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減塩なら"とんかつよりエビフライ"なワケ

プレジデントオンライン / 2019年6月11日 9時15分

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/hungryworks)

外食は家で食べるよりも塩分が多くなりがちだ。どうすれば減らせるのか。管理栄養士の濱裕宣氏らは「『チリ積も』式なら、食事の満足感をなくすことなく、減塩することができる」という。具体的なメニュー例とともに、外食での減塩法を紹介しよう――。

※本稿は、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部/濱裕宣、赤石定典『はじめての減塩』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■栄養成分表示を見れば料理の塩分量がわかる

外食は、家庭で食べるよりもどうしても塩分が多くなりがちです。万人受けを狙うなら、それなりの味の濃さが求められます。そのため、下処理から下味、仕上げまでしっかり味をつけることになるからです。

味の濃さに加え、外食だと量も増える傾向にあります。食べる量が増えれば、塩分の摂取量も増えるという法則はもうおわかりですね。

最近では、健康志向の高まりで減塩を謳う店も登場していますが、まだごく少数です。となると、防衛策としてまず考えられるのは、できるだけ塩分の少ないメニューを選ぶことです。そのためにはどんな料理に塩分が多く含まれているのか、あらかじめ知っておく必要があります。

昨今、ファミリーレストランなどのチェーン店では、メニューに栄養成分表示を掲載しているところが増えています。そうした場合、塩分も必ず表示されていますから、お気に入りの料理の塩分はどのくらいか、チェックしてみましょう。一度、メニューをじっくり見てみると、料理によってかなり差があることが実感できるのではないかと思います。

■お皿に残ったソースや煮汁は残すこと

料理の種類でいうと、塩分が少ないのは洋食、次が和食、一番塩分が多い傾向にあるのは中華料理です。もちろん、洋食でも塩分が高い料理はありますし、中華料理でもメニューの選び方や食べ方次第では塩分を抑えることができます。あくまで傾向として覚えておいてください。

そのほか対策としては、しょうゆやソース、ドレッシングなどあとからかける調味料の分量を加減すること。また、お皿に残ったソースや煮汁などは残すこと。さらに塩分が多そうな小鉢や付け合わせ、汁物などがあれば、それも半分くらい残しましょう。そうして少しずつ塩分をカットしていけば、「チリも積もれば」式に減塩できます。

では次から、具体的なメニュー例を挙げながら、外食での減塩のポイントを見ていきたいと思います。

■和食の塩分量を増やす「汁物と漬け物」

和食は塩分が高めだと、これまで何度かお伝えしてきました。それは、高塩分の汁物と漬け物が必ずついてくるからです。

では実際にどのくらい高くなるのでしょうか。焼き魚の定食を例に見てみましょう。メインのおかずであるアジの塩焼きに、小鉢、ごはんとみそ汁、漬け物がついた典型的な定食です。この定食の総塩分量は5.1グラム。1食の目安である2.0~3.0グラムを大幅に超えています。

そしてたいていの場合、それだけでは済みません。アジの塩焼きに添えられている大根おろしが曲者です。大根おろし自体に塩分はありませんが、多くの人が大根おろしにはしょうゆをかけるものと思っているのではないでしょうか。

そこでいつものように大根おろしに、しょうゆをかけたとしたら、さらにその分の塩分が加わります。小さじ1杯とすれば、プラス0.9グラムで計6.0グラム。1食だけで1日の目標量の大半を摂取してしまうことになります。

では、塩分を減らすにはどうしたらいいでしょうか。

■「チリ積も」方式で少しずつ塩分を減らす

先ほどお話ししたように第一に、あとから調味料を加えないこと。したがって、大根おろしはそのまま食べることです。アジの塩焼き自体に塩味が十分ついていますから、しょうゆをかけずに大根おろしを添えて食べましょう。

そして次は「チリ積も」式で、ちょっとずつ塩分を減らしていくことです。ただ、だからといって、メインのおかずを残すのはあまりおすすめしません。食べたいと思って頼んだものですから、残すとなると食事の満足度は落ちるでしょう。それよりはおかずはしっかりと食べて、そのほかのもので塩分を減らしていくほうが「食べた」という満足感が味わえるからです。

