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子供4人を東大医学部へ入れた主婦の脳育

プレジデントオンライン / 2019年5月20日 9時15分

『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』より。右が佐藤亮子さん、左が和田秀樹さん。(撮影=市来朋久)

3男1女を育て、全員を国内最難関の東京大学理Ⅲ(医学部)へ合格させた佐藤亮子さん。その子育ては「3歳までに1人につき、のべ1万冊の読み聞かせをし、のべ1万回童謡を歌って聞かせた」というものだったという。『「東大に入る子」は5歳で決まる』の著者で精神科医の和田秀樹さんと「0歳から始める本当の英才教育」について対談してもらった――。

※本稿は、『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2019完全保存版』の掲載記事を再編集したものです。

■「6歳になるまではうんと甘やかした」

【佐藤亮子ママ】和田先生は、幼児教育に必要なのは子どもに「根拠のない自信」を持たせることだ、といつも言われていますよね?

【精神科医・和田秀樹】小学校入学までに、子どもに「自分は賢いんだ!」という自信を持たせることはホントに大切なんです。今、自分で幼児教育にも携わるようになって思うのは、子どもというのは「自分が賢い」という自信があればあるほど、喜んで学ぶ生き物なんですね。大人は逆。自分が賢いと思っている人は勉強しない(笑)。

【佐藤】なるほど。

【和田】逆に絶対にNGなのは、子どもに「自分はダメだ」と思わせてしまうこと。無理な課題を強制したり、できないことをしかったりすると子どもは勉強嫌いになってしまう。とにかく褒めることなんです。精神分析学者のハインツ・コフートの説によれば、褒められて育った人間のほうが野心的になるし、ストレス耐性も強い。ですから、幼児教育に必要なのは、実は叱られる体験や子どもがイヤだなと思うことを徹底して排除することなんです。

【佐藤】わかりますね。私も子どもたちが6歳になるまではうんと甘やかしたんです。習い事の準備などは全部私がしました。すると先生から、「忘れ物をしなくてえらいね」って褒めてもらえる。それが自信になっていくんですね。

【和田】6歳までは、褒めて褒めて褒めまくる。うぬぼれるくらいでいい(笑)。子どもが楽しそうにしていることが正解。それを親や周囲の大人たちが認め、褒めてやることで、子どもは生きていることが楽しいと実感することができるし、自分は大丈夫という自己肯定感を育むことができるんですね。

【佐藤】わが家も小学校に上がるまでは、とにかく思いっきり遊ばせました。その中で好きになったものを、ハンパでなく、すご~く伸ばしていくことを心がけていました。夢中になるのは勉強やスポーツといった王道のものじゃなくてもいい。ウルトラマンでも、なんでもいいんだと思います。

■3歳までに1人につき、のべ1万冊の読み聞かせをした

【和田】ボクも小さい頃はミニカーが大好きで「車の名前ならば誰よりも知っている!」と、自信満々でしたよ(笑)。あと、もうひとつ大切なのが賢いことはカッコいい、勉強することはカッコいいという思い込みを子どもに持たせること。東大とか医者とか、そういうものに対する憧れをじわっと持たせる。

【佐藤】じわっとね(笑)。私も家の中の知的な雰囲気は大切にしていました。身近なところに新聞や本を置いたり、読み聞かせをしたり。3歳までに1人につき、のべ1万冊の読み聞かせをし、のべ1万回童謡を歌って聞かせました。すごいでしょ?

【和田】それはすごい!

