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謝られても「怒り」が鎮まらない人の特徴

プレジデントオンライン / 2019年6月8日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/AH86)

■その怒りは「闘争か、逃走か」

怒りは、人間だけではなく動物ももっている「感情」です。動物にとって、怒りを感じるときとは、例えば外敵が目前に現れたり、自分の身に危険が及んだりした「緊急事態」。だからこそ、急激な感情が生まれます。心理学では「闘争か、逃走か」という表現をするのですが、危機に直面した動物は、強烈なエモーション、「情動」によって突き動かされるため、怒りという感情は、強度が非常に高いのです。

闘争か逃走か。どちらにしろ身体的・生理的な活動を伴います。動物の体のメカニズムとして、よく知られているように、ホルモンの一種であるアドレナリンが分泌されることで、怒りは急激に高まります。そして、すぐには収まらない。謝られても怒りがなかなか鎮まらないのは、動物にとって自然なことなのです。

もちろん、人間は動物よりもより複雑な認知処理をしています。では、人間がなかなか処理できないほどの怒りとはどんなものかといえば、それは自尊心や、その人のよって立つ価値を傷つけられたときに生じた怒りです。そこでさらに、「何を傷つけたか」に無頓着な謝罪をされると、火に油を注ぐことになる。

個々人の度量も問題になります。能力や感情のキャパシティが大きければ「キレる」ほど怒ることはないでしょうし、反対にキャパシティが小さい人ほど、すぐに怒る。もちろん、個人の中でも、仕事に余裕があるとき、または切羽詰まった状況にあるときでも、怒りやすさに差は表れます。

では、怒りをどう鎮め、「アンガーマネジメント」をすればいいか。まずは、自分が何に怒りを感じているか、理由を自覚することです。自分の自尊心のポイントをはっきり認識すれば、どこが怒りのポイントなのかもわかるのです。そして、具体的なシチュエーションの中で、相手に期待していたけれど、裏切られたのか。思い通りにならなかったなら、思い描いていたのはどんな正解だったのか、整理して考えること。

■「言いたいことを言う」が自己主張ではない

また、もし相手があなたの考えをわかっていないと思うなら、それをうまく伝えることは、あなたにとっても重要なことなのです。相手の責任ばかりにしてはいけません。特に日本人は「怒り」を表現することが苦手と言われます。そして、実のところは「謝罪」も苦手です。通底するのは、「アサーション」つまり、自己主張を避けているということ。

多くの日本人が自己主張を「自分の言いたいことを言うこと」と勘違いしています。しかし、本来は「相手のことを考えたうえで、自分を伝える」のが自己主張なのです。それが認識できず、苦手と思って避けているから、自分の怒りを説明できずにため込むし、相手への想像力のない謝罪が怒りを増幅させる。そして、マグマがたまって噴火するような怒りになってしまう。そんな不幸な関係に陥っているのです。

相手の気持ちを想像し、尊重することが、自己主張の第一歩だと認識することができれば、怒りのマネジメントも、謝罪の仕方も、もっと上手になるはずです。

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戸梶亜紀彦
東洋大学社会学部社会心理学科教授
同志社大学大学院文学研究科博士課程後期(心理学専攻)修了。専門は感情心理学。

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(東洋大学社会学部社会心理学科教授 戸梶 亜紀彦 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)

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