道光熱費や保険料などの固定費の見直しもできれば、和美さんの収入がさらに減っても、収入内に支出を抑えるメドが立ちました。さらにボーナスの使い方も見直せば、ボーナスからの貯金も見えてきます。

「家計簿の活用法と自分たちの『お金の使い方のクセ』がわかってきたので、これからやっていく自信がつきました」と、和佳さんも手ごたえを感じている様子です。

吉岡家は妻の育児休暇がきっかけでしたが、長い人生の中で、転職や病気、定年退職などで、収入が大きく減ってしまうことは、多くの人に起こり得ることです。収入に合わせ、すぐに支出を減らすのは難しいことですが、何もせず放置しておくと、赤字は膨らんでいくばかりです。「かけたいお金」ではなく、「かけられるお金」に目を向けて、家計の危機を乗り切る力をつけておきたいものです。

■【家計コストカット額ランキング】

1位 -2万円 ゲーム課金
夫婦ともそれぞれ月最大5000円と予算を決めた
2位 -1.8万円 通信費
タブレットを1台解約、スマホと他の1台も格安SIMに変更
3位 -1.7万円 食費
「ついで買い」「つられ買い」を減らした。1週間1万5000円をチャージしてやりくり
3位 -1.7万円 被服費
デパートだけでなく、ファストファッションの店でも買うように
5位 -1.1万円 嗜好品
コスパのいいワインに変更
6位 -0.8万円 生活日用品
ネットでの「ポチっと買い」をセーブ
6位 -0.8万円 交通費
習慣になっていたタクシーを減らした
8位 -0.5万円 教育費
キャンセルが多かったマタニティヨガを解約
8位 -0.3万円 化粧品代
デパートではなくネット購入に切り替え

(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭 写真=iStock.com)

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