そこでまずカットしたいのが、少量で塩分の多い漬け物です。次はみそ汁。みそ汁を飲まなければ大幅な減塩にはなりますが、それではやはりもの足りなさが残ると思います。ですから、具を食べ、汁の量を半分にするなど調整しましょう。

これで1.5グラムの減塩となり、3.6グラムです。もう一声というところです。そこで小鉢のひじきの煮物を半量残せば、全部で1.8グラムの減塩となり、3.3グラムになります。

このように和定食は、だいたい主菜、副菜、汁物とごはん、漬け物の組み合わせになっています。メインはしっかりと食べる代わりに、ほかを少しずつ減らす。この食べ方に慣れていけば、無理なく減塩できるようになるでしょう。

■「塩分控えめ」とんかつの落とし穴

とんかつは、焼き魚や煮魚より塩分控えめです。とんかつ1人前(肉90グラム)の塩分量はだいたい1.0グラム。揚げ物ならではの香ばしさがあるため、下味の塩はそれほど必要ではありません。ですから、塩が臭み取りの役割も果たす焼き魚や、しょうゆを使った煮魚よりも塩分が抑えられるのです。

揚げ物類は総じて、煮物などのしょうゆを使うメニューより塩分は少なめです。しかし、からあげのようにしょうゆなど下味をしっかりもみ込んだものは別。からあげ3個(120グラム)の塩分量は1.1グラムと多めです。

話をもとに戻して、では焼き魚定食よりもとんかつ定食のほうが減塩メニューかというと、一概にそうは言えません。なぜなら、あとからかけるソースの量が問題だからです。

中濃ソースやとんかつソースは、大さじ1杯で1.0グラムの塩分が含まれます。それだけソースをかけたとすると、とんかつ自体の塩分と合わせて2.0グラムになり、結局のところ焼き魚と同じ量だけの塩分を摂ることになります。

しかも、とんかつだけでなく付け合わせのキャベツの千切りにもドボドボとソースをかけるという人もいますよね。そうなると、とんかつ自体の塩分は少なくとも台無しです。

■とんかつよりも「エビフライ」がおすすめ

塩分を抑えるには、「とんかつといえばソース」と何も考えずにソースをかける習慣をやめること。できれば一度、レモンを絞り、ソースなしで1切れ味わってみてください。意外としっかり味がついていると感じたら、そのままで食べましょう。それでも少し塩気が足りないと思えば、そこで初めてソースに手を伸ばし、調節しながらソースをかけるようにしてください。

そしてとんかつよりも、さらに減塩メニューとしておすすめなのがエビフライです。エビフライはレモンを絞り、タルタルソースで食べます。タルタルソースのベースはというと、マヨネーズです。

ここでピンときた人は、調味料の塩分がだいぶ頭に入っていますね。こちらで挙げたように、マヨネーズの塩分は中濃ソースやとんかつソースにくらべ、だいぶ少なめでした。タルタルソースはマヨネーズより塩分はやや多くなりますが、それほど変わりません。ですから、ソースをかけるとんかつより、タルタルソースで食べるエビフライのほうが減塩メニューなのです。

■カキフライも「タルタルソース」で食べる

濱裕宣・赤石定典『はじめての減塩』(幻冬舎)

なおエビフライ1人前3本の塩分は、とんかつと同じで1.0グラムほど。タルタルソースの塩分は大さじ1杯で0.4グラムなので、タルタルソースを残さず食べても1.4グラムに抑えられます。

同じく魚介のカキフライは、カキにもともと塩分が含まれているので、塩分は少々多めです。1人前4~5個で1.6グラムほど。ですが、ソースではなくタルタルソースにすれば、塩分は、ソースをかけた場合のとんかつと同程度になります。

ボリュームもあって、ソースに気をつけさえすれば、塩分が比較的抑えられる揚げ物メニュー。減塩生活に上手に取り入れたいものです。

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濱裕宣(はま・ひろのぶ)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 課長
管理栄養士。1988年佐伯栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属第三病院栄養部入職。分院を経て、2013年附属病院へ異動、現在に至る。
赤石定典(あかいし・さだのり)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 係長
管理栄養士。1991年華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部入職。分院を経て、2014年附属病院へ異動、現在に至る。

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(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 課長 濱 裕宣、東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 係長 赤石 定典 写真=iStock.com)

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