ネットの便利さをカタカナなしで説明せよ
プレジデントオンライン / 2019年6月11日 9時15分
※本稿は、西岡壱誠『東大ドリル“なぞなぞ”&“身近なテーマ”で楽しみながら「自分で考える力」を鍛える』(ワニブックス)の第3章を再編集したものです。
■「客観的思考力」を身につける
誰かに何かを説明したり、プレゼンしたりするときに、相手の理解できるものから入って組み立てていく。これによって客観的に物事を考えられるようになります。これが「客観的思考力」です。「他者視点」と言い換えてもいいかもしれませんね。「どれくらい他人の目線に立って物事を考えられるか」という能力です。
たとえば、以下のような問題を、どう説明すればいいでしょうか。
あなたはおばあちゃんに、「インターネットの便利さ」を具体的に説明しなければなりません。でも、そのおばあちゃんは「パソコン」「マウス」「ホームページ」などのカタカナ語が全くわかりません。
「インターネットの便利さ」を、カタカナを使わないでおばあちゃんに具体的に説明しなさい。
カタカナ語が全くわからないおばあちゃんに、「インターネット」のことを伝える……。これってすごく難しいですよね。例えば、「メール」とかも使えませんから、「人と連絡が取れる便利な機能がある」と説明しても、「それは手紙じゃダメなのかい?」と言われてしまいそうです。「そうじゃなくて、すぐに連絡が取れるんだよ!」と言っても「電話でも同じことできるんじゃないのかい?」と言われてしまうかもしれません。カタカナを使わないだけで、相当説明の幅が狭まってしまいます。
こんなときにこそ求められるのが、「客観的思考力」。おばあちゃん目線に立って話せばいいのです。
STEP1 相手が理解できるものを列挙する
おばあちゃんはカタカナ語がわからないそうですが、逆におばあちゃんにわかるものってなんでしょうか?
カタカナじゃないにしても、確実にSNSはわからないですよね。スマホも使っていないでしょうし、グーグル先生に頼ったこともないはずです。
でも、おばあちゃんが「経験していること」ならわかるはずです。「相手が経験していること」というのは理解してもらえる場合が多いです。
そう考えると、さっきの話で登場した「電話」や「手紙」は使ったことがあるはずですね。また、普段おばあちゃんがやっていそうな「買い物」や「食事」も理解してくれると思います。娯楽であれば、「読書」や「旅行」、「散歩」はわかってくれるはずです。
STEP2 自分の伝えたいものと近いものを選ぶ
「電話」に「手紙」、「買い物」に「食事」、「読書」に「旅行」に「散歩」。これらの中から、「自分が伝えたいこと」と繋がりそうなものを選んでみましょう。
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/3/-/img_9336581f6eb1a8d5840f8d627e32583a342650.jpg)
伝えるべきは「インターネットの便利さ」ですが、これらのうちインターネットが便利にしてくれたものとは一体なんだったでしょうか?
ぱっと思い付くのは、「買い物」ですね。アマゾンをはじめとする通販で、お店に行かなくてもインターネットで買い物ができるようになりました。または、「読書」も便利になったのではないでしょうか。電子書籍によって、分厚い本もラクに持ち運びできるようになりましたし、わからない言葉があってもすぐ検索できるようになりました。「買い物」と「読書」はこれで説明できそうです。
あとは僕なら、「食事」とか「旅行」を選びます。この2つからも、インターネットの便利さを説明できるのですが、みなさんならどう説明しますか?
STEP3 組み立てる
「食事」と「旅行」は、そこに行ったことのある人がネット上に感想を書いてくれています。例えば「台湾に旅行に行ったけど、めっちゃご飯がおいしかった!」とか「このお店、雰囲気がいいよ!」とか。インターネットはいろんな人と繋がれるからこそ、そういう自分が欲しい情報を他の人から教えてもらえるのです。
これをまとめて、
「おばあちゃんが買い物をしたくなったら、いつでも好きなときに自由に買えて、お店に行かなくても家まで届けてくれるんだよ」
「おばあちゃんが本を読むときに、電子書籍っていうのを買うと、分厚い本もラクに持ち運べて、わからない言葉があってもすぐ調べられるんだよ」
「おばあちゃんが旅行とか外食に行くときに、そこに行ったことがある人から、感想を教えてもらったり、そこの情報を聞いたりできるんだよ」
なんていうと、おばあちゃんにも「インターネットの便利さ」が伝わるのではないでしょうか?
「インターネットの便利さ」なんていうと、「あらゆる情報を一瞬で集められて……」とか「世界中の人と常に繋がった状態になれて……」とか、そういう難しいことを考えてしまう人もいると思いますが、そこは相手の身近なことから考えましょう。そんなふうに小難しい話をされるよりも、「お店に行かなくても買い物できるんだよ!」とか「お店の感想を聞けるんだよ!」とか日常の具体的なことのほうが、なんとなくわかってもらえそうですよね? 相手の目線に合わせるというのは、こういうことなのです。
「おばあちゃんが買い物をしたくなったら、いつでも好きなときに自由に買えて、お店に行かなくても家まで届けてくれるんだよ」
「おばあちゃんが本を読むときに、電子書籍っていうのを買うと、分厚い本もラクに持ち運べて、わからない言葉があってもすぐ調べられるんだよ」
「おばあちゃんが旅行とか外食に行くときに、そこに行ったことがある人から、感想を教えてもらったり、そこの情報を聞いたりできるんだよ」
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東京大学4年生
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。楽しみながら考える力を鍛えるオリジナルの勉強法、思考法を開発して取り組んだ結果、偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。
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(東京大学4年生 西岡 壱誠 写真=iStock.com)
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