完璧主義の呪いに苦しむ日本女性の不思議

プレジデントオンライン / 2019年7月2日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/baona)

なぜ女性活用先進国の女性は富裕層でなくても家事を外注し、子育ても日本に比べて楽なのか。元外資系勤務、現在はシンガポール在住で一児の母である花輪陽子さんが自身の体験を交えながら解説します。

ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。世界経済フォーラム(WEF)による男女格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」2018年版では、日本は149カ国のうち110位でした。日本では男女の収入格差、管理職ポジションに就いている人数の差がまだまだ大きいです。また、国会議員の男女比、女性閣僚の比率など政治的な意思決定への参加の評価が非常に低いのです。

「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分業が日本ではまだ残りますが、海外ではこの手のことは年齢などと共に口にするのもタブーとなっています。また、シンガポールでは各国の大使という役職にも女性が就いていることも多いです。女性経営者もたくさんおり、女性であってもある程度の社会的地位や収入があった方が魅力的だと思う人も多いようです。

■「女性は家庭」は固定観念

メイドサービスが安価(月5万円前後)で利用しやすい香港では単身世帯の女性もメイドを利用するのがごく一般的です。それほど高所得でなくても、掃除や食事の準備などの一切の家事から解き放たれて仕事や趣味に勤しむ若い女性も多く存在するのです。

シンガポールではメイド税があり、香港よりはコストが数万円高くなるので単身よりは家族単位で利用するケースが多いです。専業主婦でも子供が学校に行っている間はメイドに家事を任せてジム通いという人もたくさんいます。このようにシステムが整っている国の女性の多くは家事育児に忙殺されることなく自分のライフスタイル、人生を楽しんでおり、母になったとしても、趣味や交友などを大切にするのです。

■子どもは社会で育てるもの

中華圏では今でも子供は社会が育てるという文化が根付いており、周りの人が育ててくれる土壌もあります。子供のバレエの発表会やイベントなど、日本だったら保護者が駆り出されるような場でも、外国人の保護者らはドロップオフ(母子分離で子供を置いていく)をするのが一般的。スタッフも責任を持って預かるから休んできてという感じです。私はまだ子供の年齢が小さくて不安で近くにいたのですが、本当に何もやることがなくて文化の違いに驚きました。

また欧米人は、シンガポールでも生後すぐに子供を別室に寝かせて、母乳も3カ月程度でやめるという女性が多いです。そうすることによって子供も自立をするので母子分離も早期から可能になるようです。また、夫婦での時間を大切にすることができるので欧米人はカップル単位でパーティーなどにも参加する機会が多いようです。もちろん子供は置いていきますし(メイドなどが面倒を見る)、そのことに罪悪感も抱いていないようです。もちろん他人に口出しをしたりもしません。

近所のジムに平日の夜に出かけた時のこと、現地の人から「あなたの旦那さんは日本人なのに夜外出させてくれていい人だね」と言われ驚きました。夫が日本人だと夜の外出はできないとシンガポール人も思い込んでいるようなのです。

■海外ではPTA問題も存在しない

私が子供を通わせているシンガポールのインターナショナルスクールのママ達の中には、外資系企業のカントリーマネージャーやシニアプライベートバンカーなどエクゼクティブも多いです。学校の行事もパパが参加することもあれば、メイドの場合もあります。そもそも行事も多くもなく、お弁当を作らなければならない機会はほとんどありません。軽食を自宅から持たせることはありますが、周りもタッパーにミニキャロットやぶどうを詰めてくるレベルなのでどんなに仕事が忙しくても夜の間に準備をしておけます。最低限、水筒を用意し、クラッカーやドライフルーツなど自宅にある物を詰めるだけで大丈夫です。

PTAに関しては日本ではその役割や人間関係が大変過ぎてテレビドラマにもなりましたが、海外ではそんなことはありません。シンガポールでもボランティアとしてクラスのお世話係をしてくれる人はいますが、それ以外の人は大きな負担にはなりません。ボランティアをするとなると日本よりも一人にかかる負荷は高いですが、強制ではなく自発的にやるものです。学校からの連絡などもペーパーレスでメールやアプリなどで合理化されています。ママ同士の集金なども銀行間の電話番号での送金などで決済をしています。紙での連絡事項や現金の集金などをなくすだけでも負担は大きく減らせるはずです。

■外資系では女性の管理職も多い

私は東京にいたとき外資系企業で働いていましたが、日本企業と比べ圧倒的に女性管理職が多かったです。お子さんがいる女性上司も多かったのですが、直属の上司も「食べさせれば子供は育つのよ」と言っていたので全く窮屈な感じはしなかったです。

当然、日本在住でも仕事も家庭も完璧にこなしている女性などほとんどおらず、管理職などになっている女性は家族やヘルパーに頼る、塾などに外注するなど家庭では上手に手抜きをしていました。全部自分でやろうと思うとパンクしますし、プロに外注をした方がうまく回るということも多いものなのです。

■完璧を目指さない生き方をしよう

「女性だから(母親だから)こうあるべき」という精神的な呪縛が日本人女性を苦しめているように思います。私は自営業の家庭で育ったので自宅に併設されていた事務所で家族や従業員がいつも働いている姿を見て育ちました。家に帰ると家族の姿はあるものの忙しく働いているので一人で遊ぶことが習慣となりました。祖母や母も働いていたために、大人は女性も働くものという意識が子供の頃から身についていました。また父親が早く他界したことも私の人生観を大きく変えたのかもしれません。相続や事業承継も未成年の間に経験をしたのでお金に対する意識が変わり、働いて収入をつけなければとずっと思っていました。母親が専業主婦で家事をする姿しか見ていなかったらまた違ったでしょう。

日本より物価の高いシンガポールで、平均的な家庭は共働きで保育園を利用しています。共働きをしてたくさん稼がないと生活費や老後資金を賄うことが難しいからです。「お金のため」と一本軸を作ると、色々迷わずにシンプルに考えることができ、腹をくくることができます。「お金のことばかり」と思われる人もいますが、やはりお金の問題は解決しておいたほうが人生の問題を一つ減らすことはできるのです。女性の人生には色々あり、パートナーと死別や離別をする機会もあります。そんな時も経済的に自立していればお金の問題を抱えずに済みます。性別役割分業にとらわれ過ぎずに、自分の収入だけで自活できる(子供がいる人は子供を育てられる)ように自立し続けられるようにしたいですね。

(1級ファイナンシャル・プランニング技能士 花輪 陽子 写真=iStock.com)

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