"公明党壊滅"へのカウントダウン始まる
プレジデントオンライン / 2019年5月17日 15時15分
■現場の運動量が目に見えて低下
「赤っ恥もいいところ。『常勝関西』のブランドはこれで大きく傷ついた」2019年4月8日、統一地方選最大の目玉大阪クロス選の投開票日翌日、ある関東在住の創価学会中堅幹部は吐き捨てた。
松井一郎・前大阪府知事と吉村洋文・前大阪市長が「大阪都構想の民意を改めて問いたい」と立場を入れ替えて出馬した背景には、これまで都構想に比較的理解を示していた大阪公明党が、18年末から態度を翻して維新批判を始めたことがあった。
大阪を中心とする関西圏は、昔から創価学会の分厚い基盤が存在する地域として知られている。それに支えられた関西の公明党は選挙のたびに無類の強さを見せつけ、創価学会内では「常勝関西」なる言葉までもが生まれ、関西の強さが称えられてきた。しかし、今回の大阪府知事・市長選で、大阪公明党は自民党が擁立した維新への対立候補を支援するも惨敗した。
ちなみに、同日開催された大阪市議選と京都市議選では公明党の現職が1人ずつ落選した。公明党の票読みの正確さは有名で、特に関西では原則、「常勝無敗」ですらある。だが、2人は数票差で落ちていることから、これは何らかの「風」が吹いた影響ではなく、公明党の現場運動員の運動量が目に見えて落ちているということを表している。公明党にとって衝撃的なことであった。
19年4月7日深夜、公明党大阪府本部代表の佐藤茂樹衆院議員はマスコミを前に、「民意を重く受け止めている。大阪都構想への扱いは新しい府市両議会の議員と議論して対応を検討したい」と表明。そもそもこの選挙がなぜ起こったのかを考えれば「いったい何のための選挙だったのか」と批判されても仕方ない豹変であろう。
創価学会の幹部層、特に東京の教団本部周辺から漏れてくるのは、「常勝関西のプライドに引きずられてしまった」という怨嗟の声だ。つまりここ約10年、大阪の政治を主導してきたのが橋下徹・元大阪市長と、彼のつくった維新であった事実は否定できない。公明党はそんな中で自分たちの基盤を守り抜くべく維新との衝突を避け、自民党や共産党が当初から真っ向反対してきた大阪都構想にも柔軟な対応をとってきた。しかし遂にここへきて「いつまでも維新の風下に立つわけにはいかないという大阪からの声が抑えられなくなってきた」(前出の創価学会幹部)のだという。
選挙前に大阪で行われた創価学会のある会合では「維新と協調したほうが得策」と説く東京から来た幹部に対し、「勝てないケンカではない」「関西を何だと思っているんだ」などと怒号が飛ぶまでの状況になっていたという。「あれを無理やり抑え込んだら創価学会全体にヒビが入りかねなかった」と、ある関係者は述懐。そして大阪公明党は、維新との全面戦争になだれ込んだ。
■熱心な古参会員の多くは、すでに60~70代以上
しかし19年春の大阪政局の結果とは、「常勝関西の敗北」というものでしかなかった。維新のたくみなメディア対策や、それに伴って吹いた風の影響もあろうが、近年とみに指摘される「創価学会員が選挙に注ぐエネルギー量の低下」は無視できまい。池田大作名誉会長の間近で学会の拡大に貢献してきた熱心な古参会員の多くは、すでに60~70代以上。池田思想の中核であった憲法9条擁護や反核といったメッセージも、長期化する自公連立の影響で揺らいでいるとの批判が内外から出ている。
最近ではそうした本部批判を展開していた一般会員が除名されるといった出来事さえ起きており、かつて池田氏が「庶民の王国」とまで称した強大な創価学会は、実は今すでにない。選挙戦直後、橋下徹氏は民放のテレビ番組で「第2幕は公明党を壊滅させる」と発言。常勝関西はいつの間にか、まな板の鯉にさえなってしまっている。
公明党の票田を形成する創価学会の組織的特色とは、その上意下達の鉄の団結だ。しかしプライドで目の曇った「上意」に翻弄された結果が今回の大阪の敗北だったのだとすれば、哀れなのはまさに「下」にいる、多くの一般会員たちであろう。
(雑誌「宗教問題」編集長 小川 寛大)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
鍵握る維新対応、狭まる「斎藤知事降ろし」包囲網 第三者機関の結論焦点に
産経ニュース / 2024年7月16日 20時24分
-
石丸伸二氏 政治改革へ「政治のエンタメ化必要」 広島1区出馬発言「政治に緊張感もたせたかった」
スポニチアネックス / 2024年7月14日 15時50分
-
橋下徹氏 石丸伸二氏の“政界復帰の誘い”に「僕にはそこまでのエネルギーと根性が…頼みます!!」
スポニチアネックス / 2024年7月12日 8時52分
-
橋下徹氏 古巣・維新を痛烈批判「今の維新国会議員は無党派層が一番嫌がる政治集団…石丸さんとは対極」
スポニチアネックス / 2024年7月11日 9時12分
-
迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及
東洋経済オンライン / 2024年7月3日 9時0分
ランキング
-
1SNS投資詐欺、拠点のビル一斉捜索で8人逮捕 大阪府警、スマホ1800台超を押収
産経ニュース / 2024年7月23日 21時16分
-
2「県民の負託、理由にならない」 堺市の永藤市長 兵庫の斎藤知事疑惑巡り突き放し
産経ニュース / 2024年7月23日 20時17分
-
3新1万円札に「変えないで」 福沢諭吉交代で聞こえてくる“慶応OBの嘆き”
文春オンライン / 2024年7月23日 16時30分
-
4富士山8合目の山小屋で75歳男性が死亡 登山ツアーに参加 今年の山開き以降6人目の死者
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月23日 14時4分
-
5「600円しかなく…ガスも電気も止められた」DV受けうつ病なったシングルマザー「生活保護」申請したのに受け付けられず 女性は知人男から殴打され死亡 遺族ら大阪市に要望書『受給できてたら死なずにすんだ可能性』
MBSニュース / 2024年7月23日 15時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)