「モデルが頼る男」のマル秘トレーニング
プレジデントオンライン / 2019年7月17日 9時15分
■美しくしなやかに動くための身体を作る
滝沢眞規子、松島花など売れっ子モデルや人気女優が、勝負をかけた仕事の前にこぞって駆け込むトレーニングスタジオがある。「数日後の下着のCM撮影のためにデコルテと背中を美しく見せたい」など、美女たちの具体的かつ切実な要望に見事に応えるボディメイクトレーナーが、横手貞一朗(よこて・ていいちろう)さんだ。
横手さんが得意とするのは、360度どこから見ても美しくしなやかに動くための身体作りだ。たった2時間で驚くほど身体が変わるというトレーニングの極意は、筋肉・腱・筋膜を「ゆるめてしめる」こと。的確なアプローチで機能を引き出し、美脚・ヒップアップ・ウエストシェイプ・バストアップ・デコルテライン、そして表情筋にいたるまでラインを変えていく。
5月26日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、今をときめく女優たちの美ボディから、アスリートの勝てる身体作りまで、表舞台で輝くプロたちの身体作りを一手に担う男のマル秘メソッドに迫った。
■多い日は1日6本のレッスンをこなす
東京都内某所。横手さんのスタジオ「Positive Link Studio」は看板もなにもないマンションの一室だ。仕事の多くは、1対1で行う1回2時間のパーソナルレッスン。多い日は1日6本入るという予定表には、今をときめく売れっ子女優の名前がズラリと並んでいる。
常連客は月に2~3回のペースで、“リクエスト”を片手にスタジオへやってくる。
【モデルの松島花さん】「横手さんのトレーニングは、しっかり女性らしさも残しながらキレイな体に持っていってくれるのですごいですよね」
そう話すのは、ユニクロの下着CMに起用され、健康的なボディラインが話題になったモデルの松島花さんだ。しなやかで均整のとれた体を維持する上で、横手さんのレッスンは欠かせないという。
この日のリクエストは、次のとおり。
【松島】「スチール撮影があるので上半身メインで、下半身はそこまでやらない方がうれしいです」
■上半身を整えるために「太もも」をほぐす
“上半身”というオーダーに対して横手さんが始めたのは、意外にも“太もも”を極限までほぐすトレーニングだった。一体なぜ太ももなのか。
骨格模型を使った解説が始まった。
【横手】「(筋膜の流れの1つは)頭の側面から足までつながっているので、上半身を整えるためには、まず下半身の太ももを緩めてからアプローチする方が、より美しいボディラインが出てきます」
目的の部位を美しく整えるための近道は、身体全体の筋肉や腱、筋膜のつながり方を熟知した上で、そこと関係し合う部位に刺激を与え、癒着したり硬くなったりした組織を緩めて、正常な状態に戻すことだ。そうすれば、おのずと目的の部位も整うという。
太ももをほぐすことだけにたっぷり15分ほど。その成果に、鏡を見た松島さんは驚きの声をあげた。
【松島】「2cm首が長くなった!」
■「肩の筋肉がモリッとしたら訴える」
ハードなトレーニングではなく、軽い負荷によって肉体を本来の姿に戻すことで、誰だってきれいになれる。横手さんがこの“ボディメイクの極意”にたどりついたのは、昔、ある女優に釘を刺されたことがきっかけだった。
「(トレーニングで)肩の筋肉がモリッとしたら訴えるー」
冗談交じりの言葉だったが、ハッとさせられたという。それまで、“ハードなウエイトトレーニングが身体を作る”というイメージを持っていたが、それだと女性らしさは失われ、マッチョな身体になってしまう。
横手は根本から考え方を見直し、ゴムのトレーニングチューブやポールなどを使い、負荷がかかりすぎないプランを練った。
肉体は大小無数の筋肉に支えられているが、疲労や加齢などで小さな筋肉の働きが鈍ると、姿勢はゆがんでいく。
そうした小さな筋肉に的確なアプローチで刺激を与えて本来の機能を取り戻させ、美脚・ヒップアップから表情筋にいたるまでラインを変えていく。この独自のトレーニング法が評判を呼び、今では女性誌などからの取材も絶えない。
【横手】「腹筋割りたいなら他のところにスペシャリストがいるし、減量を何十キロもしたいならあちらのジムへ行ったらどうですかと僕はハッキリ言います」
■プロサーファーの身体もほぐす
横手さんはアスリートの身体作りも手がけている。この日、駆けつけたのは千葉の海岸で行われたサーフィンの世界大会。
競技の直前に身体の状態を見てほしいと依頼してきたのは、プロサーファーの大橋海人さんだった。この4月「JPSAジャパンプロサーフィンツアー2019」で準優勝を果たし、今、勢いに乗っているアスリートだ。
かがんだ姿勢をキープするサーフィンは、腰や股関節にかかる負担が尋常ではない。瞬時に身体をほぐすため、手足を強く伸ばして体の中心にある凝りを取り除き、ゴムチューブを使った秘密兵器などで黙々と50分。
そして、戦いへと送り出す。
■結果が悪くても無駄口はたたかない
体の動きは上々だったが、最後まで良い波を捉えられず、結果は2回戦敗退。アスリートは結果が全てだ。こんな時、横手さんは無駄口をたたかない。
「なんかダメだったですね……」と肩を落とす大橋さんに対して、「ヘイ、メーン! ネクストラウンド!」とだけ言って身体をたたく。もちろん、頭の中では次なるメニューもしっかり練っていた。
【横手】「大橋さんここじゃないですか? どうですか? というポイントはトレーナーなりに浮かんでいる。僕も大橋さん以上に本気で行く! くらいのトレーニングメニューを提供して、時間を共有できたら最高ですね」
試合後、肩を並べて歩く2人。励ましも、横手さんの裏メニューのひとつだろう。
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ボディメイクトレーナー
1974年神奈川県生まれ。1993年よりパーソナルトレーナーとして活動を開始。20代でブラジルの総合芸術・カポエイラに出会い追究を続ける中で、独自のトレーニング法を編み出す。30歳で大手スポーツクラブに所属してからは10年間トップの成績を出し続け、2015年に独立。有名モデル、女優、アスリートなどから絶大な支持を受けるように。体への意識の高さから食へのこだわりも強く、数年前からスパイスカレーにハマってからは週6で通うこともあるとか。口癖は「最高です」と「感謝です」。苦手なものは「蜂」という45歳。
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(「情熱大陸」(毎日放送) 画像提供=毎日放送)
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