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患者をカモにする"ヤバい眼科医"見分け方

プレジデントオンライン / 2019年9月23日 11時15分

Getty Images=写真

あなたが眼科で受けるその医療は本当に、あなたの生活をよくするものなのだろうか? 無駄な医療の餌食にならないため、無用なダメージを受けないため頼れる眼科医の見分け方を身につけよう!

■眼科は何のための診療科なのか?

自分が眼科にかかるときのことを思い出してみよう。どのような目的で訪れるだろうか。“目が見えにくい”という単純な理由も多いだろう。このとき「初めての受診で症状も重くはないのに、やたらと複数の検査や治療を行う病院は気をつけたほうがよいかもしれません」と、近著に『続ムダな医療』がある、医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は語る。

「『メリットよりもデメリットのほうが大きい医療行為』のことを、無駄な医療と言います。過剰な医療行為は余計な手間や出費がかかるばかりか、別の病気を呼びこんでしまう原因にもなり、デメリットが無視できない可能性があるのです。

眼科は、『もっと視力をよくしたい』つまり『今よりもよりよい生活を送りたい』という、QOLの向上を目的とした患者の多い診療科です。QOLを高めたくて病院に行ったのに、検査や治療で具合が悪くなっては本末転倒です。白内障やものもらいなど、病気を治すことが大切なのは言うまでもありませんが、検査や治療のメリットばかりではなく、デメリットにも目を向けるべきで、病院もそこを大切に考えているかが今問われているのです」

室井氏によれば、日本の健康保険で受けられる眼科の検査は1種類当たり自費の支払いとして1500~1万円程度。必要な検査であればよいのだが、1回の受診で余計な検査までつけ加えられていたとしたらどうだろうか。そんな金額が積み重なればたまったものではない。患者のことをまるでお金を背負ったカモと考える医師もいるかもしれない。

その大前提を踏まえた上で、無駄な医療にかからないようにするためのチェックリストだ。これは米国の名だたる医学会が挙げている無駄な医療のリスト「チュージング・ワイズリー」で示されたもの。訳すと「賢明な選択」で、賢明な選択を行うことで、無駄な医療を避けようというもの。残念ながら日本ではあまり浸透していない概念だが、米国の医療業界では非常に浸透している概念だ。室井氏は著書でそのリストを詳細に解説している。

「眼の病気についても『行わないほうがよい』と指摘されている医療行為があるのです。自分が眼科にかかる際は、注意しましょう」

■私たちは医師に質問していい!

「前項①の『手術前検査』は、ほとんどの人にとって、眼科の手術では必要ありません。一見、手術前には検査したほうがよさそうに見えますが、糖尿病などでないならば、かえって無用な検査をしがちになることを米国では戒めています。手術前検査に疑問を感じたならば、なぜその検査が必要なのか、率直に尋ねてもよいでしょう。

チュージング・ワイズリーの考え方では、子供用眼鏡には否定的だ。子供を思う気持ちが無駄遣いにもならないよう、知識武装が必要(PIXTA=写真)

②については、米国眼科学会が『特別に眼科疾患の症状や兆候が見られないならば、安易に画像検査を実施する必要はない』と述べています。眼科によらず画像検査はつい行ったほうがより詳しい結果を得られると思い、ほいほい受けてしまいがちですが、チュージング・ワイズリーでは一貫して画像検査には慎重な意見を示しており、それは眼科の場合も例外ではありません。自分の症状、疾患に対して、本当に意味があるのかこちらも医師に聞いてよいのです」

結膜炎やドライアイなど、ありふれた疾患でも、無駄な医療を受けさせられる場合があるという。

「ピンクアイと呼ばれるアデノウイルス角結膜炎では、米国眼科学会は『抗菌薬を使用してはならない』とまで述べています。細菌性の結膜炎にしか抗菌薬は有効ではなく、それも中程度以上の感染性炎症がある場合のみ。また、④の『硝子体内注射の前後に抗生物質を使用する』についても、意味がないと指摘されています。手術後の感染を防ぐために薬を使うのはよいことだと思ってしまいそうですが、最近の研究に基づいて、無駄だという意見が医療界でも強まっています」

⑤のドライアイを治療する場合では、「涙点プラグ」という治療が日本でも行われることがあるが、治療の効果の根拠が乏しいと指摘されている。

そして親が子供のためと思って選択している医療も要注意だ。

「子供の目の異常は一般的な検診で見つかるので、複数の検査を組み合わせた包括的な眼科検診で念入りに調べる必要はないと指摘されています(⑥)。また⑦については、子供の弱い遠視はよくあることで正常の範囲ですので、度数の弱い読書用程度の眼鏡ならば、斜視でもない限り避けるのが賢明です」

弱い遠視だけで子供も大して困っていないのに『お子さんに読書用眼鏡を作りますか?』と聞いてくる眼科医は、疑ってかかってもいいかもしれない。

そして忘れてはならないのが、「医院が衛生的かどうか」だ。

■失明しては元も子もありません

「不衛生なクリニックでは当然、感染症などのリスクは高まります。QOLを高めるための医療を受けるはずだったのに失明しては元も子もありません」

例えば、待合室が清潔に清掃されている、お手洗いがキレイ、棚や机に埃が積もっていないかなど、基本的なことに着目すれば、その医院の衛生管理は判断できる。

最後に、「視力をあげる」行為が、別の目的のための手段である場合が多いことは頭に入れておきたい。

「『もっとスポーツがうまくなりたい』『可愛い孫を見て、仲良くしたい』など、ある目的のための手段として『視力を改善する』医療は価値を持ちます。しかし、盲目的に視力を高めたいと思うばかりに、過剰な検査や治療ばかりを受けて、結局視力を落としてしまってはなんのための医療かわかりません。自分にとって必要な検査や治療が何かをきちんと考えて、医師にはきちんと疑問を聞こうとする姿勢が重要です」

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室井一辰
医療経済ジャーナリスト
国内外の病院や企業、行政などの現場を20年にわたり取材。著書に『絶対に受けたくない無駄な医療』『続ムダな医療』などがある。東京大学農学部獣医学課程卒業。

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(安間 一行 構成=安間一行 写真=PIXTA、Getty Images)

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