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楽天が報道機関に1500円金券配布の倫理

プレジデントオンライン / 2019年5月14日 15時15分

プレジデント編集部が入手した、楽天の報道向け資料。「キャッシュレス体験」とは。(写真はプレジデント編集部が加工)

■資料のひとつとして、楽天Edyを配布

プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスなどを運営する楽天が、2019年4月1日に、楽天生命パーク宮城でメディア向けに開いた説明会で、報道関係者に金券を配っていたことが、楽天への取材でわかった。楽天広報部は「毎年恒例のシーズン前ホームスタジアム報道関係者向けご案内セッションにおいて、配布しております」と認めた。

楽天生命パーク宮城では今シーズンから、現金での商品購入ができない、「完全キャッシュレス化」に取り組んでいる。報道関係者に金券を配った理由について、楽天広報部は「今回はメディアの方々に実際に現地でキャッシュレス体験をしていただくための手段として提供させていただきました」とプレジデント編集部の取材に答えた。

楽天が配布したのは、1500円分が入金されていた楽天Edyカード。楽天Edyとは楽天グループが運営するキャッシュレス決済で、Suicaといった交通系ICカードなどのように、現金をチャージして使うことができる。楽天Edyカードは球場内の飲食店や売店以外でも、楽天Edyの決済端末を導入しているコンビニやスーパーといった小売店での利用も可能だ。

楽天広報部は入金済みの楽天Edyカードを「メディアの皆さま向けの資料一式のひとつとして楽天Edyのカードも配布しております」と説明している。どこのメディアに配布したかについては「具体的な参加メディア名については、回答を控えさせていただきます」としている。回答を控える理由は明らかにしていない。

プレジデント編集部の取材では、テレビ局など複数のメディアが、報道関係者向けセッションに参加していたとみられる。

楽天広報部は過去にも金券をメディアに配ることはあったのか、というプレジデント編集部の質問に「ありません」と回答した。また、倫理上問題はないと考えているのか、とも問い合わせたが、「お答えできません」と返答された。

城南中央法律事務所の野澤隆弁護士は、「テレビに関しては中立性が極めて重要なメディアであり、金券を受け取っていた事実があるなら、番組の構成によっては放送法等に違反する可能性がある」と指摘する。紙メディアについても「読者の誤解を招きかねないので、当該の記事にその旨を一言でも記載するべきだ」と述べる。

■球場に批判の声もあがっている

楽天は19年1月、「スマートスタジアム構想」として、楽天生命パーク宮城とJリーグ・ヴィッセル神戸の本拠地「ノエビアスタジアム神戸」にて、チケットやグッズの購入は原則、楽天Edy、スマホ決済の楽天Pay、クレジットカードしか受け付けない取り組みを始めることを発表した。

同社はプレスリリースにて「日本のキャッシュレス比率が先進国の中でも低いことが指摘されていることから、楽天としてもスポーツ観戦時における決済に関わるストレスを減らし、キャッシュレス決済に触れていただける機会を創出していくことで、日本におけるキャッシュレス決済普及を後押ししていきたい」と述べている。

しかし、キャッシュレスが日本より進む米国のニュージャージー州など一部自治体では「低所得者を排除しかねない」と、現金払いを残すように小売店に義務付けている。

プレジデント編集部が楽天生命パーク宮城へ取材に行った際も、来場していた高齢者から「わかりにくい」などといった不満の声があがっていたほか、現場の販売員も「現金対応を認めてほしい」と漏らしていた。ほかにも「キャッシュレスといっても、認知度が高いSuicaのほか、iDやQUICPayといった電子決済方法も使えず、キャッシュレスを普段使いしている人に対しても、逆に利便性を狭めてしまっている」という批判も出ていた。

楽天広報部はそうした不満があることについては、「大きなご意見はいただいていないが、すべてのお客様にとってキャッシュレスが障壁に感じることのないよう、案内やサービス向上に注力する」と説明している。

(プレジデント編集部 写真=プレジデント編集部)

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