■何かに没頭しているときは、夜遅くまででもやらせておく

【佐藤】あとは子どもを子ども扱いしないということにも気を使いましたね。赤ちゃん言葉は使わないとか、大人の話に加えるとか。

佐藤亮子さん(撮影=市来朋久)

【和田】そこも大切ですね。子どもというのは背伸びをしたい願望の強い生き物ですから、大人っぽい自分をカッコいいと思うわけです。

【佐藤】そう。子どもって漫画の『名探偵コナン』みたいで、体は小さいけど、案外いろいろなことを知っていたり、できたりする。2、3歳からそう。そういう部分を親が見つけてやって、認めてやる。

【和田】子どもが好きになれるもの、夢中になれるものを探して、それに出合わせてやるのが、この時期の親のいちばん大切な仕事なんじゃないかと、私も思います。できないことを責めたり、合わないことを続けさせたりしても何の意味もない。

【佐藤】そうですね。私も子どもが何かに没頭しているときは、夜遅くまででもやらせておくようにしていました。生活のリズムや片付けなんかよりも、何かに熱中するということのほうが大事だと思っていましたから。寝不足ならば次の朝、ゆっくり寝かせてやればいいだけですし。

【和田】余談ですが、遊びでも勉強でも何かに熱中することは大事ですが、テレビゲームやスマホは除外したほうがいい。大人も含めて10人に1人が依存症になるという危険性を持ったものを子どもに与えることには反対です。ほんと、余談ですが。

【佐藤】そうですね。わが家も12歳まではゲームを与えませんでした。

■「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変える方法

【和田】できることをとことん褒めて「自分は賢い」「自分はカッコいい」「勉強は楽しい」という幻想を持たせる(笑)。これが幼児教育の第一歩です。それができれば、あとは「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変えていけばいい。

【佐藤】和田先生は「根拠のある自信」を育むには、どうすべきだとお考えですか?

【和田】なるべく早い段階から、ひらがな、かたかな、1桁のたし算、九九、そういう基礎学力をしっかりと丁寧に身に付けさせることだと思います。こういう勉強って、やれば誰でもできるようになる。できない子どもというのはまずいません。そもそも子どもというのは単純作業とか、ものを記憶するとかいうことが好きですし、得意なんです。もちろん中にはそういうことが嫌いな子どももいますが、親が子どもの喜びそうなおはじきを作って数に興味を持たせるなどの努力をすれば、子どもは必ず喜んで勉強するようになります。がんばってできるようになるという成功体験を積むことで、根拠のある自信が身に付いていくんですね。

【佐藤】うちの子どもたちも早い段階から公文の教室に通わせましたが、最初はなかなか興味を持ってくれなくて。ですから最初はまず私が公文のプリントをやってたんです(笑)。「これ、楽しいな」なんて言いながら、子どもが近づいてくるのを待って。半年かかりましたけど(笑)。

■よその子と比べるというのは本当によくない

【和田】そう。幼児教育には「待つ」ということも大切なんです。焦って子どもに厳しく当たってしまうと、間違いなく勉強ギライになってしまう。ボクは特に東京近郊で、幼児教育に対する誤解が蔓延(まんえん)しているように思うんです。東京では小学校受験がわりとスタンダードでしょ? で、受験で求められるのはみんなと仲良く遊べるとか、上手に傘が開けたり、靴下がはけたりする能力。でも、そんなこと、3年もすれば放っておいてもできるようになる。

和田秀樹さん(撮影=市来朋久)

【佐藤】それなら待っていればいいですよね。いつかは自然とできるようになるんですから。大人になって、靴下をはけない人、いませんものね(笑)。

【和田】そう。そういうことって器用さとかセンスの問題で、個人差もある。でも、つい他の子どもと比較して、できないことを責めたり、親が手を出してしまったりする。結果、子どもに変なコンプレックスを植え付けてしまうことになります。一方、文字や数の勉強は待っていてもできるようにはならないし、やれば確実に結果が出ます。むしろこちらに力を入れるべきなんですよ。

【佐藤】よその子と比べるというのは本当によくないですよね。比較しちゃうとわが子が見えなくなるんですよ。だから私はひたすらわが子だけを見るように心がけてきたつもりです。きょうだい間で比べることもしませんでした。

