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マーケターがショボいと会社は斜陽化する

プレジデントオンライン / 2019年6月2日 11時15分

音部大輔氏

■市場創造の要諦は「いい○○」の定義を変えること

「マーケティングを一言でいえば市場創造だ。クルマを例にとると、クルマが本質的に持っているスタイルや機能に着眼して“いいクルマ”の新しい定義を市場に提案していく。そして、それを受け入れてもらえれば、新しい市場でライバル企業に勝つことができる」

こう話すのは、著者でプロマーケターの音部大輔氏。日米のP&G本社で約20年、マーケターとして活躍。帰国後は日産自動車や資生堂など大手企業でマーケティングを指導してきた。その実績が発する言葉だといっていい。

「加えて、マーケティングとともに重要なのがブランディング。これは顧客に対して自社のクルマがどんな製品属性を持っているか意味づけし、認識や知覚を促していく作業である。企業がブランドマネジメントを行うことで、いわゆる“ブランド”が確立し、さらに維持、発展する。換言すればマーケティングはニーズを明確にし、ブランディングはベネフィットをつくり出すことだ」

このことから、市場創造とブランドマネジメントがマーケティングの両輪だと音部氏は指摘する。その際、大切なのがマーケティング関連業務に携わるすべての人が“共通言語”を持つことだ。互いが同じ言語体系を持つことで、重要な意思決定などにおけるコミュニケーションが担保される。ともすれば曖昧になりがちな用語を明確にし、整合性を持って体系化し、浸透させるのである。

音部大輔『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP社)

「それができてこそ、商品開発から広告宣伝、そして営業・販売とつながる戦略の実践が効率的になる。私は戦略とは、企業の目的達成のための資源利用の指針だと考えている。この2つを正しく明示し、自社が掲げるビジョンとミッションに沿って、組織全体を動かしていくことだ」

いうまでもなく、それを経営の現場で担うのは人だ。同時に、顧客としての消費者もまた人である。そこでプロマーケターが心がけなければいけないのは“人間理解”だと音部氏は説く。企業のCMO(最高マーケティング責任者)であれば、スタッフ全員に「人間を見よう!」と問いかけるべきで、それこそが顧客視点に立ったやり方だ。

デジタル技術の発展にどう対応できるかも重要だと著者は指摘する。戦略的なマーケティングにはビッグデータのマーケティングへの活用やAI導入による業務の省力化は欠かせない。AI導入によって、マーケター1人当たりの運用能力が引き上げられる。マーケターの優劣が顕著にビジネスの結果につながる時代がやってくる。

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音部大輔
クー・マーケティング・カンパニー代表取締役
博士(経営学、神戸大学)。P&Gジャパン、資生堂などを経て、2018年より現職。

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(ジャーナリスト 岡村 繁雄 撮影=尾関裕士)

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