【和田】そうですね。やる気スイッチというのは人によって違うから、遊びにしろ、勉強にしろ、いろいろなやり方を子どもに対して試してみる。そして取り組んでいる様子をじっくりと見守る。どうやらスポーツや音楽の天才というのは、自分が才能を持っている対象に出合うと、明らかに他の子どもと違う反応を示すそうですが、そんな子どもはホントにまれ。だから、わが子がどんな反応をするのか、ほんの小さな違いを見逃さないようにしないといけない。母親の観察眼が求められます。

■「あれ、この子、7+8が他の計算より0.005秒遅いわ」

【佐藤】一緒にたし算の勉強なんかをしていると、「あれ、この子、7+8が他の計算より0.005秒遅いわ」とか気が付くんですよ。その小さな違いが、のちのち大きな躓(つまず)きの原因になると思って、7+8を何度も練習させました。0.005秒の違いに気付いてやれるのは親だけですから、一緒に乗り越えていけるようなやり方を探せばいいんです。やはり、子どもが勉強できないというのは、私は親のせいだと思いますね。親の努力不足。できないのはやり方が間違っているから。その子に合ったやり方を見つけてやれるのも親だけだと思います。

【和田】万人に通用するセオリーのようなものを求める親がいますけど、やはりそれも手抜きです。

【佐藤】よく私のところに「私も佐藤さんのような芯のある子育てがしたいです」と言ってくるお母さんがいるんですが、私、子育てに全然芯なんて持っていないんです。育児書を20冊ぐらい買いあさり、読みあさり、わが子に合うやり方はどれだろうと試行錯誤を繰り返してきただけ。まったく行き当たりばったりの、出たとこ勝負で(笑)。

■詰め込み着手は早いほうがいいんです

【和田】いいことです。何か一冊の育児本の信者になってしまうより、はるかに健全です。子どもはひとりひとり違いますから、その一冊の方法が合わないと、親はうちの子はダメなんじゃないかと思ってしまう。

(撮影=市来朋久)

【佐藤】20冊も読むと、だんだんに自分のセオリーみたいなものもできてきますしね。

【和田】勉強ができないのは本人のせいではなく、やり方が悪いんだという方向に、大人が導いていくべきでしょうね。DNAの問題ではなく、技術の問題。幼児期には母親が、わが子に合うやり方をしっかり見つけてやりたいですね。

【佐藤】子どもたちに話していたことのひとつに「勉強ができないと、将来自活できないよ。食べていけないよ」ということがあります。やはり、子どもをしっかりと自活できる社会人に育てるということは、産んだ母親としては当然の仕事だと思うんです。だから、そこは母親の愛情とは別に、ビジネスライクに詰め込みました(笑)。

【和田】詰め込むべきだと思います、私も。それもなるべく早めがいいですね。着手が遅くなると親に焦りが出て、よその子と比較したり、できないことを責めたりしがちですから。佐藤さんのように早めに始めておけば、子どもがやる気になるまでじっくり待っても、まだ時間はあるという余裕が持てます。

【佐藤】本当にそうですね。ありがとうございました。

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和田秀樹
精神科医
国際医療福祉大学大学院教授。アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。大学受験生向けの通信指導事業「緑鐡受験指導ゼミナール」代表。I&Cキッズスクール理事長。東京大学医学部卒業。ベストセラーとなった『受験は要領』や『「東大に入る子」は5歳で決まる』ほか著書多数。
佐藤亮子
主婦
長男・次男・三男が灘中・高等学校から東京大学医学部へ。長女も東大理Ⅲに合格して、3男1女全員が東大医学部へ。現在は、テレビ出演や講演活動などに引っ張りだこのカリスマママとして活躍中。『私は6歳までに子どもをこう育てました』『受験は母親が9割』ほか著書多数。

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(主婦 佐藤 亮子、精神科医 和田 秀樹 田中義厚=構成 市来朋久=撮影)

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